36 夏休みの出来事
お待たせしました第36話を更新しました!
飛鳥が手術する病院が決まり、上杉先生、美彩先生に相談した飛鳥は両親にもこの事を伝え手術をする決心をしたようです。
実家に帰って手術の話をした時、父も母も私の事を心良く受け入れてくれました。こういう時が来るだろうと貯金までしていてくれたみたいです。両親には本当に感謝です。姉も本当の妹が出来るみたいで嬉しそうですが……
「ねえ飛鳥、戸籍を変更する場合、飛鳥は長男になってるはずだよね! 変更後は私の妹になる訳だから次女になるんだよね」
姉からそういう風に訊かれましたけど、普通に考えればそうですよね! でも長男からの変更だから長女? でも姉がいる訳ですからそうなると長女が二人とか訳が分からない事に…… やっぱり次女でしょう。
「そうだよね、次女だよね」
姉とそんな話をしながら私は久々に姉の部屋で寝みました。
翌日、私は朝食を食べるためトースターで食パンを焼きます。そう言えばこのトースターは瑞稀と玲華が凄いを連発していたものです。スイッチを入れるとすぐに真っ赤になってトーストしてくれます。メーカー名は丁度良いところが剥がれていて読めないけどマークが何だか魔法のランプみたいな物が付いてますけど、こんなメーカーあったかな…… でも、玲華のマンションのトースターではちょっと焼き上がりが違うんですよね……
「飛鳥、トースターを眺めてどうしたの?」
「あっ、お姉ちゃんお母さんは?」
「保険の仕事じゃない?」
「お姉ちゃん学校は?」
「今は夏休みだからもうしばらくしてから行きますよ」
「夏休みでも、先生の仕事はあるんだね」
「そりゃそうよ! 休みなのは生徒だけ、と言っても部活とかも結構活動してるけどね」
「そうか……」
「ところでうちのトースターがどうかしたの?」
「うん、うちのトースターって良い物なの?」
「えっ、普通じゃないの、なんで?」
やっぱりそうか、気の所為なのかな……
「うーん、なんとなく……」
「飛鳥、このトースターいつ買ったか覚えてる」
「うーん、私が小学生の頃じゃなかったかな?」
「そう、私がこのマークが気に入って買ってもらったの! お母さんはその隣に置いてあったトースターが良かったみたいだったけど」
そういえばそういう事があったね!
「そうそう、お姉ちゃんがこれが良いって言ってたもんね」
「うん、今になって思えば魔法のランプのマークが可愛いなって思っただけなんだけどね」
などと話しながらマーガリンパンを食べます。
「うん、美味しい! これだよ」
「飛鳥、なにがこれなの?」
「この焼き具合、表面はカリッと中身はフワッとモチモチ食感なんだよ!」
「そうかな?」
「お姉ちゃんはうちでしか食べないから解らないんだよ!」
そんな話をしながらの楽しい朝食でした。
「飛鳥、橋本市に帰るんでしょう?」
「うん」
「それじゃ、城南駅まで送るよ」
「うん、有難うお姉ちゃん」
私は久々に姉の車に乗りました。この車は姉が大学に入学した時に買ってもらった物です。私も何度か運転した事がありますけど、やっぱり助手席というのが結構良いですよね! そして、城南駅に到着しました。
「飛鳥、たまには帰って来なさいよ」
「うん、お姉ちゃん有難う」
姉は手を振って見送ってくれました。この後私はトレビでバイトです。
「飛鳥おはよう!」。
「あれ、静香! 十二時からじゃないの?」
「うん、私もオープンからやろうと思ってね!」
「そうなんだ」
「ところで飛鳥、手術をするんだって?」
「えっ、うん…… なんで知ってるの?」
「オリビアに訊いたから」
「そうか! 昨日オリビアさんには勢いで話してしまったからね」
「という事は飛鳥もかなり嬉しかったのね! それでどこの病院なの?」
静香は興味深く訊いて来ます。彼女は本当好奇心旺盛だね!
「えっと、山岡大学病院なんだけど……」
「えっ、それどこ?」
「うーん、新幹線で二時間くらいのとこ」
「結構遠いのね……」
「うん、仕方ないよ日本で手術をしてくれるところは六か所くらいしか無いらしいから」
「そっか、それより玲華は、まだ居酒屋をやってるの?」
いや、玲華がお店をしてる訳じゃないけどね!
