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憧れの医療  作者: 赤坂秀一
第七章 インターン
57/69

57 山岡大学病院

お待たせしました第57話を更新しました!


山岡大学病院での研修が始まります。一ヶ月の研修ですけど……

 お正月休みの最終日、私は山岡大学(やまおかだいがく)病院へ特別研修へ行きます。明日の初日は朝八時半までに病院へ行く事になってますので一日前に出発します。そういう事で、私が城南駅(じょうなんえき)に行くと玲華(れいか)梨菜(りな)、そして瑞稀(みずき)がいました。

「えっ、どうしたの?」

 私がちょっと驚いた顔で言うと……

飛鳥(あすか)が言ったんでしょう! 瑞稀に研修に行くって」

 玲華が呆れ顔でそう言いますけど……

「えっ、そうだっけ?」

 確かに瑞稀に結婚祝いの電話はしたけど…… 研修の話とかしたかな? 二階堂(にかいどう)君の話になってその事ばかり考えていたからよく覚えていません……

「飛鳥、いつ帰って来るの?」

 梨菜にそう訊かれましたけど……

「えっと、四週間だから二月の十日くらいには戻ってくるよ」

「そうか、頑張って来てね!」

「うん、見送りありがとうね!」

「良いのよ、こんな事でも無い限りなかなか逢えないでしょう」

 まあ、玲華の言う通りかもね……

「それに……」

「えっ、なに?」

「…… うん、何でもない」

 玲華は何を言いたかったんだろう?

「ねえ、ところで久美(くみ)は?」

「久美は今日は学校なんだって!」

「そうか、学校の先生も大変なんだね」

「まあね!」

 そういう事で、私は三人に見送られ城南市をあとにしました。


 山岡市に着いたのは午後七時を回っていました。今日から予約していたビジネスホテルに約一ヶ月泊まり込みます。以前診察の時にも来ましたけど、前回は日帰りでしたからね! でも、今回は長期滞在になりますのでなんだか不安でもあり、淋しいです……

 翌朝、私は八時にホテルを出ました。大学病院までは歩いて十分くらいのところです。ここは良い所ですね。久々の街の中です。コンビニやスーパー、それにレストランやカフェとかもあります。今まで山の中にこもっていましたからなんだか新鮮ですね。そう思い街並みを見ながら大学病院に到着しました。取り敢えず受付に行きましょう。

「あの、研修に来ました北山総合(きたやまそうごう)病院の今村飛鳥ですけど……」

「おはようございます! しばらくお待ちください」

 受付のお姉さんはパソコンで確認したあと……

「お待たせしました! 隣の棟のジェンダーセンターにお願いします」

「はい、ありがとうございます」

 前回来たときもそう言えばそんな感じでしたね! 私がセンターの方へ行った時、入口のそばに一人の医師がいます。

「おはようございます」

「おはようございます! 今村飛鳥さんですね」

「はい」

「お久しぶりです。馬場龍司(ばばりゅうじ)です」

 あっ、馬場先生が研修をしてくださるみたいです。

「馬場先生、またお世話になります」

「はい、案西(あんざい)先生の頼み事ですからね」

「えっ、案西先生ですか?」

 これってどういう事でしょうか……

「まあ案西先生こそ、この病院のセンター長に相応しいと思うんですけど……」

「案西先生ですか……」

「あっ、すみません。ん…… 聞かなかった事にしてください」

 えっ、そう言われると余計に気になるんですけど……

「それじゃ、医局の方へご案内します」

 えっと、さっきの話は、もう終わりなんですよね…… 私はそのまま医局の方へ案内されました。

「今村先生、センター長の桃井彰(ももいあきら)先生です」

 この方がセンター長ですか…… 結構若い方なんですね。

「初めまして桃井です」

「今村飛鳥です。よろしくお願いします」

「はい、しっかり勉強して行ってください」

「はい、ありがとうございます」

「では今村先生、私のチームを紹介します」

 馬場先生はそう言って医局を出て行きますけど……

「あの、どこに行くんですか?」

「はい、手術室です」

 へぇ、手術室? どういう事? 何だか意味が解らないんですけど…… そう思いながら馬場先生に着いて行きます。

「ここです。今村先生も手洗いをお願いします」

「はい……」

 私と馬場先生は二人並んで手洗いをします。その後、馬場先生は手術用の手袋とエプロンをして手術室へ入ります。

「今村先生はそのまま中へどうぞ」

 ひょっとして手術をするのかな…… 中に入ると他に四人の先生と看護師さんがいます。

「みなさん、今日から研修の今村飛鳥先生です」

「あっ、婦人科の猿渡(さるわたり)です」

「泌尿器科の犬崎(いぬざき)です」

「形成外科の城島(きじま)です」

「麻酔科の工藤(くどう)です」

「あっ、よろしくお願いします」

 えっと、今から手術をするんですよね……

「今村先生は見学です。良く見ておいてください」

 そして、乳房切除術が始まりました。まだ初日、到着して三十分くらいなんですけどね…… どうやらこの四週間は手術三昧のようです。それにしても何も説明を受けてないのでどうなっているのか解りませんけど…… 乳輪に沿ってメスが入れられてるようです。たぶん、そう切った方が傷が目立たないんだろうと思います。その後乳腺の切除がなされています。大きかった胸が段々小さくなっていきます。そして、縫合され、手術が終わりました。時間にして二時間半くらいでした。乳房切除術は意外と時間が掛かるんですね! その後は昼食を取った後、術後患者さんのケアと今後手術予定の患者さんの診察があります。手術はずっと予約が入っているみたですね!

