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憧れの医療  作者: 赤坂秀一
第七章 インターン
61/69

61 トリプルウエディング(黒瀬美咲編)

お待たせしました第61話を更新しました!


そろそろ前期研修が終わろうとしているなか、飛鳥の周りではウエディングラッシュです。

 私の前期研修ももうすぐ終わろうとしています。四月からは後期研修が始まります。しかし、その前に生田(いくた)君と美咲(みさき)の結婚式があります。それだけじゃありません。四月には桐生(きりゅう)先生と城戸(きど)先輩の結婚式があって、五月には(せき)先輩と瑞稀(みずき)の結婚式も控えています。まったく、何も同じ時期にしなくても…… そう思ってしまいます。だって、御祝儀だってあるんだよ! どうしてくれるの! それに御祝儀って最低福沢諭吉さんを三人くらい連れてた方が良いって聞きますけど…… まったく、この三ヶ月で私は御祝儀貧乏になりそうです。春物のワンピーとか新しいミュールを買おうと思っていたのに…… この三ヶ月で福沢諭吉さんが十数人お手繋いでいなくなってしまいます。はあ…… 溜息しかでませんね。そう言えば、関先輩が勤めている結婚式場ってララシャンプルミエ城南(じょうなん)って言ってたかな、瑞稀はそこで式を挙げるんだよね…… 美咲達はどこで式を挙げるんだっけかな? 私はもらっていた招待状を確認しますけど…… えっと、アクアデビュープレイスって何処だろう? 私はスマホで調べてみました。あった! 鷹取市(たかとりし)か…… まあ、二人とも研修を受けてる病院が鷹取総合病院だもんね! それで城戸先輩はアンジェラヒルズ橋本(はしもと)か…… 三者三様ですね! そういう事で今度の日曜日はアクアデビュープレイスという結婚式場に行きます。

『チーン』

 あっ、メールが来ました。玲華(れいか)からです。

『今度の日曜日、一緒に行かない? 飛鳥(あすか)の家に迎えに行くから』

 まあ、まとまって行った方が良いですよね!

『プルプルプル……』

 今度は梨菜(りな)から電話です。

「もしもし」

『飛鳥、美咲達の結婚式に着て行くドレスとかどうする?』

 そうか、ドレスとかいるよね……

「あっ、どうしようスーツとかでも良いかな?」

『私はレンタルにしようと思ってるけど、式場に問い合わせたらあったから』

「そうなんだ、私もそうしようかな」

『ネットで予約出来るよ』

「うん、梨菜ありがとう」

『それで当日は飛鳥の家に集合らしいけど車を停めるとこあったっけ?』

「えっ、家に集合なの?」

「玲華がそう言ってたけど」

 えっと、家にはお父さんの車と姉の車、それに私のトッポちゃんで三台あるから梨菜の車は置けないと思うけど……

「家には車が三台あるから、たぶん無理だよ」

『やっぱり、無理だよね…… 飛鳥ん家はそこまで広くなかったよね』

 なんか、ちょっと引っ掛かる言い方だな……

「うん、無理だよ」

 まったく、玲華は何を考えているのか……

「まあ良いわ、いざという時は玲華のアパートに停めるから」

 まあ、どっちにしても一台は使う訳だしね!


 土曜日の夜、私は実家に戻って来ました。

「お帰り飛鳥」

「ただいま」

「晩ごはんはいらないんだよね」

「うん、病院で食べて来たから」

 私はそのまま部屋へ行きました。今日も一日疲れた。一番疲れたのはアパートを出るとき(しずく)ちゃんに捕まってなかなか離れてくれなかった事かな…… 以前研修で一ヶ月間逢えなかった事がかなり淋しかったようです。まあ、梨子(りこ)ちゃんが居てくれて良かったけど、やっぱり懐かれてるのかな……

 翌朝、朝一番に玲華が来ました。

「おはよう、飛鳥!」

 玲華っていつも朝早いよね、しかも格好はいつものシャツとジーンズですけど……

「玲華もレンタルなの?」

「そうよ! 飛鳥もでしょうってあなたはそのままでもいけそうね!」

「そんな訳ないでしょう! 白い花柄のワンピーに淡いピンクのミュールなんだから、玲華こそあまりにもラフすぎない! それで式場に行くつもり」

「向こうで着替えるから大丈夫よ! ところで梨菜はまだ来てないよね?」

「うん、それで車は何処に停めるの?」

「あっ、大丈夫、美彩(みさ)先生にお願いしてクリニックに停めさせてもらえる事になってるから」

 あっ、なるほど! だからうちの実家に集合な訳ね。

「ところで車は誰のを使うの?」

「えっ、使わないよ」

「でも、鷹取市までどうやって行くの?」

 玲華はニッコリ笑顔で!