「うん、ほとんど午前様みたいなんだけどね」
「玲華も好きだね、飛鳥、玲華の事ちゃんと見てなきゃ駄目だよ」
いや、私は保護者じゃ無いから…… でも、如月先生からも同じような事を前に言われたような…… まあ、先生も親としては心配でしょうね。
『カランカラン』
「いらっしゃいませ!」
静香が対応しようとしましたが……
「飛鳥いってらっしゃい!」
「えっ、なんでよ」
よく見ると二階堂君が二番テーブルに座っています。
「いらっしゃいませ!」
なんだか照れくさいですね……
「オムライスとコーヒーね」
「はい…… どうしたの?」
「いや、飛鳥が作ったオムライスが美味しかったから」
いや、この言葉は嬉しいけど恥ずかしくて顔が赤くなりますね……
「もう、こんなところでそんな事言わないでよ」
「飛鳥が訊いたんだろう」
二階堂君はちょっと照れくさそうにしています。私も恥ずかしくて聞こえないふりをしてカウンターに逃げて来ました。
「飛鳥どうしたの? 顔が真っ赤だよ」
「うん、大丈夫」
もう、他の人もいるのに恥ずかしい…… 私は右手をパタパタしながら厨房へ行きます。
「二階堂君も飛鳥のオムライスが気に入ったみたいね!」
「静香、もういいから…… コーヒーをお願いね!」
私がお願いすると……
「私が作っても良いの?」
そんな事を言われてしまいました。
「良いの!」
私はチキンライスを作った後に半熟玉子を作りチキンライスの上から覆います。オムライスが出来ました。
「はい、二番さんです!」
私がデシャップに出すと……
「はい、飛鳥いってらっしゃい」
そう言って静香がトレイを差し出します。彼女は悪戯っ子の様な顔をしています。まったくもう!
そんな感じで本日もバイト終了です。私達は六時で帰りますけど、その後トレビはオリビアさん一人? 大丈夫なのかな?
「ねえ静香、この後オリビアさんはひとりなの?」
「ううん、旦那さんが来るはずだよ!」
「そうなんだ……」
「それじゃ、また明日ね!」
そう言って静香は行ってしまいました。
はあ、またマンションでひとりですか…… 最近は玲華と顔を合わせるのは朝のちょっとした時間だけですもんね…… ちょっと淋しいかな、でも大学を卒業したら一人暮らしなんだよね…… まだどこの病院で研修するかは決まってないけど…… やっぱり北山総合病院なのかな…… 私はマンションへ帰ると金魚に餌をあげます。そして、元気よく餌を食べる金魚をジッと眺めてしまいます。最近はこんなことばかりしてますね……
「はあ、今日の夕ご飯は何にしようかな……」
つい、口に出して言って見ましたけど、私一人なんだよね、まあ残り物で何か作りますか…… 私はいつも通り夕食とお風呂を済ませ机に向かって少し勉強をします。と言っても前期の実習で学んだことの復習ですけどね!
そう、復習のつもりで机に向かっていたんですけど…… ハッ! いつの間にか眠っていたようです。玲華は、まだ戻っていないようですけど…… その時でした。
『プルルル、プルルル』
スマホの着信音がけたたましく鳴りました。こんな夜更けに誰でしょうか? スマホには桐生先生の名前が表示されてますけど……
「もしもし、今村です」
『飛鳥さん? 看護師の浅田と言います。大学病院の方へ急いで来てもらって良いですか?』
えっ、桐生先生のスマホから看護師さんが電話って?
「あの、桐生先生は?」
『先生は今、手が離せなくて…… とにかく来てもらって良いですか?』
「あっ、はい解りました」
そう私が返事をすると電話は切れてしまいました。どういう事でしょう? ちょっと一人じゃ心細いので二階堂君も呼んじゃおうかな、でも夜も遅いし迷惑かな…… そう思いながらも電話してしまいました。
「ごめん二階堂君、ちょっと大学病院まで来てほしいんだけど……」
『こんな夜遅くどうかしたのか?』
「うん、病院から電話があってすぐに来てほしいんだって」
『判った! 病院の救急入口のところで待ってるから』
そう言って二階堂君は承諾してくれました。私もクロスバイクで病院へ向かいます。玲華にも連絡した方が良いかな? そう思いましたが取り敢えず病院へ行ってからでも良いかな……
私が病院へ着いた時、二階堂君はもう来ていました。
「二階堂君付き合わせちゃってごめんね」
「それは良いが何があったんだ?」
「それがよく解らなくて…… 桐生先生のスマホから看護師さんが電話して来て……」
「桐生先生から電話があったのか?」
「ううん、看護師さんから」
私達は大学病院の救急救命科へ来ました。こんな夜中でも二件の急患があっていました。
「あっ、今村こっちだ!」
桐生先生です。
「あの、どうしたんですか?」
「処置室の方へいいか?」
私と二階堂君が二番処置室の中へ入るとベッドで横になって点滴を受けている玲華がいました。意識もないようです。
「先生、これは?」
「今から三十分くらい前に救急搬送されたんだ」
私と二階堂君は顔を見合わせましたが言葉になりませんでした。
「先生、玲華は大丈夫なんですか?」
「うん、取り敢えずは処置しているから…… それより如月の両親に連絡を取りたいんだ、今村なら知ってるよな!」
「はい」
そう返事をしましたけど…… どうなっているんでしょうか?
夜間に呼び出され大学病院へ行くと、なんと玲華が救急搬送されていました。これはどういう事でしょうか? 事故、それとも病気? まったく玲華は何をしているのか……