「飛鳥先生、今日一日どうでした?」

「はあ、なんだかよく解らないうちに一日終わってしまった感じです」

「まあ、今日は来てすぐに手術でしたからね!」

「明日も九時から子宮卵巣の摘出手術がありますので、第二助手をやりましょうか」

 えっ、第二助手ですか…… 私が返事をする前に話が決まったような感じですけど…… まあ、四週間で何かを学ばないといけませんし、やりましょう! あれ、でも……

「あの、馬場先生、明日もFTMの患者さんなんですね!」

「はい、そうですよ! 案西先生からは乳房切除術と子宮摘出術の研修と聞いてますけど」

「あっ、そうなんですね……」

 えっと、どういう事でしょうか……

「飛鳥先生は何も聞いて無いんですね」

「あっ、はい……」

「まあ、解らない事は多いと思いますけど、がんばりましょう! あっ、来週のエストロゲンの接種はうちの方でやりますので!」

「はあ、ありがとうございます」

 なんだか、私の知らないところで話が色々と出来上がっているみたいです。馬場先生も詳しい事は知らないんですよね……


 本日の研修が終わり私は馬場チームの皆さんと食事をすることになりました。食事といってもここはどう見ても居酒屋さんですよね…… まあ、私はアルコールが駄目なので食べる方に専念しましょう。

「今村先生は何を飲みますか」

 馬場先生に訊かれましたけど……

「あっ、私はアルコールが駄目なので烏龍茶で」

「えっ、今村先生はお酒は駄目なんですか?」

 婦人科の猿渡先生です。

「それじゃ、居酒屋じゃ無い方が良かったですね」

「あっ、でも居酒屋さんならではの料理は好きなので」

「でも、それってもったいないですね、アルコールって飲むとバストアップになるんですよ!」

 えっ、そんな話は聞いたことがないですけど…… それに、もし本当なら玲華は巨乳になってるはずですよね……

「猿渡先生、そんな根拠のない話は駄目ですよ!」

「いえ、根拠はありますよ、可笑しいな…… 私はこんなに大きいのに」

 うん、確かにDカップくらいありそうですけど、それは、たぶん遺伝や体質だと思います。

「それじゃ、今村先生以外はビールで良いかな」

 という事で、私一人烏龍茶で皆さんと乾杯しました。

「それじゃ、あと食べたい物を各自注文してね」

 馬場先生が一応管理されてるのかな……

 その後は、みなさんお刺身の盛り合わせを食べるみたいなので一緒に頂きました。その後も私は、焼鳥を食べ、串カツを頂きました。猿渡先生と城島先生は肉じゃがをつつきながら熱燗を飲んでいます。犬崎先生は焼魚をつまみに焼酎のお湯割りを飲まれて、馬場先生は唐揚げをつまみにウイスキーをロックで楽しまれています。何だかみなさん好みが違うようですけど、唐揚げだったらつき合えそうですけどね!

「すみません、グリーンサラダと豚足をお願いします」

 私がそう注文すると……みなさん驚かれて私に注目しています。なにか変なこと言いましたっけ……

「えっ、今村先生は豚足が好きなんですか?」

 なにか、可笑しいでしょうか……

「はい、表面はカリッと中はジューシーで美味しいですよ! 私の友達はみんな好きですね」

 それでも私は、みなさんの注目の的です。でも気にせずに早速頂きましょう!

「今村先生、それってどうやって食べるんですか?」

 城島先生からそう訊かれましたけど普通手掴みか箸で食べますよね!

「私は手掴みで食べますよ」

 そう言って両手で持って一口食べます。とっても美味しいです。外のカリカリ感と中の柔らかさが良いですね! もう一口食べた時、いつもの癖で唇をペロッと舐めました。

「今村先生って可愛い顔してワイルドですね……」

 城島先生にそう言われてしまいました。私ってワイルドかな? でも、梨菜なんか食べた後指まで舐めますからね! 私はおしぼりで拭きますけどね。

 そんな話をした後、どうやらお開きのようです。

「もう、終わりですか?」

「ええ、明日も手術がありますから」

「あっ、確かにそうですよね」

 馬場チームの方々はたまにこういう懇親会をするそうですが大体一時間位でお開きにするそうです。

「それだったらお酒もほどほどですみますね」

 私がそう言うと……

「まあ、それが一番ですよ!」

 馬場先生はそう言います。

「今村先生、アルコールの飲み過ぎは胸にも良くないんですよ」

 また、胸の話ですか…… でも、アルコールはバストアップになるんじゃなかったんですか?

「アルコールの分解はどこの臓器で行われますか?」

「えっと、肝臓です」

「そう、お酒を飲むとエストロゲンもプロゲステロンも実は同じ肝臓で分解されます」

 えっ、それじゃ女性ホルモンが分解されるから駄目じゃないですか!

「でも、それは古い女性ホルモンで、その後新しい女性ホルモンが分泌されるんですよ」

「なるほど、だから胸に良いんですね!」

「はい、でも飲み過ぎるとアルコールの分解で肝臓に負荷が掛かって女性ホルモンの分解がなされないんですよ」

「そうなると逆効果ですね」

「そう、だから少しくらい今村先生もアルコールは飲めた方が良いんですけどね!」

 はあ…… でも、私の場合女性ホルモンの分泌がね…… でも、注射をする前日にお酒を飲めば効果ありでしょうか……

 そんな感じで本日の研修は全て終了しました! お疲れ様でした。


取り敢えず初日の研修が終わりました。明日の手術から助手として参加出来るみたいですけど…… 上手く行くでしょうか?

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