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憧れの医療  作者: 赤坂秀一
第一章 橋本大学
9/69

9 ルームメイト?

お待たせしました第9話を更新しました!


今回は自転車部ツーリングの続きです。隣県の貝崎市まで来た飛鳥達はビーチバレーを楽しんだ後恒例のバーベキューです。

 私は自転車部の活動で隣県の貝崎市(かいざきし)の浜辺にツーリングに来ています。今回も、というか自転車部ではバーベキューが恒例になっているみたいで今まさに桐生(きりゅう)先生が火起こしをしています。

「先生、大量の使用済み割り箸を持って来ました。どうするんですか?」

 私は先生の車の中から大量の割り箸を持って来ました。どうやったらこんなにたまるのかな?

「うん、これを使って炭に火を点けるんだ」

 そう言って炭を四つくらい並べて大量の割り箸を炭の周りへ、そして紙に火を点け割り箸の側へ…… するとパチパチと音をたてて割り箸が燃え始めました。

「さあ、仰いで!」

 桐生先生は団扇でこれでもかというくらい仰ぎます。私もそれに合わせて仰ぎます。

「よし、点いた」

 凄い、本当に炭に火が点きました。前回の新歓の時は男の先輩二人掛かりでも点ける事が出来なかったのに……

「あとは炭を追加して」

 すると炎が上がって燃えています。

「大丈夫なんですか?」

 この状態はバーベキューじゃなくキャンプファイヤーの様な……

「大丈夫だ、ある程度燃えたら炎が収まるから、そうなるといい感じの遠赤で肉が美味いんだよ!」

「なるほど」

 私が納得してる頃、ビーチバレーもようやく決着が着いたようです。

「今回は俺の勝ちだな」

 高木(たかぎ)先輩が自慢げにいってますけど、中山(なかやま)先輩は悔しそうです。

「くそ、今度は負けねからな!」

「はいはい、それじゃバーベキュー始めるよ! 二人とも冷たいビールが待ってるわよ」

 流石、城戸(きど)先輩! 世話役だけあってあの二人の先輩の扱いは上手いです。でも、冷たいビールの良さはアルコールが飲めない私には今ひとつ解りませんけど……

 私達は乾杯をしてバーベキューを味わいます。桐生先生は今回も車なので烏龍茶です。私も今回は烏龍茶にしました。烏龍茶って脂っこいものを食べても口の中がサッパリするんですよね! これって烏龍茶ポリフェノールが影響してるのかな? それはさておき、この後また二十キロの道のりを戻る訳ですけど、なんだか慣れれば大した事はないかな!

「今日はどうだった? 二十キロの道のりは」

 城戸先輩から感想を訊かれてました。

「はい、最初は大変だと思っていたんですけど、走ってみたらなんだかあっという間でした」

「きつくは無かった?」

「はい、楽しく走れました」

「まあ、固定概念もあるんだよ! 自転車で二十キロかよってな」

 中山先輩も話に入って来ました。確かに先輩方の言う通りかも知れません。

「私は結構疲れましたけどね」

 玲華(れいか)はそう言ってビールを美味しそうに飲んでますけど…… 玲華は自転車じゃ無くてビーチバレーで疲れたんじゃないかな? かなりノリノリでやってたと思うけど……

「それじゃ、如月(きさらぎ)さんは帰りは電車にする?」

 玲華はそう言われると結構ムキになるんですよね!

「でも、私は輪行バッグを持ってないから……」

 えっ、電車で帰るつもりかな?

「電車で帰るなら私のバッグを貸すけど」

 私が玲華にそう言うと……

飛鳥(あすか)が自転車で帰るのに私が電車な訳ないでしょう」

 そう言いながら私は玲華から余計な事を言わないでと言わんばかりに睨まれました。全く、意地っ張りなのか負けず嫌いなのか分からないけど心配して損した。まあ、あれだけ元気があれば大丈夫かな?


 バーベキューも終わり私達は来た道を戻ります。でも、やっぱり玲華は辛そうです。

「飛鳥、玲華は大丈夫かな」

 郁美(いくみ)もちょっと心配してるみたいです。

「郁美は大丈夫?」

「私は大丈夫! 大学まではなんとか行けそうだから」

 郁美もちょっとはキツそうですけど大丈夫かな……

「城戸先輩、やっぱり私は玲華と一條駅(いちじょうえき)から電車にします」

「でも、如月さんは輪行バッグを持ってないでしょう」

 ちょっと心配そうな城戸先輩ですけど……

「一條駅近くに玲華の家がありますので自転車はそこに置いて行けば良いと思います。それに私も電車で帰る事にすれば玲華も納得するでしょうから」

 そして、遅れる事五分玲華が到着です。

「ど、どうしたの? 休憩?」

 ハア、ハアと息を切らした真っ赤な顔の玲華が言います。

「うん、私もちょっと無理そうだから一條駅から電車にしようと思って」

 私はまだまだ平気そうな顔でそう言いました。

「そう、それじゃ、私も電車にしようかしら…… それに一條駅だったら自宅に自転車を置いて帰れるから」

 まあ、計画通りに玲華もそのつもりです。そういう事で一條市に入ったところで城戸先輩と郁美と別れて私と玲華は一條駅から電車に乗りました。そして、橋本駅(はしもとえき)に到着して玲華は手を振って降りて行きます。私は玲華と別れ、電車で城南駅(じょうなんえき)まで戻って来ました。しかし、今頃になってなんだかドッと疲れが出たような…… やっとの思いで家のそばまで戻って来た時でした……

「あら、飛鳥さん久しぶりね!」

 美彩(みさ)先生に出会いました。こんな時に……

「美彩先生、こんにちは」

「大学はどう? 楽しんでる?」

「はい、とっても楽しいです」

 私は無理矢理笑顔を作ります。

「そう、良かったらちょっと寄っていかない?」

「あっ、はい……」

 本当は早く帰って横になりたいんだけど…… 私はリビングのソファーに倒れる様に座り込みます。これでしばらくはもう立てません!

