34 アルバイト始めました
お待たせしました第34話を更新しました!
早速、アルバイトを始めました飛鳥です。料理は普段からやってますけど、手際の方はどうでしょうか……
私は今日からカフェトレビでバイトをする事になりました。面接が終わった直後からすぐバイトというのも変な話ですけど、オーナーのオリビアさんに私は気に入られたみたいです。
「飛鳥さん、厨房をお願いして良いかしら」
えっ、いきなりですか?
「はい、良いですけど…… レシピとかはありますか?」
「うーん、大体私が適当に作っていたから……」
そう言いながらオリビアさんはキャンパスノートを持って来ました。
「一応これに大体の事は書いてるけど、ほとんどは目分量でいいよ!」
本当にそれで良いのかな…… そう思いながらノートを見ます。ナポリタンは麺を茹でないといけないみたいですけど。
「オリビアさんナポリタンの麺はどこにあるんですか?」
「あっ、麺は冷蔵庫に取り敢えず十人前は茹でてるから熱湯を潜らせてフライパンで玉葱とソーセージを入れてあとはナポリタンソースで仕上げてね」
なるほど…… オムライスは、まずチキンライスを作ってから玉子焼きで包むタイプなんですね!
「オムライスはちょっと難しそうですね」
「作ったことないの?」
「いえ、私はチキンライスの上から半熟玉子焼きを割って掛けるタイプしか作った事が無くて……」
「えっ、それ出来るの?」
いや、そっちの方が簡単でしょう!
「はい」
「じゃあ、そうしようか! 私はそれが出来ないから包んでいたんだけどね!」
えっ、そっちの方が難しくないですか? 包んでるときに玉子焼きが破けたりしないのかな…… って言うかレシピを勝手に変えていいの?
「あの、出来ない事はないので……」
「ううん、お客様からもたまに言われるのよ! なんだか定食屋さんのオムライスですねって、ここはカフェだからもっとお洒落にしたいのよね」
「でも、いきなり変えて問題ないですか!」
「大丈夫よ、それにオーナーの私が言ってるのよ! 問題無いわ」
はあ! 大丈夫かな? それから他のレシピも確認します。カレーは作り置きしたものを温めて出すだけのようです。サンドイッチは具を作ったのがあるのでトマトと胡瓜だけ切って具材と一緒に挟むようです。
「それじゃ、もうすぐ時間だからオープンするわよ!」
「はい」
何だか不安です。
『カランカラン』
店の扉が開く音です。
「いらっしゃいませ」
オリビアさんが対応します。
「オリビアさんいつものお願いします」
えっ、いつものって何? オリビアさんはデシャップからオーダーを入れます。
「飛鳥さん、ナポリタンをひとつね!」
「あっ、はい」
私はレシピ通りに玉葱を半分と小さく刻んであるソーセージをまずバターで炒めます。その後に茹でてあるパスタ麺を熱湯でさっと温めてフライパンへ入れナポリタンソースで絡めて出来上がりです。
「はい、どうぞ」
「はーい」
オリビアさんがお客様のところへ持って行きます。大丈夫かな…… なんだか心配でデシャップから覗いてしまいます。
「オリビアさんまた味を変えた?」
お客様が妙な事を言ってますけど……
「あら、美味しくなかった?」
「いや、その逆だよ! 何処がどうなったのかは判らないけどとっても美味しいです」
「そう、良かった! 新しいバイトの娘が作ったの」
オリビアさんがそう話しています。なんだかホッとしました。
その後はお客様が増え、今オーダーがナポリタン二つにオムライスが二つカレーがひとつ注文が入っています。私はてんてこ舞いです。
「飛鳥さん慌てなくて良いから、オムライスをお願い」
そう言ってオリビアさんはナポリタンを作ります。私も私流のオムライスを作ります。本当に良いのかな……
チキンライスを作ってお皿に乗せます。その後、溶いた玉子をフライパンに入れ菜箸で数回かき混ぜた後、フライパンを斜めにしてフライパンを持っている左手首のところをポンポンと叩き、玉子をオムレツ状に整えます。それをチキンライスの上に乗せ包丁で切れ目を入れると……
『パカッ』と開いて半熟の玉子が綺麗にチキンライスを覆います。
「あら、上手いわね! やっぱりこっちの方がうちのカフェには似合ってるわ!」
オリビアさんはそう言って出来たナポリタンをお客様のもとへ運びます。私もオムライス二つを作りデシャップへ!
「はい、どうぞ」
するとオリビアからカレーの追加オーダーがありました。カレーは全部で三つです。まあ、温めるだけですけど……
「はいどうぞ!」
まずはカレー二つを先に出します。でも、オリビアさんはお客様となにか話しています。
「飛鳥、これは何処?」
はあ、静香が来てくれました。
「三番テーブルと五番テーブルにお願い」
静香にお願いしたあと、私は残りひとつのカレーを作ります。はあ、やっとこれで一段落です。
「はい、どうぞ」
最後のカレーは人がいないので私が持って行きます。
「お待たせしました。カレーです」
お客様にカレーを届けた後、カウンターで静香から訊かれました。
「飛鳥、あのオムライスはあなたが作ったの?」
「うん、そうだけど……」
「あれ、どうやって作ったの?」
なんと、静香に訊かれてしまいました。私よりも彼女の方が料理は上手いと思っていたんですけどね!
