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憧れの医療  作者: 赤坂秀一
第四章 スチューデントドクター
31/69

31 腫瘍内科

お待たせしました第31話を更新しました!


BSLで腫瘍内科で実習している飛鳥ですか、なかなか大変そうです。


 今週からは腫瘍内科での実習です。腫瘍内科っていうことは患者さんは癌患者の人ばかりなんだよね……

「今日から二週間よろしく! 腫瘍内科医の安藤(あんどう)です」

「はい、よろしくお願いします」

 あれ、安藤先生って桑田(くわた)さんの主治医じゃなかったかな……

「あの、桑田さんの……」

「そう、君達が治療方法を考えてくれた僕の患者さんだよ」

「桑田さんは術後、大丈夫なんですか?」

「ああ、今日から流動食が始まるんじゃなかったかな」

 えっと、手術をしたのが先週の金曜日だったので土、日、月で今日で三日目ですが……

「食事をしても大丈夫なんですか? 術後後遺症でダンピングとかをあげてたと思うんですが」

「うん、凄いね、今年のスチューデントドクターは優秀なのかな!」

 えっ、どういうこと? 私達三人は首を傾げました。

「まあ、三日目だし、術後の回復も良好なんでね、それに一度に食べる量も限られているからまず、ダンピングになることはないよ」

 まあ、そんなもんなんでしょうね……

「それじゃ、今日は外来に行くから君達は見学をしていてね、たまに質問するからボーッとしないようにね」

「はい」

「あっ、その前に桑田さんの様子を見ておこうかな」

 そういう事で桑田さんの部屋へ。あれ、桑田さんは大部屋じゃなかったかな?

「桑田さん、どうですか」

「あっ、先生! 食事はまだ出来ないんですか」

「一応今日のお昼から流動食を始めようと思っていますので」

 桑田さんは今まで何も口に出来なかったようですね!

「はい、お願いします。なにか口にしないと何だか気持ちが悪くて……」

 まあ、点滴で食事をしてるんでしょうけど、味気ないですよね。

「あれ、君達は」

「あっ、はい、今週から腫瘍内科で実習なんです」

「そうか、それじゃまたお世話になるかもね」

「はい、よろしくお願いします」

 桑田さんは私達の最初の患者さんですからね。

「桑田さん、今日昼食が終わったら化学療法をしようと思ってますので」

「えっ、化学療法ですか?」

「はい、抗癌剤治療です。一応転移予防のためです」

「あっ、はい、解りました」

 桑田さんはもうしばらく入院が必要のようです。

「安藤先生、桑田さんは大部屋でしたよね」

「はい、そうですね、手術の後から個室にしましたけどあの調子なら近いうちに大部屋に戻しても良いかな」

 この後私達は外来の方に来ました。待合室には沢山の患者さんがいます。この人達全部見るんですよね…… 安藤先生は電子カルテで患者さんをチェックした後、最初の患者さんを診察室へ呼びました。

佐藤(さとう)さんどうですか?」

「はい、抗癌剤治療をした後は全身が怠いです」

「うーん、副作用かな…… 治療が終わったら少し休んでくださいね、今日もこの後治療してもらいますので、怠さが酷い時は看護師でも良いので言ってください」

「はい」

今村(いまむら)さん、佐藤さんに化学療法室まで同行してもらっていいかな」

「あっ、はい」

 私は、佐藤さんと一緒に化学療法室へ行きます。

「あなたは看護師さんですか? 白衣を着てるみたいだけど」

 まあ、彼女からしたら看護師かヘルパーさんにしか見えないでしょうね……

「私は、ここの大学の医学生です」

「学生さんなの?」

「はい、今は臨床実習なんです」

「そうなんだ、それじゃ数年後はお医者さんになってるわね」

 うーん、それはどうだろう、そう思いながらも……

「卒業してからも研修があるからどうでしょうね」

「お医者さんになるのって大変なんだね、でもその頃私は生きてるかな」

「えっ、生きてるでしょう」

「どうかな、私の癌は胃癌なんだけど場所が悪くて胃の下の方に癌があるの、それで幽門を残せないかも知れないから手術前に抗癌剤で癌を少しでも小さく出来ればという事なんだけど……」

「幽門を残せなくてもダンピングを起こさないような食事を考えれば大丈夫ですよ」

「ダンピングって?」

 あっ、しまった! これ私が話しても良いのかな……

「えっと、ダンピングは術後食事を再開した時、食べた物が急速に小腸に流入することで、動悸や目眩、全身の倦怠感が起こる事です」

「そうか…… でも、あなたは良いよね! 病気とは無縁みたいだから」

 それを聞いた時、私だって厄介な病気にかかっているんだけど、何故かそう思ってしまいました。でもわざわざそれを言わなくても良いかな!

「あっ、飛鳥(あすか)さん今日注射来ますよね!」

 あっ、看護師の空野(そらの)さんです。

「うん、放課後に」

「えっ、注射? どこか悪いんですか」

 あっ、タイミングが悪かったかな……

「飛鳥さん、それじゃ放課後に」

 そう言って空野さんは行ってしまいました。佐藤さんは私の事を見てますけど……

「どこか、悪いんですか?」

「実は私も病気持ちなんです。性同一性障害って言うんですけど」

「えっ、あの、いくつもの人格があるんですか?」

 えっ、なにそれ?