「それはね……」

 玲華が説明しようとした時です。

「おはようございます! 今村さんすみません御手洗いをお借りしたいんですけど……」

 えっと、黒井(くろい)さん……?

「あっ、はいどうぞ」

 なるほど、久々に玲華ん家の高級車で行くのね。

「飛鳥おはよう」

 梨菜も来ました。

「梨菜、車は?」

「飛鳥の家の近くのクリニックに停めて良いって玲華が!」

 あっ、玲華から聞いてるのね!

「それより、飛鳥の家の前に黒塗りの高級車が停まっているんだけど…… 怖い人達の車じゃ無いよね」

 あれ、梨菜は知らないんだっけ……

「梨菜、あれに乗って行くんだからね」

「えっ、嘘でしょう…… 大丈夫なの?」

 もう、玲華も意地悪だな……

「梨菜、あれは玲華ん家の車だよ」

「えっ、どういう事?」

 梨菜は目を白黒させています。

「だから、玲華は如月総合(きさらぎそうごう)病院の令嬢だから」

 あっ、この言い方はやばかったかな……

「飛鳥!」

 案の定、玲華に睨まれてしまいました。

「だって、梨菜が訊くから」

「それにしても梨菜もお洒落して行くのね」

 梨菜は淡いピンクのブラウスに黒っぽいスカートとシルバーのパンプスです。まあ、普通はこれくらいのお洒落はすると思いますけど……

「普通これくらいのお洒落はするでしょう! それに二次会とかもあるんだから…… 玲華はシャツとジーンズで二次会に行くの?」

 まあ、そうなりますよね…… と朝からくだらない話をした後、玲華の高級車で鷹取市にあるアクアデビュープレイスに来ました。まずは変身しないといけませんね!

 私達三人は同じ控室でそれぞれ予約していた衣装に着替え、メークもばっちりやりました。

「飛鳥って何を着ても似合うのね」

 梨菜にそう言われたら、ちょっと照れますけど……

「梨菜、それを言うなら馬子にも衣装って言うのよ」

 相変わらず玲華は酷いです。でも普段シャツとジーンズの玲華もきちっとした衣装を着ると、ちゃんと令嬢になるんですよね! 玲華はスカイブルーのパーティードレスです。私はグリーンのパーティードレスに梨菜はピンクのパーティードレスに身を包み、みんなの元へ行きました。そこには懐かしいメンバーが揃っていました。

静香(しずか)遥香(はるか)!」

 玲華がそう言ってそばへ行きます。この三人は大学時代はいつも一緒だったからね。

「梨菜!」

 そう言って私達のそばに来たのはカッキーです。カッキーはクリーム色のドレスを着ています。男性陣も松坂(まつざか)君、谷崎(たにざき)君、神地(かみじ)君、そして二階堂(にかいどう)君と揃っていますね! 男性はこんな時はスーツを着るだけなので良いですよね。でも、ドレスで華やかになれるのは気分が良いです。

「今村、綺麗だな」

 二階堂君にそう言われ、ちょっと気分が良いです。この間の事は納得してくれたのかな……

「ありがとう二階堂君!」

 そんな話をしてる間に、いよいよ式が始まります。チャペルの扉が開き、ウエディングドレスを着た美咲が父親と一緒にバージンロードを歩きます。途中から生田君と一緒に歩いています。うん、綺麗です。私もウエディングドレスは着たいな…… 結婚は無理だけど…… その後、指輪の交換と愛の誓いを見せつけられて、式は滞りなく終わりました。チャペルの鐘が鳴り響くなかブーケトスがされました。女性陣は我先にブーケを取りに行きますけど…… それを受け取ったのは玲華です。

「次は玲華の番だね!」

 美咲が笑顔でそう言います。確かに高校の時から彼氏さんがいるんだからいつ一緒になっても可笑しくは無いですけど…… この二人はどうなっているんだろう。


 式の後は披露宴です。最初の入場では美咲はエメラルドグリーンのカクテルドレスで入場です。凄く綺麗だけど…… ちょっと気まずいです。だって花嫁とドレスの色が被ってますから…… ケーキカットの後、ビールを持って美咲のところへ行ったら……