「あっ、あれは半熟の玉子焼きを作ってチキンライスの上で縦に割ってるだけなんだけど」
「あっ、なるほど玉子を焼く時の火加減があるのね」
この日お昼に出たオムライスは十人前、ナポリタンは六人前でカレーは十四人前でした。それだけの料理を作った訳だから忙しいはずです。
「飛鳥さん、あのオムライス評判良かったわよ! トレビのオムライスはこっちが似合ってるよって言われちゃった!」
オリビアさんは上機嫌です。
「ねえ飛鳥、オムライスのコツを教えてよ! 玲華に自慢するから」
「あっ、玲華は私のオムライスをたまに食べてるよ!」
「えっ、そうなの?」
「だって二人で住んでるから」
静香はちょっと残念そうです。
「まあ良いか、遥香に自慢しよう」
静香って自慢するために料理をしてるのかな……
お昼の二時を回ったところでお客様はゼロです。私達もいまから食事をします。
「静香さん、今日のお昼はオムライスを自分で作ってね!」
オリビアさんも静香も、もうやる気満々です。私はいつもどおり、チキンライスを作りお皿の上で形を整えます。その後、卵を二つ使ってかき混ぜフライパンへ入れます。『ジュウ』という音とともに卵の良い香りがします。私は菜箸で軽くかき混ぜ、さっきやってた通りフライパンを持っている左手の上を右手でポンポン叩いて仕上げます。その玉子焼きをチキンライスの上で包丁を使って割ります。中から半熟玉子がチキンライスを覆い隠します。とても美味しそうです。その上にナポリタンソースを掛けて完成です。
「凄く美味しそう」
オリビアさんももう我慢出来ないとでも言いたいのか玉子をフライパンに流し込みます。
「オリビアさん菜箸で軽くかき混ぜてください」
その後右手でポンポンとしながら形を作っていきますが……
「オリビアさん火から離してください」
「えっ!」
そして、出来上がりました…… けど、ちょっと火を通しすぎたみたいです。
「あん、もう失敗しちゃった」
何だかちょっと可愛く言ってますけど……
「あーっ、私も駄目だ……」
あっ、静香はちょっと緩かったみたいです。あれは半熟というよりレアですね……
「静香、十秒くらいレンジで温めれば」
私にそう言われ静香はレンジで温めていますけど…… 結果はちょっと微妙ですね! 表面の玉子が固まったようになりました。
「うーん、やっぱり難しいな」
そんな事を言いながら私達三人はお互いのオムライスを少しずつ食べます。そんな時でした。
『カランカラン』
えっ、お客様? 私は食事を中断して対応します。
「いらっしゃいませ!」
「えっ、飛鳥?」
そこには梨菜とカッキー、それに二階堂君と生田君がいます。
「飛鳥、連絡がつかないと思ったらなにやってるの?」
「えっ、バイトだけど…… 四人で何してたの?」
私はちょっと不安そうに訊きました。
「あっ、私達はフットサルをやってたのよ! それにしても飛鳥のそのエプロンは可愛らしくてよく似合ってるわね!」
そう言われると何だか恥ずかしいですね……
「なんだ、二階堂君達か! さあ、入って何にする?」
静香が割り込んで来ました。私は慌ててお冷とおしぼりを四つ準備します。
「お勧めはなに?」
梨菜が訊いてます。
「そうね、オムライスがおすすめかな?」
静香のこの一言で二階堂君と生田君はオムライスになりました。
「うーん、オムライスはちょっと多いかな……」
カッキーと梨菜はそう言ってますけど……
「飛鳥、先にオムライス二つね!」
静香がそう言うので私はオムライスを作ります。
「私達はナポリタンにする」
「二つで良いよね!」
「うん」
「あと、アイスコーヒーを四つね」
オーダーを受けた静香がナポリタンを作りに厨房へ来ました。
「フットサルは夏休みもやってるのね」
「うん、自転車部は不定期開催だけどね!」
「でも、ツーリングするって松坂君が言ってたよ!」
「えっ、いつするの?」
「確か、来週だったと思うけど…… 今津まで行こうかって」
私はそれ、初耳なんですけど…… そう話したあと出来上がったオムライスを持って行きます。
「お待たせしましたオムライスです」
私がテーブルに置くと……
「うわーっ、凄い本格的!」
梨菜もカッキーもそれを見て声を上げています。
「これ、飛鳥が作ったの?」
「うん、そうだよ!」
その後、静香もナポリタンを持って来ました。
「お待たせしました! どうぞ」
「うわーっ、こっちも美味しそう」
四人とも喜んでくれました。
「飛鳥はいつからバイトをやってるの?」
「私は今日からだよ! 夏休み中に少しはやっておかないとね」
そう言って私がお昼ご飯を再開した時でした。案西先生からメールが届いていました。
『飛鳥さん、手術をしてくれる病院が見つかりました。明日にでも楓君のところへ行ってください』
なんと、私の手術をしてくれるところが国内で見つかったようです。何だか嬉しいような…… でも、不安です。
忙しいながらもバイトは好調のようです! そんななか、手術が出来る病院が見つかったと案西先生からメールがありました。飛鳥は本当に手術をするのかな?