「人格はひとつですけど……」

 あっ、そう言えばそう言う病気がありましたね……

「あの、それって解離性同一性障害ですよね」

 佐藤さんって難しい事知っているんですね……

「あの、私は多重人格障害じゃ無いですよ」

 私ってそういう風に見えるのかな……

「あっ、ごめん違った……?」

「私は、身体の性別と自認する性別が違うんです。こう見えて私は戸籍上は男なんです」

「えっ! そうなの? 全然解らなかった…… でも、それも大変だよね」

「まあ、ホルモン療法で女性に近づけていますけどね」

 そんな話をしながら化学療法室に着きました。

「佐藤さんを連れて来ました」

「あっ、佐藤さんこっちにお願いします」

 彼女は看護師さんに呼ばれ抗癌剤治療を受けます。

「それじゃ佐藤さん私はこれで」

 佐藤さんは手を振ってくれましたので私も手を振って化学療法室を出ました。しかし、ここの患者さんは精神的に辛いところですよね、命の危機で治療を受ける訳ですから……


 私は外来の診察室に戻って来ました。

「只今、戻りました」

「あっ、お疲れ様」

 そう言いながら検査結果の画像を見ています。

二階堂(にかいどう)君、これ解るか」

「はい、膵臓癌(すいぞうがん)ですね」

「うん、そうなんだけど他に気づいたとこは?」

 二階堂君は画像を見ながら考えています。

「膵管に浸潤(しんじゅん)してますよね」

 私はつい口をはさんでしまいました。

「今村さんは鋭いね」

「先生、どういう事ですか?」

 カッキーは意味が解らず頭を抱えています。

「これは膵管(すいかん)からの癌です」

「手術は出来るんですか」

 二階堂君から質問がありましたけど……

「それを決めるのは外科の先生だ! 私達は何をするべきだと思う?」

 えっと…… そう言われてもですね。

「化学療法ですよね!」

「うん、君達は医局に戻ってその辺を調べてもらって良いかな。私も外来が終わったら戻るから」

 そう言われ私達は医局へ戻り膵臓癌の治療方法を探します。なんだかBSLが始まってからずっと癌について調べているようなんですけど…… 私達は医局に戻り膵臓癌について調べます。

「内科としてはさっきも言ったけど化学療法だよな」

 早速、二階堂君からそう言われたんですけど……

「放射線治療とかもあるんじゃない」

 私がそう言うと……

「うん、そうだね。でも放射線治療ってどんな事をするの?」

 カッキー、もう少し勉強しようよ……

「エックス線とかガンマ線とかを使った治療で照射する事で癌細胞に効果があるみたいだよ」

「それと重粒子線治療というのがあるらしい」

 二階堂君が言いました。流石によく知ってるけど、重粒子線って?

「重粒子線って放射線治療とまた違うの?」

「ああ、重粒子線は炭素粒子を使うみたいだ。それを使うと癌細胞だけに効果があるみたいなんだが」

 確か、エックス線やガンマ線は正常な細胞にも影響があったと思います。まあ、後遺症という事なんでしょうけど……

「確かに重粒子線は効果はあるかも知れないが、うちの大学には設備が無い」

 安藤先生と桐生(きりゅう)先生がそこにいました。

「桐生先生、手術は可能なんですか?」

「切れない事はないが膵頭部(すいとうぶ)と十二指腸を切除して小腸に膵液を流す事になる」

「十二指腸も切るんですか?」

「膵管からの癌なら十二指腸も癌化してる可能性が高い。残して再発すれば今度は命に関わる」

 外科の治療方法としてはそういう事のようです。

「取り敢えず放射線治療と化学療法を併用して手術に備える。君達は合併症と後遺症を調べておきなさい」

 安藤先生からはそう指示がありました。


 放課後、私は治療のため精神科へ行きます。

「飛鳥さん、精神科の実習はいつなの?」

 そこにはワンピースの上に白衣を着たちょっとお洒落な本郷楓(ほんごうかえで)先生がいます。

「私にもまだ判りません。今週から腫瘍内科で実習して、その後整形外科の実習までは決まっているみたいなんですけど」

「そうなのね、まあ楽しみにしてるわ! いろいろと教えてあげたい事が沢山あるから」

 本郷先生はそう言いながら不敵な笑みを浮かべています。何だか恐ろしいんですけど……

「今は誰か実習に来てるんですか?」

「ええ、そりゃ来てるわよ! 確か、如月(きさらぎ)さんとか渋谷(しぶや)さんとか、あと松坂(まつざか)君とか言ってたかな……」

 それはたぶん玲華(れいか)静香(しずか)の事だね! 玲華達は外科は後回しなのかな……

「本郷先生、腫瘍内科の患者さんが精神科の治療を受ける事とかあるんですか?」

「ええ、あるわよ! 癌だと診断されたらやっぱり考え込む人は多いのよ、それで夜に眠れなくなったりとかね」

「そういう時はどんな治療をするんですか?」

「まあ、まずは話をよく聞いてあげるの、相談相手になるというとこかしら、それだけでも全然違うのよ」

「お薬とかは使わないんですか?」

「そうね、あんまり酷いと使うけど患者さんによっては服用するお薬の数が多い人もいるからなかなか難しいのよね」

 なかなか、診療科によって難しいところなんでしょうね精神科だけじゃない訳ですから……

「飛鳥さんはどうなの、ちゃんと眠れてる?」

「はい、眠れてはいますけど…… BSLの実習では癌患者の方ばかりなので何だか気が滅入ってしまって」

「うん、そうね…… 患者さんに寄り添ってあげるのは必要かも知れないけど、少しは息抜きしないともたないわよ」

 まあ、確かにそうですね、私は久々に本郷先生の顔を見ただけで気持ちが落ち着きましたから。その後、空野(そらの)さんのところで注射とおしゃべりをして私の治療も終わりです。

 これで少しはリフレッシュ出来たかな! 明日からまた実習です。BSLはきついとは聞いてましたけどやっぱり大変ですね……

久々の治療で本郷先生や空野さんと話が出来て飛鳥もリフレッシュ出来たようです。これでもう少しBSL頑張れそうです!

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