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憧れの医療  作者: 赤坂秀一
第一章 橋本大学
3/69

3 自転車を購入します

お待たせしました! 第3話を更新します。今回は初めて橋本大学病院を受診します。その後は自転車部に入部したのでスポーツタイプの自転車を見に行きますが……


 私と玲華(れいか)、それに遥香(はるか)静香(しずか)松坂君(まつざかくん)の五人で自転車部に入部しました。と言っても何かをする訳ではないけど…… でも四月の下旬には新歓でバーベキューを橋本川(はしもとがわ)の河川敷でするらしいです。居酒屋さんとかじゃないみたいで他のサークルとはちょっと違うみたいです。でもその前に私は本郷(ほんごう)先生のところへ治療に行きます。まずは受付です。

「あの、精神科にお願いします」

 受付のお姉さんは眉間に皺を寄せながら私を見ます。

「あなた、ここの学生さん? 今は外来時間だから先生とは会えないわよ」

 ちょっとムッとした表情の受付のお姉さんですが……

「いえ、診察をお願いしたいんですけど……」

 今度は訝しげな目で見られてしまいました。

「どこか精神的に不安なの? ここは紹介状とかがないと簡単には診てもらえないわよ」

 本当、事務的な対応で可愛げの無いお姉さんです。私もちょっと顔が引き攣っているかも……

「あの、アポイントは取ってありますので本郷先生をお願いします」

 受付のお姉さんは仕方ないという表情で電話連絡をしてくれました。

「学生さんが先生を訪ねて来てますけど……」

 このお姉さんは大丈夫かな?

「はい、アポイントはあるみたいですけど…… 名前ですか?」

 受話器を持ったまま受付のお姉さんが……

「あなたお名前は?」

「今村飛鳥です」

 そう言うと、電話連絡が終わった受付のお姉さんから……

「保険証をお願いします。あと約束してるなら最初にそう言って下さい」

 いや、それなら最初に訊いてよ! 対応が悪い受付だなぁ…… ちょっと不機嫌になりながら私は、精神科の窓口で看護師さんに声を掛けます。

「はい、今村さんですね! 待合室でお待ちください」

 私は待合室の椅子に座って待っていると……

「今村飛鳥さん三番へどうぞ」

 はあ、やっと順番が来ました。私は指定された三番の診察室へ行きました。

「先生こんにちは、よろしくお願いします」

 すると、本郷先生は私の顔を見るなり……

「飛鳥さん、ごめんね! 受付に連絡をして無かったから大変だったでしょう」

 本郷先生の第一声は私への謝罪でした。

「いえ、大丈夫ですよ! ちゃんと診察して頂けるんですから」

 一応そう答えた私の顔は引き攣っていなかったかな?

「大学病院の受付ってこんなもんなんだよね、うちの学生とか紹介状が無いとね……」

「診てもらえないんですか?」

「事前にアポイントがあれば良いんだけど、なにしろ患者さんが多いからね、まあ精神科はそんなに多くも無いけどね」

 その後、上杉先生からの紹介状を見ながら問診が始まりました。

「それにしても本当に綺麗だよね、絶対に男の子には見られないでしょう」

「ええ、間違えられる事はありませんけど…… そんなに綺麗じゃ無いですよ」

 ちょっとだけ照れますね!

「それじゃ、問題無さそうだし今まで通りプロギノンデポー筋注10mg投与しますので婦人科の方へお願いね」

「はい」

「婦人科に行って看護師の空野(そらの)さんに声を掛けてね! こっちの方はちゃんと話が行ってるから」

「はい」

 そして、婦人科の窓口で空野さんをお願いしました。

「あなたが今村さんね、担当の空野葵(そらのあおい)です。よろしくね」

「はい、お願いします」

「今村さんはいつも何処に注射してるの?」

「えっと、私はいつも肩にしてもらってます」

「そうなんだね、それじゃ今日は左右どっちにする?」

「えっと、前回が確か右だったので今回は左でお願いします」

 私がそう言うと空野さんは「ふふっ」と笑いながら……

「それじゃ消毒しますね」

 そう言われて私は、もうなるべくそっちを見ないようにしました。前回の事がちょっと脳裏に浮かんだのです。まあ、元々注射は苦手なんですけどね! 私が顔を背けていると……

「はい、終わりましたよ」

 えっ、もう終わったの? 私は何も感じませんでした。

「あの、本当に全然痛くなかったです。こんなの初めてでした」

 空野さんはニッコリ微笑んで……

「あら、おだてても何も出ないわよ」

 そう言いながらも空野さんはちよっぴり照れてるみたいですけど……

「でも、こんなに痛く無かったら嬉しいですよ」

 私も微笑みながら言うと……

「あんまり言わないでプレッシャーになるから…… 次回痛かったら困るじゃない」

 空野さん今度はちょっと困った様子です。なんだか可愛い人だなと思いました。

「うちの病院は大体お尻に注射するんだけど、肩の方がやりやすかったかな」


 まあ、取り敢えず橋本大学での一回目の治療が終わりました。私は帰りに玲華のマンションへ行きました。最初のドアのところで玲華の部屋のインターフォンを押すと……

「飛鳥すぐ開けるから待っててね」

 どうやらカメラ付きのインターフォンのようです。私は開いたドアを抜け玲華の部屋に行きました。

「いらっしゃい飛鳥!」

 私が中へ入ると玲華はコーヒーを淹れながら……

「どうだった本郷先生の診察は?」

「うん、診察は良かったんだけど…… 受付がね……」

「何かあったの?」

 私は受付での出来事を話しました。

「うん、なるほどね、でも飛鳥も最初にアポイントを取っている今村ですって言えば良かったかな! 大学病院は民間と違ってアポとか紹介状がないとなかなか診てもらえない場合があるからね」

