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薬術の魔女の結婚事情  作者: 月乃宮 夜見
二人の生活

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星のお祭り。


 しばらくして。


 僅かに聴こえていた草木の葉擦れの中に、声のようなものが混ざり始めた。こそこそと何かを囁くような、くすくすと笑うような、楽し気な声だ。

 それにキラキラと煌めく光が大きくなったり小さくなったり、歌声や何やら妙な音楽らしきものが聞こえる。


「ほら、みて! あれね、おばあちゃんのお友だちとかが舞い踊ってたり、音楽とか奏でたりしてるんだよ」


 手を引く魔女は、嬉しそうに解説を行う。

 実際のところ、宝物を見せたがる子供のように星祭りへ連れて行かれる度に聞いているので、それは知っていた。


 だが、悪魔には妖精らしき光はただキラキラと光っているだけの塊、(ある)いは魔力のような力の塊にしか見えないのだった。

 流れる曲は華やかで楽し気かもしれないが、得も言えぬ不快感がある。

 呪猫でよく聞こえる、精霊や上位貴族共のせせら笑う声や下世話な噂話を囁き合う声に、非常に似ていた。……唯一の違いは、それに()()()()()()()()()()()()()事だろうか。

 妖精は、人や物を隠したり壊したりするのだが、悪意が無いのだ。悪戯心なら、持ち合わせているという。

 因みに精霊と魔獣には、目を付けた対象に『どうかしてやろう』という悪意があるのだ。その悪意が黒い色をしているのだと、信じる者もいる。


「ん。来たのですね」


 星祭りの主な開催場所だと思われる開けた場所に出ると、『おばあちゃん』がそこに居た。


「仲直りできたのですねー」


(にこや)かに笑みを浮かべたその姿に「おばーちゃん!」と、魔女は悪魔と手を繋いだまま走り出す。


「偉いですよ」


 褒められ、「えへへー」と魔女は照れる。だが、


「あなたは。もう少し辛抱強くならなければなりませんね」


と『おばあちゃん』は魔女をじーっと見つめた。

 忍耐強ければ、あんなことにはならなかったのだと言いたいのかもしれない。


「……ごめんなさい」


 しょんぼりと肩を落とす魔女に頷き、


「それと。あなたは長居すると体調崩すかもしれませんので、気を付けて下さいね」


そう悪魔に告げる。


「ほら。あなたは、中に精霊が混ざってるから」


妖精的な力で浄化されるかもしれないらしい。


「そうそう。それと」


 魔女から少し離れ、ちょいちょい、と悪魔を手招きする。そして、


「あの子は、調子に乗せるとのさばるので、程々に締める方がいいですよ」


と、こっそり告げられる。


「……締める?」


 悪魔は少々柳眉をひそめた。

 彼女を締めすぎて逃げられたのだと思っていたのだが、実はそうではないらしい。

「彼女が何か悪いことをしてしまったら、ちゃんと怒ったり、叱ったりしてあげてください」

 にっこりと笑顔で言うので、この間の色々とか現在が、のさばっている状態らしいとなんとなく悟った。


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