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縁は異世界から  作者: 二夏
9/12

3-2

「灯、紹介するわ。私の子どもで兄のリューゼンと妹のフィアラよ。2人は双子なの。2人はまだ成人していないけど、王族の責務として今回同席させるわ」


双子。確かに2人はよく似た顔立ちをしている。違うとしたら瞳の色ぐらい。男の子の方がシュタルクさんと同じ紫色の瞳をしていて、フィアラは王様と同じ青色の瞳をしている。王様とフィアラ、並んでみると本当に似ている。王様を見たときに気付かなかったのが不思議なくらいだ。


「フィアラは王女様だったのね。なんで言ってくれなかったの・・・ですか?」


「申し訳ございません。私が王女と知れば気を遣われて、治療に影響が出ると思ったのです」


フィアラが申し訳なさそうに頭を下げた。別に怒っているわけではないし、むしろ感謝しているぐらいだ。フィアラの言うとおり、王女様と知っていたら気を遣って、毎回治療時間は短くていいとか言っていたかもしれない。それだとまだ完治はしていなかっただろう。


「私のことを案じてもらって、ありがとうございます。・・・あの、また話し相手になってもらえますか?」


私のその一言にパッと表情を明るくしたフィアラは、私の手を取ると嬉しそうに笑って首を縦に振った。


「えぇ、もちろんです!私からも是非お願いします」


フィアラと微笑み合っていると、ふと鋭い視線を感じた。そちらに目を向けると、リューゼンと目が合った。ちゃんと挨拶をしていなかったと気付き、慌てて手を差し出し声をかけようとしたところで、まるで私はいないかのようにすっと横を通りすぎていった。


「申し訳ございません、リューゼンが失礼なことを・・・」


「謝らないでください、気にしていませんから」


フィアラが再び申し訳なさそうに謝ってきたので、慌てて謝罪は不要だと伝えた。ちらりとリューゼンの方を見るが、私に背を向け王様たちと話をしていてその表情は伺えない。


(今、睨まれていたよね・・・)



兵士への指揮を執り終えた3つの騎士団の各団長も揃ったところで、王様が口を開いた。


「皆集まりましたね。今この世界に何が起こっているのか、また今後について、皆で状況を整理、共有をしてこの危機を共に乗り越えましょう」


王様の一言で部屋の中にピリッと緊張感が走る。私も改めてぐっと背筋を伸ばした。


「まずはこれを見てください。これは緊急玉といって、各国の王が1個ずつ所持しているものです。その国に緊急事態が起こった際に、他国に知らせるための魔道具です。この緊急玉は1ヶ月ほど前にキュイレイス王国から届きました」


そう言って王様が皆が囲んでいるテーブルの上にテニスボールぐらいの大きさの透明な球体を1つ置いた。


「セリーヌ・フォン・リュセイン。解除」


王様の解除の声で緊急玉の上部から扇状に薄く光が差し、濃い紫色のローブを着た3人の男性の姿が映し出された。酷く焦っている様子で、建物の中を必死に走っている。走りながら頻りに後ろを気にしている様は、まるで何かから逃げているように見えた。そして、長い1本の廊下を走っている映像を見ている時に、違和感に気付いた。


(廊下の奥、どんどん真っ暗になっているような・・・?)


通りすぎる窓からは日の光が差しているから、これが録られたのは昼間だ。なのに廊下の奥がどんどん真っ暗になっていくのはおかしくないだろうか。


そう思いちらりと周りを見ると、王様、シュタルクさん、デッキスさん以外の人は私と同じことを思っているのか、疑問を持っている表情をしている。3人は一度映像を見たのか反応が異なるが、とても険しい表情をしている。その時、


「ひっ!」


というフィアラの短い悲鳴が聞こえた。フィアラを見ると両手で口を塞ぎカタカタと震えている。急いで映像に視線を戻すと、あまりの衝撃にひゅっ、と息が詰まった。


暗闇から無数の黒い手が現れ、逃げる3人を捕らえようと迫っている。2人の男性がそれらに向けて魔法を放つが、全て暗闇の中へ吸い込まれていく。


『駄目だ、効かない!』


『っ、効かなくても、放ち続けろ!』


2人の男性は効かないと知って尚、攻撃する手を休めない。黒い手は、もうすぐそこまで迫っていた。


『はぁっはぁっ、キュイレイス王国、魔法師団、より各国へ・・・。闇の力が復活、王が、魔王が・・・っ』


緊急玉を持っていただろう男性が、息も絶え絶えに言葉を発するが、体力の限界か、言葉が続かない。


そうしている内に、後ろにいた2人の男性は黒い手に捕らえられ、悲鳴を上げる間も無く一瞬の内に暗闇へと引き込まれていった。


『っくそ・・・、くそぉぉぉ!!』


窓から外に飛び出た男性は、緊急玉を上空へ思い切り投げ飛ばした。遠ざかっていく男性の姿は、次の瞬間には暗闇へと飲み込まれていった。


プツン


そこで映像は途絶え、部屋には静寂だけが残った。



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