「うん、私も少し勉強になったよ」

 私は玲華と話をした事で少しスッキリしました。

「それより車の免許どうする?」

 そういえば、私は免許の事は何も考えていませんでした。

「飛鳥、免許を取るなら今が良いかもよ! 後期になったら試験とか大変そうだしね」

「そうだね、でもどこで取ろうか?」

「橋本ドライバーズスクールで良いんじゃない! 大学まで送迎バスが来てるしね」

 まあ、そうですよね、そこが一番便利かも…… そういう事で来週からドライバーズスクールへ玲華と二人で行く事になりました。


 週末は遥香さんと静香さんを誘って玲華と私の四人でロードレース用の自転車を見に行きました。そういう事で今日の私はワンピースにスカートではなくお洒落なレギンスに可愛らしいミュールを履いています。でもパンツスタイルはやっぱり違和感があって慣れないです。

「玲華、ひょっとしてあそこのショップなの」

「そうよ、この辺ではあそこのショップが車種が揃っているんだって!」

「飛鳥さんは珍しくパンツスタイルなのね、とても似合ってるよ!」

「あ、ありがとう」

 遥香さんはそう言ってくれましたけど……

「飛鳥さんはファションモデルみたいで可愛いね、レギンスにミュールで足元が綺麗なんだから」

 静香さんはニヤッとしながらちょっと揶揄ってるよね…… 私は苦笑いです。でも、大好きなスカートに自転車は無理なので仕方ありません。やっぱり自転車部は無理かな……

「飛鳥、これなんか良いんじゃない!」

 いきなり玲華が私に赤いスポーツタイプの自転車を勧めて来ました。あっ、これって結構カッコいいかも…… 私はこの自転車(この子)に一目惚れしたかも……

「いらっしゃい! どういう自転車をお探しですか?」

 ショップの店員さんです。若くて短髪のちょっとイケメンの男性です。

「サークルで使うスポーツタイプの自転車を……」

 静香さんが訊いています。

「ロードレースとかも出るんですか?」

「あっ、いえ! たまにサークルでツーリングに行く程度なんですけど……」

 ちょっと困った表情の静香さんは可愛いです。

「それじゃクロスバイクが良いと思いますよ! この辺がクロスバイクになります」

「ロードレース用とは違うんですか?」

「ロードバイクはレース仕様なのでハンドルやタイヤが違っていてかなり軽量化されてるので初めての女性は乗りにくいかもしれませんね。こちらがロードバイクです」

 イケメンの店員さんが比較して見せてくれました。クロスバイクに比べたらタイヤは細いし、ハンドルはバッファローの角のように曲がっていてなんだか乗りにくそうです。

「そう言えば郁美(いくみ)が乗っていたのもクロスバイクじゃないかな?」

「たぶんそうだったかな……」

 玲華は私の事をジッと見ています。自転車より私の事が気になるようですが……

「私はこれにしようかな」

 私は玲華が選んでくれた赤いクロスバイクが気に入ってしまいました。

「あっ、そのクロスバイクはお勧めですよ! ちょっと試乗して見ませんか? 何か違和感があったら教えて下さい」

 そう言われて私はショップの周辺を試乗します。なんだか普通の自転車と違ってとても乗りやすいです。ちょっと漕いだだけでスピードが出るので少し怖いですけど…… あれ、静香さんも試乗してるようです。

「静香さんはそれにするの?」

「うん、これ凄いよ! ほんの少しの力でもの凄くスピードが出て面白いよ」

 静香さんはスピードが出るのが心地良いみたいです。あの速さで走るのは…… やっぱり怖いです。

 そういう事でそれぞれ欲しい自転車が決まりました。私は一目惚れの赤いクロスバイクです。格好も色も良いけど凄く乗りやすくてもう最高です。静香さんはさっき乗っていた青いクロスバイクです。遥香さんはシルバーのクロスバイクで玲華は白いちょっとお洒落なクロスバイクにしたみたいです。皆んな同じような自転車ですけど色だけは好みがあるみたい。私は一応輪行バッグと前に取り付けられるバッグも購入しました。輪行バッグは郁美同様電車に乗せる場合を考えての事です。その後、自転車はきちんと整備した後にライトや泥除けも付けて納車という事で、数日後に取りに行く事になりました。なんだか今から楽しみなのはスカート愛より自転車愛の方が優ってきたからなのかな……


新しい赤いクロスバイクを購入した飛鳥ですが、ちょっと複雑です。自転車に乗るときは大好きなスカートは履けないけど赤いクロスバイクもかなり一目惚れです。これがきっかけで飛鳥もスカートは卒業なのかな……

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― 新着の感想 ―
[一言] 飛鳥さんはプロギノンデポーのほうですか。 普段一般名で「エストラジオール吉草酸エステル」と書いていますけれど、私はペラニンデポーのほうで注射しています。 どちらかというと、プロギノンのほうが…
2021/05/09 11:15 退会済み
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