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憧れの医療  作者: 赤坂秀一
第三章 CBTとOSCE
26/69

26 OSCE試験トラブル

お待たせしました第26話を更新しました!


どうやら飛鳥は性別適合手術を考え始めたみたいです。そうすれば戸籍上も女性になる訳だから二階堂君とももっと親密になれますからね!

しかし、その前にOSCEです。


 CBT(シービーティ)試験が終わった後、私の悩み事の件で玲華(れいか)のマンションへ行きました。

「今度は何を悩んでるのよ!」

 部屋に到着するなり話が始まります。

「手術をどうしようかと思って……」

 私のその一言に玲華も二階堂(にかいどう)君もお互い顔を見合わせます。

「えっ!」

 まあ、そうなりますよね…… 大体手術なんてやるつもりは無かった訳ですから……

「手術って…… 性別適合手術の事……」

「うん、まだはっきりは決めてないの…… でも、二階堂君との事を考えるとするべきなのかなって」

 私は彼の方をチラッと見ました。

今村(いまむら)、俺のために手術を……」

「うーん、私ね、男性恐怖症のところがあって今でも男性は怖いと感じる事はあるの…… でも、二階堂君は唯一それが無いの! だから二階堂君とこのまま一緒にと考えるとそうするべきなのかなって……」

「でも、そうなると海外で手術になるのよね……」

 まあ、普通に考えるとそうなんですよね……

「でも、なんだか国内でも手術出来るところがあるんだって!」

「まあ、そうかも知れないけど、何時するのよ! 大学は休めないでしょう、夏休みだってそうそうに取れないし……」

 まあ、そうですよね……

「それで本郷(ほんごう)先生と話をしたんだけど、大学を卒業して初期研修が始まるまでしばらくあるからそのタイミングでって事なんだけど」

「でも、三月に卒業して、四月からはすぐに研修じゃないの?」

「うん、本郷先生の話だと医師免許の交付に二、三ヶ月くらい掛かるらしいの、だから医師免許が無い間は医療行為は出来ないんだけど、登録済証明書というのがあってそれだと一ヶ月くらいで家に届くから初期研修は四月の終わりくらいからになりそうなの」

「という事は卒業してから二ヶ月くらいは遊べる訳ね!」

 まあ、玲華らしい反応ですね……

「そっか、飛鳥(あすか)もとうと女の子になるんだ……」

「いや、まだはっきりとは決めてないんだよ! それに手術をしてくれる病院だって……」

「病院はどうやって探すの?」

「その辺は案西先生や本郷先生が訊いてくれるって!」

「今村…… ありがとう、俺のために考えてくれてたなんて」

 二階堂君はそう言って私の手を両手で握ります。

「だから、まだ決まった訳じゃないからね」

 そうは言ったものの二階堂君は嬉しそうです。私だって手を握られてちょっと照れるかな…… でも、その前に一ヶ月後のOSCE(オスキー)試験があります。これに合格出来れば私達も晴れてスチューデントドクターです。

「話は変わるんだけどクリクラって結構大変だって聞いたのよね」

 玲華が大変って思ったの?

「えっ、ポリクリじゃなくね!」

「二階堂君、それってBSL(ビーエスエル)の事じゃないの?」

 私達は先輩からそれとなく聞いていた知識で話しますが……

「フットサルの先輩からはポリクリって良く聞いてたけどな」

「私は城戸先輩から五年生になったらBSLが大変だって聞いたけど……」

 私がそう言うと玲華が……

「ちょっと待って、私も城戸先輩からクリクラはどうするか考えてた方が良いよって言われたけど……」

 これってどういう事でしょうね!

『ピンポン』

 その時、私達の部屋のチャイムがいきなりなりました。

「あっ、私が出るわ!」

 そう言って玲華がインターフォンで話をします。

『あっ、如月! この間の肉じゃがのお礼なんだが……』

 この声は桐生先生ですね!

「なんで、桐生先生がこのマンションに来るんだ?」

「それはうちの隣が桐生先生の部屋だから」

 私がそう説明をした時、桐生先生が部屋に入って来ました。

「なんだ二階堂もいたのか?」

「はい」

「丁度良かった! ピザをみんなで食べないか」

「先生買って来たの?」

「ああ、この間の肉じゃがのお礼だ! あの肉じゃがは絶品だった」

「そうなんだって飛鳥!」

「やっぱり今村が作ったのか」

「当たり前でしょ! あんなの私には作れません」

 玲華は腕を組んでそう言いますけど、偉そうに言うことじゃないですからね、少しくらいは作れるようにならないと……

「まあ、そこはどうでも良いが折角の焼きたてのピザだから食べてくれ!」

「これ、どこで買ったんですか?」

 私が先生に訊くと……

「すぐそばの駅前にピザ屋さんが開店しただろう、今日はちょっと安かったからお礼を兼ねてだな」

「ありがとうございます! 先生」

「二階堂も折角だから食べろよ」

「はい、いただきます」

「あっ、先生丁度良かった! ちょっと聞きたいことがあったんですけど」

 玲華がさっき話していたクリクラとかポリクリの意味を訊きました。

「あっ、その事か、それはだな……」

 どうやらポリクリとBSLは同じ意味のようです。そして、その後に診療科を選択して実習をするのがクリクラらしいです。

「まあ、大学によって言い方が違ったり、意味合いが違ったりするからな、でもポリクリなんて誰が言ったんだ?」

 うちの大学ではBSLという実習があるらしいけどポリクリってなんだろう?

