8 連休はツーリングです!
お待たせしました8話を更新しました!
今回はツーリングです。片道二十キロ往復四十キロを飛鳥と玲華は走れるんでしょうか?
私と玲華は城戸先輩と一緒に貝崎市を目指すことになりました。その時、郁美が大学に到着です。
「おはよう! 飛鳥、玲華」
「おはよう郁美! 今朝は家を何時に出たの?」
私はちょっと心配で話を訊きましたが、玲華はニヤニヤした気持ち悪い顔をしています。
「えっと、五時半かな…… 六時七分の電車に乗るつもりだったから」
かなり眠そうな郁美です。
「うちに泊まって良かったのに」
「うん…… でも枕が変わると本当に眠れないから……」
郁美の困った顔はなんとなく可愛いですね。
「ほら、戸田さんしっかりしなさい、顔を洗ってきたら」
城戸先輩はちょっと呆れ顔です。
「おーい城戸、戸田さんが来たら中山達と走ってもらうから」
「あっ、高木君ちょっと待って!」
「ん、何かあったか?」
「うん、戸田さんも私が連れて来るわ!」
「えっ、どうかしたの?」
「うん、ちょっとね……」
「まあ、良いけど、それじゃ頼んだぞ」
「うん、分かった」
そんなこんなで郁美を含めた私達三人は城戸先輩と一緒に走る事になりました。
「それじゃ、準備が出来たら出発するからね」
「はい」
私達三人は他の先輩達より早く七時半に出発しました。まずは、駅前を通り抜け国道を目指します。
「私がペースを合わせるから無理しないようにね」
そう言って城戸先輩はクロスバイクを走らせます。最初はちょっと怖いと思っていたスピードも慣れれば心地良いものです。風を切って走るというのがこんなに気持ちが良いものだとは思いませんでした。これから橋本川を渡ります。この間はここの河川敷で新歓があったんですよね……
出発してから一時間くらいでしょうか、城戸先輩はコンビニに寄るようです。
「どう、大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
私はそう言いましたが……
「先輩、あとどれくらいですか?」
玲華はちょっときつそうです。
「そうね、あなた達ならあと三十分…… 四十分かな」
そういう事で、ここで十分間休憩するようです。
その時……
「城戸、先にいってるぞ!」
高木先輩と中山先輩のグループが追い越して行きました。
「焦らずにゆっくり行くから、水分補給だけはちゃんとやってね!」
そう言いながらスポーツドリンクを飲んでいる城戸先輩です。先輩は長い髪に黒いキャップを被り黒色のお洒落なサングラス、半袖のシャツにジーンズを履いています。なんだかキャップの後ろから出ている黒髪が風でなびいてキラキラ光って綺麗です。
わたしはお洒落なフリル袖のピンクのシャツに黒いレギンスですけど城戸先輩みたいに格好良く決める事は出来ないです。玲華も郁美もシャツとジーンズを着ています。郁美のシャツが私と同じフリル袖になっていて可愛いです。私達もスポーツドリンクを飲みながら休憩していると何か忘れている事に気付きました。
「あっ、先輩! 私弁当をもってないので買って来ます」
そう言ってコンビニへ行こうとすると……
「今村さん、弁当はいらないわよ! もう、浜辺で準備が始まっているはずだから」
「今回もバーベキューですか?」
「そうよ、自転車部は基本バーベキューだから、おにぎりも沢山あるわよ」
そういう事で休憩も終わり、また出発しました。
休憩地点から三十分後、目的地に到着です。桐生先生の黒いSUVが浜辺の手前の屋根付きの休憩所横に止められ、その間にタープテントが取り付けられその下には即席の広いスペースがありテーブルが並んでいます。バーベキューコンロもいつでも火起こし出来るように準備が完了していました。
「やあ、お疲れ様意外と早かったね!」
高木先輩からそう声を掛けられました。どうやら私達が一番最後の到着だったようです。
「でも、こんなに早く着くならもっとゆっくり良かったんじゃない」
寝不足気味の郁美がボヤいています。まあ、家を朝の五時半に出ているという事は五時前には起きてる訳だよね! 準備だってある訳だし、メイクや日焼け止め、それに着替えだって…… 女の子は準備に時間が掛かりますからね!
「実は今からビーチバレーをするんだ」
そう言われると浜辺にネットが設置されています。
「これも持って来たんですか?」
「いや、流石にそれは無いよ。ここの浜の管理室に借りたんだ。ここの浜はよく使っているから」
だから先輩方は地図も見ないで行けるんですね!
「それじゃ組分けを始めるわよ」
どうやらくじでパートナーを決めるようです。私が引いた紙には2と書いてあります。これって?
