27 試験が終わったひととき
お待たせしました第27話を更新しました!
CBTとOSCEの試験が終わってゆっくり出来る橋本祭ですけど、講演会の先生が……
CBTとOSCE試験の合格発表がありました。私達の班も玲華達の班もみんな合格していました。と言ってもほとんどの人が合格しています。でも数人の人が再試験に回るみたいですけど…… でも、これで十一月の橋本祭を楽しむ事が出来そうです。
「飛鳥、玲華、今年の橋本祭は自転車部も出店するからね!」
なんだか静香と遥香が張り切ってますけど……
「それで何をするの?」
「もちろん、飛鳥も玲華も手伝ってもらうからね!」
「だから、何をするつもりなの?」
「ソフトクリームの販売」
へっ、ソフトクリーム……? 静香が普通にそう言いますけど……
「最近ちょっと肌寒いんですけど……」
私がそう言うと……
「だから良いんじゃない!」
良いのかな……? 遥香もやる気満々です。
「それで種類はどれくらいあるの?」
玲華はちょっと興味がありそうです。
「チョコとバニラとミックスの三種類よ!」
「本当に売れるのかな……」
「飛鳥は心配し過ぎ!」
「大丈夫だよ! 去年ミス研がやっていたダービーよりかは行けると思うけど」
「ダービーって何、競馬か何か?」
「去年の橋本祭で犬とか猫が結構いたでしょう」
「うん、そう言えばいたね……」
「犬や猫を六匹ずつ走らせて一着二着を当てるのやってたのよ」
「あとで問題になってたみたいだけど……」
静香と遥香は楽しそうに話しています。
「まあ、ソフトクリームの件は桐生先生にも許可はもらってるから」
まあ、桐生先生が許可しているなら良いかな…… ミス研と違って賭博行為をしてる訳じゃないから!
「あっ、でも飛鳥は二階堂君と…… 邪魔しちゃ悪いかな……」
静香が変な気を遣っていますけど……
「静香、ずっと一緒にいる訳じゃないんだから、私にも手伝わせてよ」
まったく二階堂君は関係ないでしょう…… そんな訳で一週間後の橋本祭の準備をします。ソフトクリームメーカーは静香が持って来る事になってますけど…… どういう事?
一週間後、橋本祭です! 今年も講演会があるみたいですけど、玲華はちょっと不機嫌です。
「私、講演会は行かないから、ここでソフトクリームを売ってるから」
「なに、玲華どうしたの!」
なんだか私と遥香はちょっと心配ですけど……
「講演会にうちのお母さんが来るのよ!」
「えっ、玲華のお母さんが講演するの?」
「そう、まったくやめて欲しいんだけど……」
しかも、如月先生はこの事を玲華に話していなかったようです。
「でも、これって全員参加じゃないの?」
静香がそう言うと……
「もう、最悪!」
だって! 本当に玲華は嫌みたいです。
講堂へ行くと準備が出来ていてステージ傍には『医学生の心得』如月雪子先生と書いてありました。二月の雪ですか…… 先生もなかなか寒そうな名前ですね。
「飛鳥、ちゃんとスマホをマナーモードにしておきなさいよ!」
玲華にそう言われてしまいました。まあ、一度だけ前科がありますからね! でも……
「もうやってますよ」
同じ失敗はしませんよ!
「それならいいけど……」
そう言ってる間に講演が始まりました。今日の如月先生はスーツにパンプスを履いています。ちなみに私はワンピースにカーディガンとミュールです。玲華は、いつもの長袖のシャツにジーンズとスニーカーです。
「うーん」
「どうしたの玲華」
玲華が顔を顰めていますので静香が声を掛けますけど……
「なんでもないわよ」
それを聞いて静香も遥香もニコニコしています。まあ、あと九十分くらいはこんな感じかな…… 講演が終われば少しは玲華も落ち着くでしょう。でも、なんで先生の事毛嫌いするのかな?
橋本祭初日の午前の部、如月先生の講演が終わり玲華もいつもの笑顔が見られるようになりました。
「飛鳥、玲華久しぶり!」
「えっ、誰!」
「ちょっと、それ酷いんじゃない」
そう言って顔を顰める瑞稀がいました。
「瑞稀、どうしてここにいるの?」
「飛鳥の顔を見に来たのよ!」
「えっ、なにそれ」
「私もいるからね!」
瑞稀の横には郁美の姿もあります。まあ、郁美は自転車部だから、いても不思議じゃないんだけど……
「瑞稀、卒業したら学校はどうするの?」
「取り敢えず、母校の城南高校にほぼ決まった」
そう、瑞稀は北山大学教育学部を来年三月に卒業する予定なのです。そして、城南高校に赴任するんだね!