「ポリクリはフットサルの先輩から聞きました」

「あっ、あそこの顧問は大学が違うからBSLよりポリクリという言葉が先走りしたんだろう」

 なるほど、大学によって言い方が違うようですけど……

「ところでBSLとかポリクリとかクリクラってなんですか?」

 私がそう訊くと三人から残念そうな顔で見られてしまいました。普通そんな顔する……

「今村、BSLはベッドサイドラーニングと言ってスチューデントドクターとしての臨床実習のひとつだ。他の大学ではポリクリと言うところもあるらしいがな」

 ちなみにポリクリとはドイツ語でポリクリニックの略語らしいです。

「クリクラって言うのはなんですか?」

「クリクラはクリニカルクラークシップの略だ。BSLの後に一ヶ月くらい同じ診療科で臨床実習をするんだよ」

 なるほどそうなんですね!

「飛鳥は精神科でクリクラやるんでしょう!」

「うん、そうだね! でも、大学病院はいろんな診療科があるからちょっと目移りするかも……」

「でも、そんな事言ってる余裕はないみたいだぞ」

「そういう二階堂君は外科なんでしょう」

「うん、まあそうなんだけど同じ外科でも消化器外科や胸部外科、心臓外科、あと脳外科なんてのもあるからな」

 外科もいろいろあるんですね。玲華はどうするんだろう?

「二階堂、消化器外科ならたぶん俺が担当になるだろうからしっかりと扱いてやるぞ!」

 なんだかそれもちょっと……

「玲華はどうするの?」

「私はたぶん消化器外科かな?」

 そういう事は、二階堂君と玲華は桐生先生の下で扱かれる訳ですね! でも、なんだか楽しそう……

「飛鳥も外科で学べば良いのに」

「うん、でも私は精神科を学びたくて勉強してきたから」

「でも、俺達の班の中では今村が一番器用だと思うけどな」

 まあ、二階堂君が言ってるのは二年の時の解剖実習の事を言っているんだと思うげど……

「まあ、どこの診療科を受けるにしろ頑張れよ! おまえ達はスチューデントドクターになるんだからな!」

 そう言われるとなんだかプレッシャーですね……


 そして、OSCE試験の日が来ました。やっぱり緊張しますね…… 試験は各部屋に分かれて行われます。まずは医療面接からです。部屋に入ると患者さんの名前と年齢、主訴、行う診察の項目が書かれた紙がありますので指示に従います。まずは患者さんを呼びに行くところからです。

長山(ながやま)さん、長山淳(ながやまあつし)さん」

 私が呼ぶと患者さんが来ましたと言っても一人しかいませんけどね…… この方はOSCE試験のプロの患者さんです。

「診察室へどうぞ、私は医師の今村飛鳥です。よろしくお願いします」

 患者さんに椅子に掛けてもらい診察を始めます。

「今日はどうされましたか?」

「はい、今朝からお腹が痛くて……」

「どの辺が痛いですか?」

「この辺です」

 そう言いながら患者さんは右下腹部を触ります。

「では、ベッドに横になってもらって良いですか? 触診しますね!」

 そう言ってちょっと腹部を触りました。

「イテ!」

 本当に痛そうに長山さんが声を上げました。流石はプロの患者さんです。

「あっ、すみません。大丈夫ですか?」

「あっ、大丈夫です」

 なんだか様子が変ですね…… 後は指示書に書かれていた通りCT検査をする事を告げ、検査結果を確認するだけですけど……

「ではCT検査をします……」

 そう言った時でした。長山さんが急に顔色を変えてベッドの上で苦しみ出しました。ちょっと、こんな事は指示書に書かれてなかったけど……

「長山さん、大丈夫ですか? どこが痛いですか?」

 そう訊いた時でした。

「試験を中止します」

 試験官がそう言って患者さん役のところへ来ました。

「これって本当に虫垂炎じゃないですか?」

 私がそう言った時……

「誰かストレッチャーを持って来て」

 そう言うと本物の医師と看護師が来て、私が触診した場所と同じところを触診しています。

「間違いない、虫垂炎です。君、ストレッチャーに乗せるから手伝って」

 私達はイチニサンの掛け声でストレッチャーに乗せました。そして、患者さん役の方はストレッチャーに乗って退席されました。どうやら本物の患者さんになったようです。

「あっ、君の医療面接はとても良かったと思いますので、次の試験に行ってください」

 試験官の方にそう言われましたが、私は何が起こったのか判りませんでした。その後は順調に試験が進み私のOSCE試験は終了しました。

「飛鳥、何があったの?」

 試験を終えた玲華が来ました。その後ろからも梨菜や静香、二階堂君が続々と来ます。

「実はあのプロの患者さんが……」

 私は玲華に試験中に起きた事を話しました。

「それじゃあの患者役の人本当に虫垂炎だったの?」

「たぶんね! 本物の医師が私と同じところを触診して反応があったから」

「私が医療面接に行って患者さんを呼びに行ったら学長先生がいたから変だと思ったのよね……」

 たぶん、あの患者役の人は私を含めて二人くらいしか試験をしてないんじゃないでしょうか?

「今村は俺の後だったよな」

 谷崎君です。確かに私は彼の後に試験を受けたと思います。

「谷崎君のときはなにか予兆があった?」

「いや、触診した時も平然としていたけどな」

「そういう事は飛鳥がトドメを刺したんじゃない!」

 「玲華、私は医師になるんだからね! 人聞きの悪い事言わないで!」

 まあ、そんな事でOSCE試験はすべて終了です。みんな良い結果が出たら良いんですけどね!



OSCEの試験も終わり合格出来れば五年生になってスチューデントドクターとして臨床実習が始まります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 私は時折右下の脇腹を押すと変に痛むことがあります…。 これはもしかして…?と思って様子を見ても何もないので置いていますけれど、虫垂炎だったら嫌ですね~。 結構独特の痛み方をするらしいですね…
2021/12/11 09:14 退会済み
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