「どうしたの? なんだか疲れているみたいだけど……」

「あっ、サークルで貝崎市の海まで行って来たので」

「そう、ここからだと電車で一時間くらいかしら…… ところでサークルは何をしてるの?」

「自転車部です」

「えっ、そうなの? 大丈夫?」

 ちょっと美彩先生からも心配されてるかも……

「はい、橋本大学から二時間掛けて自転車で貝崎市まで行って来ました」

「えっ、凄い! それでロードバイクを持ってたんだ」

 私はちょっと微笑んで……

「あれはクロスバイクですよ! 美彩先生」

 先生は苦笑しながら……

「ロードバイクとクロスバイクってどう違うのよ?」

 今度は頬を膨らませています。美彩先生もそういう事するんですね……

「ロードバイクはレース仕様でかなり軽量化されています。タイヤも私が持っているクロスバイクより細いしハンドルもバッファローの角みたいに曲っていてとても乗りにくそうなんですよ」

「へぇ、そうなの? でも、なんだか大学生になって少し変わったわね!」

「そうですか?」

「うん、大人っぽくなったかな! 服装もスカートじゃなくてレギンスにしたみたいだし」

「ええ、まあ流石にスカートではクロスバイクに乗れないので……」

 なんだか先生にそう言われ嬉しい反面ちょっと恥ずかしいですね!

「それで、恵美子(えみこ)ちゃんとはどうなの?」

「はい、たまにメールのやり取りはしてますけど……」

「まあ、日本とアメリカじゃ時差もあるからね、それにメールならメッセージを入れておけば返事も帰って来るでしょうしね」

 まあ、そうなんだけど…… 恵美子ちゃんも今年は受験生だし、コミニケーションだって英語だから大変だよね…… 美彩先生とはそういう話をした後、私はクリニックを後にして、ようやく自宅に到着しました。これで少しは休める。


 しかし、私が家に帰るとお客様が来ている様子。

「飛鳥さんお帰りなさい」

「如月先生! どうされたんですか?」

「ちょっと飛鳥さんにお願いしたい事があってね」

「お願い、ですか?」

 如月先生は微笑んでいますが、母はちょっと困った表情です。いったい何があったんだろう?

「飛鳥さん、玲華のルームメイトになって欲しいんだけど」

「ルームメイト…… ですか?」

「そうよ、玲華が橋本駅前のマンションに住んでいるのは知っているでしょう」

「はい、昨日はサークルの都合で一晩お世話になりました」

「ええ、それは別に良いのよ! それでどうかしら?」

 私もそれを聞いて、ちょっと困ってしまいました。たぶん家に直接お見えになったという事は母にもお願いされているんだと思いますが……

「お母さんどうしよう……」

 母は相変わらず困った顔をしていますが……

「そうね、あなたがそれで良いなら…… でも一応お父さんにもお話してから決めないとね」

 どうやら私が帰って来る前にここまでの話は出来上がっていた様です。

「それじゃ、私はこれで失礼します。良い返事を待ってますね」

 そう言って如月先生は帰られる様なので車まで見送ります。

「飛鳥さん、玲華を一人にしてちょっと心配なの、自炊は出来ないし、いつも弁当ばかりみたいだし、それに毎回お手伝いさんを行かせる事も出来ないから……」

「でも先生、ルームメイトとなると家賃とかも必要になるので…… それに私は治療費も掛かっていますのであまり母に負担を掛けたく無いんですけど……」

 あっ、如月先生は私の事は知らないですよね……

「その話は、あなたのお母様から聞きました。正直ちょっと驚きました。あなたは玲華よりも女の子らしいのにね」

 どうやら私の事情は母が話してくれたみたいです。

「安心して、あのマンションは賃貸じゃないの! だから必要なものは水道光熱費とマンション管理費なんだけど全てこちらで持つから」

「でも、それは……」

「良いのよ、あなたが一緒に住んでくれれば玲華も少しはまともな暮らしが出来ると思うから、なにしろ世間知らずの我がまま娘だからよろしくお願いね!」

 そう言うと如月先生は車に乗って帰って行きました。

 その日の夜、父と相談した結果、私は玲華のマンションで一緒に暮らすことを許してもらいました。まあ、そっちの方が朝はゆっくり出来るし大学にもとても便利ですからね!


ツーリングを終え自宅へ戻ると玲華のお母さんが…… まさかのお願いに疲れた事も忘れる勢いでした。まあ、大学にも近くなるし、いろいろと便利になりそうです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ルームメイトですか…。もう大学生ですし、それも良い経験でしょうか。 困ることも結構出てくるのが現実かな?とも思いますが、そのあたりどうなりますか…。もう知っていて付き合いも長い友人ですから…
2021/06/20 07:40 退会済み
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