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縁は異世界から  作者: 二夏
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プロローグ1

『最初のニュースです。昨夜○○の児童養護施設で爆発があり、子どもを含むー。

尚、子どもが一人行方不明となっており、現在捜索が行われー』



「弓と矢筒と袴と・・・よし、全部持った」


必要なものが全て揃っていることを確認し、テレビを見ると家を出る時刻の5分前を表示していた。


「今日は弓道の大会があるの。良い結果が出せるように頑張るから、見守っててね」


微笑む家族の写真に声をかけ、傍に置いておいたペンダントを着けて制服の下に隠す。

玄関のドアを開けると冬の空気が肌をなぞり、その冷たさに思わず肩をすぼめる。最寄りの駅までは歩いて15分ほど。早くこの冷たさから解放されたいと、足早に向かうのだった。



(ともり)おはよう!今日も寒いねー!」


「おはよう灯、今日は頑張ろうね~」


大会の会場となる建物の前は、出場する生徒たちで賑わっている。人を掻き分けなんとか自分が通う高校の集合スペースまでたどり着くと、チームメイトの2人が声をかけてきた。


「おはよう。頑張ろうね」


「毎回この人の多さに圧倒されるけど、無敵の灯が同じチームにいると思うだけで緊張も和らぐよ~」


「ほんとほんと!灯センパイ、今日も頼りにしてます♪」


「いやいや、無敵じゃないし。それに団体戦は私の力だけじゃ勝ち進められないから、私だって2人のこと頼りにしてるよ」


「任せて!」

「うんうん、任せて~」




「始め!」


開始の合図で射場に弓を引く音と矢が的に中る音が響き始める。灯のチームは第2試合、第3試合へと順調に駒を進め、優勝が決定した瞬間、割れんばかりの歓声が建物全体に響き渡った。



「空いてる席あったよー!ここでお昼食べよう!」


団体戦が終わり、午後の個人戦が始まる前にチームのメンバーで昼食をとろうと、開放されている食堂へ移動した。団体戦が終わると帰る人が多いため、昼食時といっても人はそれほど多くなく、すぐに見つけた空いてる席に腰を下ろす。


「いやー、さすがに決勝戦は緊張したね!優勝はできたけどもうくたくたー」


「私も~。決勝戦に出たチームはどこも強いから、予想以上に長期戦になったね~」


「でもでも!最後はすごかったよね!私たち含め皆外した中で、灯だけ中ててたの!」


「あれはすごかったよね~!観ていた人たち皆歓声あげたぐらいだったし~。灯1人だけキョトンとしてたのもおもしろかった~」


「だって、いきなりすごい歓声があがってびっくりしたんだもの」


決勝戦の話に花を咲かせていると、午後の個人戦に出場する選手は控え室に集まるよう館内放送が流れる。慌てて残っている昼食を食べ席を立つ。


「それじゃあいってくるね」


「そうだ、灯!大会終わったら優勝と灯の誕生日、Wでお祝いしよう!」


その言葉に思わず動きが止まる。


「誕生日・・・?」


「そう!確か今日灯の誕生日だよね?おめでとう!」


「そうだったんだ!おめでとう~」


確かに随分前に一度だけ教えたことはあった。けれどそれは、どうせ忘れるだろうと思ってのことで、まさか覚えられていたなんて。灯は動揺を気付かれまいと、すぐさま平静を装う。


「ありがとう!今年は1人寂しく過ごすのかって思ってたから嬉しい」


「灯の家族は海外にいるんだっけ?なら尚更盛大に祝わないと!」


「ふふ、楽しみにしてるね。じゃあまた後で」


「「いってらっしゃい!」」


2人に背を向け小走りで食堂から出る。

嫌な汗と動悸が止まらない。


(あぁ、誕生日なんて教えるんじゃなかった)


今の世はどの情報から私だと特定されるか分かったものじゃない。


(もう、あんな思いはしたくない)


思い出しそうになる頭を左右に振り、少し速くなった足取りのまま控え室へと向かった。

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