表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/79

第15話 そう、心から願って

「……本当に、いいの? ちなつと出会った過去がなくなるかもしれないのよ?」

「ちなつと会えなければ、オレはここに来ていません」

「その推論は極めて危険よ。ちなつを助けられず、あなたの柩が第三者に奪われて因果律がたもたれる可能性もあるわ」

「それはあり得ません」

「どうしてそう言い切れるの?」


 どうしてって……そりゃ。


「ちなつの笑顔はオレが守るって決めたからです。

 どんな時代にいたって、この覚悟は揺らがない」


 神藤さんが目を丸くする。

 最初、彼女は何かを言おうとするように口を開いたが、すぐに閉じると、口元に笑みを浮かべた。


「……そう、ちなつは、しあわせものだね」


 それから、きゅっと口端を結んだ。


「ちなつのこと、よろしくね」

「……最初から、それを案じて?」

「ふふっ、どうだったかなー。さ、こっちに来て?」


 神藤さんに手を引かれ、オレは回廊前の扉に向き合うように立つ。本来取っ手があるべき場所には四角い窪みがあって、一見で超常の柩(パンドラ)と形状が一致するのがわかった。


 ここに柩をはめるのか。

 そういう意図をもって神藤さんのほうを向くと、彼女は小さくうなずいた。ことりと柩を窪みにはめる。


 まばゆい光が、扉の向こうからあふれ出した。

 世界が真っ白に染まるこの感覚を、オレは知っている。


(【アドミニストレータ】と、似ている!)


 オレの背後からオレを追い抜いていくプラズマ。

 それは眼前で収束すると、見慣れたウィンドウを提示してきた。どうやら埋め込んだ超常の柩(パンドラ)に記録された呪いがリスト化されているようで、柩のシリアル番号を指定することで通信が可能になるらしい。


「よし、碧羽さんの柩はこれだな。移送先の時間を指定して、人魚の呪いを送信して……オーケーだな」


 二度三度と間違いがないようにチェックして、オレは送信ボタンをタップした。


(紅映の笑顔が戻る様に、頼む)


 そう、心から願って。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
応援は↑の☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただけると
筆者の励みになります!

↓超絶オススメ作品!
TSゲーマー、ダクファン世界を配信中! ~魅力極振りの有翼ヒーラー(3重地雷)はドラゴンさえソロ討伐可能の最強ビルドでした~
TSゲーマー、ダクファン世界を配信中! ~魅力極振りの有翼ヒーラー(3重地雷)はドラゴンさえソロ討伐可能の最強ビルドでした~
カクヨム版
エロゲのモブには荷が重い ~覚醒したスキルがオレにエロゲの美少女を救わせようとするけど、原作知識と固有スキルでみんなの笑顔を守りつつ自由に生きようと思います~
エロゲのモブには荷が重い ~覚醒したスキルがオレにエロゲの美少女を救わせようとするけど、原作知識と固有スキルでみんなの笑顔を守りつつ自由に生きようと思います~
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