「2番の人は?」
桐生先生から呼ばれました。私のパートナーは桐生先生のようです。それともう一人静香が来ました。
「飛鳥はバレーの経験とかある?」
「ううん、私はスポーツ全般駄目だよ」
「それじゃ、飛鳥は前だね」
そう言われてしまいました。私はよく解らないままビーチバレーは始まりました。私達はニゲーム目です。
「今村さんはこの間、本郷先生と会ってたみたいだけど、精神的に不安な事でもあるのかな?」
桐生先生に訊かれてしまいました。まあ、私の事を知らない人は多いですからね…… 大学には話していますけど……
「精神的では無いんですけど……」
私はそう言って学生証を先生に見せました。分かるならこっちの方が手っ取り早いですからね!
「これでなにか解りますか?」
先生は何だろうと私の学生証を見ます。
「別に普通の学生証だと思うが…… あっ、これ性別が間違ってるな!」
やっぱり先生は鋭いですね……
「先生、それは間違っていないんですよ」
すると先生は何かを思い出したように……
「そうか、君だったのか。今年性別違和の学生が入学したのは聞いていたんだが」
「…… はい」
「まあ、そういう事なら、何かあれば言ってくれ顧問として力になるから」
「はい、ありがとうございます」
私は大学内でも、また力強い味方を、見つける事が出来たと嬉しく思いました。
「先生は講義とかしないんですか?」
「いや、私もするけどね。これでも一応講師だから、私の講義は医療倫理学だ。一年生の講義でも…… そうか、四月は医師としての仕事が忙しかったから講義は助教授にお願いしてたかな……」
そんな話をしていたら……
「先生、とても良い雰囲気なんですけど、まさか一年生を口説いていませんよね」
城戸先輩そんな事は…… そう言いたかったけど恥ずかしいのが先でただ顔を赤くする事しか出来ませんでした。
「ハハハ、今晩食事でもと誘ったんだが断られてしまった」
「もう、先生何やってるんですか!」
城戸先輩は頬を膨らませています。城戸先輩と先生ってそういう仲なのかな? 私はもともと男性は苦手な筈だけど、桐生先生と二人でいても怖いイメージがありませんでした。男性恐怖症は改善の兆しありでしょうか……
「桐生先生スポーツドリンクを調達して来ましたよ」
静香はどこから調達して来たのかな?
「おっ、気が利くね、ありがとう」
「飛鳥もね」
「ありがとう」
「それじゃ、行きますよ!」
私達の順番が来たみたいです。相手は中山先輩のチームです。
「それじゃ、先生行きますよ」
中山先輩のサーブです。ボールが私のそばに…… それを静香が拾いました。
「飛鳥、トスを上げて!」
私は言われた通りトスを上げます。それを桐生先生がスパイク! 先に得点を挙げました。
「飛鳥、私と桐生先生でレシーブするから飛鳥はトスを上げて、私か桐生先生でスパイクするから」
それって私はトス専門ってこと? それってセッターとかいうポジションでチームの司令塔みたいなもんじゃなかったかな…… そんな事を考えていた時、私は狙われました。相手のスパイクが軽くチョンと触れ私の前に、慌てて拾い静香がスパイクしますがアウトです。
「おい中山、素人相手にフェイントとかずるいぞ!」
桐生先生が抗議しますけど……
「先生の策略にはハマりませんよ」
などと言われてしまいました。今度もまたフェイントです。私はとにかくボール目掛けてジャンプして両手でボールを相手のコートへ、まあブロックですよね! たまたま相手の軽いスパイクが私の手に当たりブロックが成功した形です。
「飛鳥、本当は経験あるんじゃないの?」
「えっ、なに!」
私は必死で、何を言われているのか解らない状態でした。しかし、その後は桐生先生も疲れて来たのかミスが目立つようになり、相手に点差をつけられ…… 負けてしまいました。
「いや、すまない! 最近疲れやすくてね、もう歳かな……」
そう言って座り込んでいる先生にタオルを掛ける城戸先輩です。なんとなく仲が良さそうですけど……
「先生、バーベキューの火起こしがあるからそれまで休んでいて下さいね」
だって! なんだか、優しいのか使われているだけなのか解らないですね……
「おいおい、火起こしは松坂君がいるだろう」
「松坂君は、まだ勝ち残っていますので……」
桐生先生はひとつ溜息を吐いて……
「また中山と高木が二人して楽しんでいるんだろう」
「あの二人は子供みたいに本気ですからね……」
「あの、城戸先輩はやらないんですか!」
私が訊くと……
「私はどっちかというと運営側だから皆んなのサポート役をね」
どうやら自転車部は高木先輩、中山先輩、城戸先輩の三人で回っているような感じです。
なんとか片道は走り切ることが出来た飛鳥ですが…… ビーチバレーをしてバーベキューが終わったあと帰りの二十キロは走れるのかな?




