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ブレイブス  作者: 亜生
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暴虐の剣王

翌朝、クロンは朝食を取った後、アレッシアに行きたい場所があると言われ、ついて行っていた。「就職をするんだよな?それが宝探しとどんな関係があるんだ」クロンは昨夜の話に興奮してあまり眠れず、少し寝不足だ。「強盗たちは悪評のある富豪たちを狙って襲っている。だから、民衆は義賊だと勘違いして犯人を探すことより見つからないことを望んでしまってるんだ。だから、警察側は犯人が見つからなくても責められず、もしくはバカな奴が証拠を隠してるかもしれない。さらに、そういう状況が他の奴らの証拠隠滅に拍車をかけている」アレッシアはため息をついた。一般人をバカな奴だと見下しているのが見え見えでクロンは少し笑ってしまった。「何笑ってんだ・・。まぁ、いいや。ここから分かるのはただ聞き込みとか行ってるだけじゃ、犯人は分からない。だから、現行犯を捕まえる。犯人を確実に捕まえられて、警察に捕まる前にいろいろ聞ける。一石二鳥だ」アレッシアは嬉しそうにそう言う。「だけだよ、次に奴らが襲う場所なんか分からないだろ?なんか目星でもあんのか?」クロンはまだアレッシアが何を言いたいか分からない。「察しが悪いな。悪評がある富豪はインターネットで調べればある程度わかる。しかも、連続強盗犯なんだぞ。有名すぎて、お前以外は国民全員知っている話だ。富豪たちも対策をとる。自覚のある富豪は特にな」アレッシアはそう言うと、スマホを取り出し、インターネットの募集サイトの一ページをクロンに見せる。「ガイウス家って言う。富豪の一族が傭兵の募集を行っているんだ。僕たちは今からそこに行く。ガイウス家にも当主のおじいさんに悪い噂が立っている。だから、不安だったんだろうな。この人が襲われるのはいつかは分からんが、ガイウス家は軍人で有名だからな、多分襲われると思う。僕たちが傭兵になって強盗を捕まえる。けっこう、いい案だろ?」アレッシアはドヤ顔をする。「まぁ、いいんじゃないの?本当に来るかは不安だけど。一応は言ってることも筋が通ってはいる・・・かなぁ」クロンは大雑把な作戦に乗り気ではないが、乗りかかった泥舟なので納得せざるを得なかった。「で、傭兵の面接?みたいなのはいつなの?」クロンの質問にアレッシアはドヤ顔のまま答える。「今日だ。今から受ける」クロンはその言葉に絶句してしまう。そんな大事なことを昨日言わずに今日言って、ドヤ顔を見せてるのが信じられなかった。「仕方ないだろ、本当は1人で受けるつもりだったんだ。お前がストーカーしてきて、今ついてきてんだ。そんぐらい我慢しろよ」アレッシアはクロンに少し頬を膨れて答える。「はぁ、仕方ないなぁ」クロンの発言に対し、アレッシアは背中を思いっきり叩き怠けた心に喝をいれた。

・・・

「ここらしいな。着いたぞ」アレッシアは豪邸を指差す。門が目の前にあり、家と門の間にも道ができている。「傭兵の面接の方ですか?どうぞこちらへ」豪邸に使えるメイドらしき人が案内をすると言い、門を開いて手招きをした。「へぇー、すごい広いな。門は少し普通だと思ったら、中は噴水とか庭があって綺麗だな」クロンはまさにお金持ちの住む庭というのを満喫していた。「そんなに、大きいリアクションを取るな。僕たちはこれから、ここに住むんだぞ。こんなの見飽きるぐらい見ることになる」アレッシアは大してそんなことは気にせず、逆にクロンを嗜めた。わずかだが、花の匂いが届くぐらい、花が多くあり、赤黄ピンクと彩られた庭を見るとクロンはつい、興奮してしまってたのでアレッシアに驚いてしまった。「こんなすごいんだぜ、そりゃあビックリするだろ。もしかして、お前おぼっちゃま?」そんな話をアレッシアは無視し、屋敷の中に入っていった。中にはメイド二、三人が来客に挨拶するために待ち構えていた。そんな中、上から壁に隠れるようにちらりとこちらを見るいやらしい視線に気づいた。「お〜、よく来たな。試験を受けに来てくれて助かる。私はここの主人のスッラだよろしく頼む」主人の直々の挨拶に喜ぶクロンと反面に、明らかに嫌そうな顔でアレッシアは挨拶を返した。「ああ、初めまして。アレッシアと言います。すみませんが荷物などはどこに置けばいいでしょうか?少し休みたいのですが」スッラは部屋を案内しようとする。「こちらへ、どうぞ。しっかし、まぁそんな細い腕で傭兵なんて。凄いですねえ、少し触ってもよろしいですか?」スッラが触ろうするがアレッシアはうまく避ける。「僕は魔法士ですから。後ろの彼はクロンと言いますが、彼の腕はとても太いですよ」スッラはチラッとこちらを見たが、気にせずアレッシアに話し続けた。「私の庭はいかがでしたか?凄い量の花でしょ。庭がいいと家の雰囲気も良くなるというか。そんな感じがしてこだわってるですよ〜」アレッシアは苦笑いを浮かべている。「すみません、花には疎いもので」アレッシアの対応に疑問を抱いたクロンは耳打ちをする。「どうしたんだ、アレッシア。お前なんだか変だぞ」アレッシアはこしょこしょと話す。「この富豪にも悪癖があるって言ったよな。・・・それはセクハラの噂なんだ」クロンはは?となる。「セクハラってどんな感じなんだ」「視線がいやらしい。いつも股を見てるようにしか見えない。匂いを嗅ごうとしてくる。そういった報告があるらしい。噂では挨拶に来たアイドルとかをセクハラしまくり、本番までしたらしい」スッラがすうと深呼吸をしただけでひぃとアレッシアはなってしまい、まともな会話が不可能になっていた。クロンは仕方ないと思い、スッラに肩を組んで耳打ちをした。「アレッシアをどう思う」クロンはストレートに質問した。「なんだ、汗臭い若造が。お前と話などしたくない」スッラは心底嫌そうな顔をしている。「あいつ、男だぜ」クロンは正直に言う。「えっ」スッラは声を失う。「お前みたいな奴が多いんだろうかアレッシアはいつもあしらうが、今回はお前が気持ち悪すぎてうまく対応できないらしい。もう一度言う。アレッシアは男だ。諦めな」スッラは少し黙り込み、顔を上げニチャニチャした笑顔で声を上げる。「男でもいいかもな」クロンは聞き直す。「今なんて・・」「いいな男の娘か。それもいいな・・いや、むしろ珍しいからもっといい」スッラの早くなる言葉にアレッシアは嫌すぎて目が白くなりそうになる。「なんて、ことだ。ということはついてるのか。こんなにかわいいのに。いい匂いしたのに。おお。おお。おー」スッラが叫ぼうとした瞬間、メイドが部屋に着きましたとスッラに報告する。「すまんかったな。騒ぎすぎたわい。さあ、ゆっくり部屋で休んでくれ。こ・れ・か・ら・もよろしくな♡」スッラの一言についにアレッシアは倒れてしまった。アレッシアが最後に見たのはスッラの気持ち悪い笑顔であった。

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