「郁美はどうするの?」
「私はここの病院でプリセプターの指導のもと看護師の勉強をするよ! それが終われば一人前の看護師なんだけどね!」
「プリセプター?」
「そう、医師で言うところの研修医みたいなものよ」
看護師も大変な仕事ですからね、正直なところ医師より大変じゃないかな……
「瑞稀、ソフトクリーム食べる」
「うん、食べる! バニラをよろしく」
瑞稀がそう返事をして玲華がソフトクリーを作っている時でした。
「玲華、私にもミックスをひとつ良いかしら」
えっ、誰だろう……
「お母様!」
「如月先生!」
玲華も私もびっくりです。そばにいた静香も遥香もびっくりしています。だって、さっきまで講演をしていた人が目の前にいるんだから……
「お母様、どうしたんですか」
「ソフトクリームがあるって聞いたから」
「そう、この後どこかに行くんですか?」
「いえ、病院へ帰りますよ」
玲華はミックスのソフトクリームを如月先生へ渡します。
「ありがとう! あっ、それとおめでとう! 試験に合格したみたいね」
「はい、あれくらいは……」
「あっ、そうそう試験に合格したから好きなのを買って良いってお父様から伝言よ!」
「本当に!」
「ええ」
「ありがとう」
「お礼はお父様にメールで良いからしておきなさい」
「うん」
なんだか意味深な会話ですけど、玲華は何を買うんだろう?
「飛鳥さんも合格したんでしょう」
「あっ、はい」
「これからが大変ですから頑張りなさいね!」
「はい、ありがとうございます」
先生はそう言うとソフトクリームの代金を払って行ってしまいました。
「私には何もなかった……」
そう言っているのは瑞稀です。まあ、瑞稀も高校生のとき私と一緒に玲華のお屋敷に行って先生に会ってますからね!
「瑞稀、あまり声を掛けてもらわない方が良いわよ」
玲華はまたそんな事を言う……
「ところで玲華は何を買うの!」
私が訊くと玲華はニッコリ笑って……
「とっても良いものよ! 今度の日曜日に一緒に見にいかない?」
「それは良いけど……」
玲華からそう誘われましたけど…… なんでしょうね。
今日は折角瑞稀も橋本祭に来てくれてますので玲華と三人で学祭を見て回ります。
「瑞稀、金魚すくいがあるよ!」
「あっ、懐かしいね」
高校の時の文化祭でもありましたね、瑞稀は関先輩と丁度付き合い始めた頃だったかな……
「飛鳥、金魚すくいやらない?」
「良いけど、水槽とかあるの?」
「家にあったと思うから……」
また、なんだかいい加減ですね! しかし、玲華は下手くそです。
「玲華、そんなにポイを動かしたら駄目だよ」
瑞稀はそう言いながら丁寧に金魚をすくいます。
「瑞稀は上手いね!」
「そりゃね、こういうのは丁寧にゆっくり動かさないと」
さらっと瑞稀は言いますけど…… なかなか出来ないですよ。
「玲華、何匹かいる?」
「う、うん……」
結局玲華は一匹もすくえませんでした。
「飛鳥は何匹すくったの?」
「二匹だけ……」
「それじゃ、三匹あげるから大切にしてね」
瑞稀は七匹すくったうちの三匹を譲ってくれました。
本日の橋本祭も終わり私と瑞稀はマンションへ瑞稀の車で行きます。玲華は一條市の自宅に水槽とエアーポンプを取りに行きました。
「飛鳥、餌とか買っといた方が良くない」
「あっ、そうだね」
それじゃ、金魚を一度バケツに入れて駅の東側にある熱帯魚ショップへ行きます。
「取り敢えず金魚の餌だけで良いかな?」
「あっ、カルキ抜きはあった方が良いよ」
そういう事でその二つとリトマス紙を買ってマンションへ戻りました。
「飛鳥、どこに行ってたの?」
「餌とカルキ抜きを買いに」
「そうか、必要だよね」
玲華は水槽を洗ってほぼ準備が終わっていました。
「それじゃ水道水にカルキ抜きを入れれば良いんだよね」
玲華は水槽の水にヒーターとエアーポンプを入れます。なんだかそれらしくなったかな! 水槽の底には白い小石が敷いてあって水温も丁度良いくらいです。
「玲華、そろそろ良いんじゃない」
バケツに入れていた金魚を水槽に入れました。うん、元気良く泳いでますね!
「餌を入れてみようか」
そう言って玲華が餌をあげると我先に食べてます。なんだか微笑ましいですね!
「ねえ、なんだか多くない」
確かに、うちの金魚は五匹のはずですが……
「私の金魚四匹が泳いでいるからね」
あっ、そうか! 瑞稀の金魚も泳いでいますからね!
「それで、玲華は何を買うの?」
やっぱり気になりますのでもう一度訊きます。
「まあ、瑞稀には教えても良いか」
私と瑞稀はもう気になって仕方ありません。
「実はね、車を買うのよ! 免許を取ってからお父さんにお願いしてたけど、なかなか許してもらえなかったから……」
「それでどういうのを買うの?」
瑞稀が興味深く訊きますけど……
「コンパクトな車にしようと思うけど」
「まさか、小ベンツとかじゃないよね」
「まさか、そんなんじゃないよ、別に軽自動車でも良いかなと思ってるしね」
まあ、そんな訳で今度の日曜日に瑞稀も含めた三人で見に行くことにしました。
試験にも合格出来て、スチューデントドクターになります。そうなればまた、実習が始まります。今度は臨床医と共に…… これがまた大変らしいですけど……
ところで玲華は車は何を買うのかな?