「もう、飛鳥真似しないでよ!」

 そう言われてしまいました。

「しょうがないでしょう! 知らなかったんだから」

 でも、私のドレスより美咲のドレスの方が格段に豪華です。

 そして、披露宴はいよいよクライマックスのキャンドルサービスですけど……

「あれ、火がつかないぞ」

 生田君と美咲は、私達のテーブルのキャンドルになかなか火がつかないのでちょっと焦ってるかな…… 玲華が細工をしすぎたみたいですけど…… 生田君と美咲はちょっとドキドキしてるかな? でも、私の隣の玲華もやりすぎたとドキドキしてるみたいです。

「あっ、ついた!」

 キャンドルに火が灯ったとき生田君と美咲は揃ってそう言いました。息ぴったりです。本当、仲が良いな。お幸せに!


 トラブルもちょっとありましたけど、無事披露宴も終わり二次会です。

「美咲おめでとう!」

 みんなからそう祝福されるなか、男性陣では生田、浮気とかするなよ! などと言われています。まったく神地君、こんなとこで言う事じゃないでしょう。

「生田、鷹取総合病院って若くて可愛い看護師がいっぱいいるんだろう! 紹介しろよ」

 神地君は結構女性に飢えてますね…… 橋本大学病院にも若い看護師はいたと思うけどな……

「美咲、エメラルドグリーンのカクテルドレスは素敵だったよ!」

「うん、ありがとう。あれは最初からのお気に入りで着たいと思っていたんだよ! 誰かさんと被っちゃったけどね!」

「だから、あれは知らなかったから……」

 美咲ってこんなに執念深かったかな……?

「でも、あれは飛鳥に着せたら似合うかなと思ってたの、そしたらやっぱり着たくなってね! 飛鳥はグリーンのロングスカートとか似合うから絶対似合うよ!」

「でも、飛鳥はもっと派手な物が良いんじゃない。

 またそんな事を言うのは静香です。

「あっ、それは私も思った」

 もう、玲華まで何言ってるのか…… あれ、梨菜が二階堂君のところへワインを持って行っています。うん、いい感じかな!

「飛鳥、梨菜に二階堂君を取られてるけど良いの?」

 遥香が私の側に来ましたけど……

「うん、良いんだよ……」

「喧嘩でもしたの?」

「ううん、してないよ! 二階堂君には私のようなジェンダーレスよりちゃんとした女の子が良いと思うから」

 遥香は表情を曇らせながら私のそばまで来ます。

「飛鳥はそれで良いの?」

「うん、良いの…… 私もずっと辛かったから」

 遥香は他にも何か言いたそうでしたけど、私の事を理解してくれたのか、それ以上は何も言いませんでした。

 その後、二次会も終わり私と梨菜と玲華の三人が黒塗りの高級車に乗り込むときでした。

「今村、また明日な!」

「うん」

 そう言って私が小さく手を振ると二階堂君は松坂君の車に乗って帰って行きました。私にも、みんなにも二階堂君は気を遣ったのかな……


 その一ヶ月後、四月の一週目の日曜日、今度は桐生先生と城戸先輩の結婚式が行われます。場所はアンジェラヒルズ橋本です。この結婚式には私と玲華、そして、遥香と静香と松坂君が招待されてるはずですけど……

「おーい、玲華!」

 あっ、静香と遥香がいました。

「あーっ、良かった! 知ってる人がいて」

 確かに病院関係者が多いよね。数人は私が知ってる人もいるけど、相手は私の事を知らないかも……

「今村、如月来てくれてありがとう! 慶子も喜ぶよ」

 桐生先生がいました。他の人達に挨拶とかしなくて良いのかな……

「他には呼んでないんですか?」

「たぶん、中山と高木は来てるはずなんだけどな……」

「松坂君は来てないんですか?」

「ああ、松坂は今日は日直らしい」

「そうなんだ」

 今回の結婚式は前回に比べると固苦しい式になりそうです。


大学同期の結婚式で久々に懐かしい面々に逢えて気分は同窓会です。そんななか二階堂君は普通に飛鳥と接してくれています。この間の事は納得したのでしょうか?

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