友人達の話5。
その2基聖女の言葉を受け、友人Aは「そういえばそういうのが居たわね。知らないわ」と、心底興味が無い様子で答える。
「わたしも知らないかな。同室のお友達と二人で旅に出たってことくらいしか」
と、魔女。
巻き毛の子も「そういえばそんなやついましたね」とやや興味なさそうに言う。
だが。
「あー、なんか聞いたことあるかも」
友人Bがそう呟いた。
「まあ、『勇者様』の方の話だけど」
もう片方は知らない、と一言断ってから、それらしき人物達の行方を聞いたことがあると言葉を続ける。
「なんかすごい親切なやつ、みたいな扱いだったような」
少し前に人伝てに聞いたので、正確さは欠くそうだ。
「何でも屋みたいな、傭兵みたいな事やってるらしいよ」
例えば、国から依頼を受けて賊を退治するとか、でかい魔獣退治とか、そういうものを沢山こなしているらしい。
「で、その依頼達成で得た金で慈善事業やってるとか。『勇者様ともう一人の二人で』って言ってるから、その二人じゃないかな」
聞いてみれば、それとなく二人っぽい話だ。
「……それなら、聞いたことありますね」
巻き毛の子も、ふと言葉を溢す。
「貧困の者達に餌を得る方法を教えたり、欲深な貴族に説教しに行ったりしてるやつですかね」
説教と言うか粛清もあると思いますが。と言葉を続け
「ま、効果があるのは一時的でしか無いと思いますが」
そう、呆れ混じりに溜息を吐いた。
「それで。その二人の事聞いて、どうするの?」
頬杖を突いて友人Bは聖女に問い掛ける。はっきり言って、話題に上げるには今更過ぎる話に思えたからだ。
卒業してから5年や10年くらいならまだ分かるが、それ以上の期間を空けている。
「ただ単に気になっただけ、じゃないでしょ」
聖女の方へ視線を向ければ、聖女は「ばれちゃいましたか」と少々気まずそうに笑った。そして、
「ちょっと、行方を探る必要が出てきてしまって……」
と言葉を濁す。
「ふぅん? 皆んなには言いにくい事なんだ」
と、友人Bが返せば、聖女は更に居心地の悪そうな様子になる。
「ちょっと。困ってるじゃない」
ニヤニヤと笑う友人Bを友人Aは窘めた。
「だって。やっぱ、なんとなく気になるし」
と友人Bが返し更に友人Aが頭を押さえるそれを尻目に、
「では、『古き貴族の当主』としてなら、理由は聞けます?」
そう巻き毛の子は問う。
「ええと、それもちょっと……」
それも駄目らしい。魔女のような軍部の者として、でも駄目らしい。
「駄目な理由は、確定事項ではない秘密のお話だからです」
と、聖女は答えられない理由は教えてくれた。
「そうですか。でもまあ、友人に借りを作っておくのもいいでしょうし、それっぽい話を聞いたら教えてあげます」
巻き毛の子はそう答える。友人Bも同じスタンスらしい。
「わたしは貸し借りなしで、聞いたら教えるね」
と魔女は聖女に言った。友人Aも同意見らしい。




