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ブレイブス  作者: 亜生
3/8

天使との出会い 3

「おらっ!」クロンはスーツ服の男に槍を投げた。槍はオレンジのオーラに包まれ魔力を帯びていたが、男もまたシールドの魔法で槍の攻撃を防いだ。「お前、どうしてアレッシアを狙った?」クロンは槍を魔法で戻し、また構える。「モーリスだ」スーツ姿の男はそう名乗る。「名前じゃねえんだよ。目的を言え」クロンは怒りを滲ませつつ睨む。「目的を言ってどうする。すぐにどうでもよくなる。これは慈悲だ。殺した奴の名前さえ知っていれば、あの世で思う存分恨めるからな」そういいつつモーリスは銃を構えクロンに向ける。「神器解放"サルブォトーレリイナ"」そう言うとモーリスは銃に魔力を集めクロンに向けて魔力の弾を放った。「ちっ、神器解放をもうすんのかよ早すぎんだろ」クロンはシールドの魔法で弾を防ぐが、威力が高く体が動いてしまっている。「余裕なくなってんじゃないの?」モーリスはクロンに近づき殴りかかる。「近寄らせるかよ」クロンは槍を左右に揺らしモーリスの接近を妨害する。「だから、どうした?」モーリスは槍の範囲外から銃弾を放つ。「くっ、ぐはっ」何発かをクロンはモロにくらい、倒れ込む。「やれやれ、戦ったことないの?」モーリスは挑発しながら、クロンに近づこうとする。「"モストロ・アン"お前に俺は殴らせない」怪物の手が現れ、モーリスに殴りかかる。「おらよっと。へえ、こんな魔法を隠してんじゃん。やるな」モーリスはそれでも、優位な間合いから銃を放ち、それをクロンがシールドの魔法を放つ。戦闘は膠着状態になっていった。

・・・

 アレッシアは建物の上で見ながらこの状況を眺めていた。「神器解放は武器に付いている名前を呼ぶことで、武器の性能をフルに発揮することだ。魔力の消費が激しくなるから本来は後までとっとくものだが、僕を追うためにクロンをさっさと倒す気だな。見たところ、奴の属性は"無"だ。どの属性でも対等な関係である以上、純粋な技術比べだ。さあ、どうするクロン。貴様の魔法と武術、"魔術"を見せてもらうぞ」

・・・

「おらあ」クロンが槍でモーリスを払おうとするが、銃を持つ手に止められ、逆に蹴りを入れられてしまう。近接戦でモーリスとやり合っても、近すぎるため、突きができず、ダメージを食らって後ろに少し飛ばされてしまった。「弾の一発一発が重すぎる。こんなんじゃ動けねえ」遠距離からは銃弾が飛び、シールドで守るのに精一杯にクロンはなってしまっている。

クロンは一歩一歩近づいてくるモーリスを見ながら、自身の次の行動を考えていた。魔力の消費を抑え、シールドに集中するために、怪物の手は出さなくなっていた。「距離だ。近すぎず遠くに行こう。距離さえ取れば俺の技で倒せる。奴が近づいてる状況が一番まずい」モーリスは次の行動を考えていた。「どうした、そんな守ってばっかりじゃ時間稼ぎにしかなんないぞ」モーリスはそう言うと、建物の壁を走り、シールドの斜め先から弾を放った。クロンは槍で何個かはたいたものの、一つくらい遠くに飛ばされてしまった。「外皮は少しは削れたか、こんなんでくたばっていたら困るからな」モーリスは外皮が削れたことに満足する。「外皮は魔力で覆われた壁だ。体に服のように透明に纏われている。モンスターのHPのように減らさなきゃ、お前は殺せない。よかったな槍使い。魔法がなければ、今ので死んでただろうな」そうモーリスはクロンを嘲笑った。しかし、クロンは笑っていた。「お前が今勝っているのは神器の差だ。この距離なら俺の神器は真価を発揮する。・・・見ろよ俺の神器をそして技を。神器解放"オドアケル"」槍はオレンジに輝き、クロンの周りは異様な雰囲気に包まれた。まるで悪魔のような、しかし獣のような雰囲気に。「こいよ、その技を。止めてやる俺の魔法で"スプリガルド"!」モーリスの周りに黒鉄の盾が魔法で出来ていた彼はそれを片手に持ち技に構える。クロンは右手で槍を持ち投げる用意をする。「いくぜ・・ブリガンド」彼は高く飛ぶとそこから槍を投擲した。槍は橙の色に包まれ、その輝きは増していく。モーリスは叫んだ。この技を全身で止めるために。「苦しいよなぁ。辛いよなあ。だけどよ、この技は連続なんだよ」クロンがそう言うと、クロンがいた地面に作られていた魔法紋から、怪物の両腕のみが槍のようにモーリスに向かっていった。「これがブリガンド。空と地面からの連続攻撃」クロンはそう呟いた。「まずい、腕がくる、ヤバい。三つは無理だ。この威力が三つは無理だ」モーリスは焦り考えた。そして彼は盾を腕に向けた。槍は当然モーリスの体にぶつかり、彼の体を貫く。しかし、穴は開かなかった。「俺にだって外皮はあるんだ。大丈夫だ、一回ぐらい耐えられる。それよりも、今だ。今を倒れず耐え抜けばあいつは地面に着地する。その瞬間だ。その瞬間に俺の銃で撃っちまえばあいつに勝てる」モーリスには自信があった。勝つために、耐えるための底力が今までのヒットマン人生で培われたからである。「うおおおおおおお、耐えるんだ耐えれば勝てる」絶叫しながら槍はモーリスの体で魔力を放つ。怪物の両腕は盾に阻まれ体に届かず、やがて、止まる。槍もやがて運動エネルギーがなくなり、地面に落ち、モーリスの後ろに転がり落ちた。「ダメージをくらってエネルギーがこっちに来て思う存分魔力エネルギーに変換された。終わりだ。お前の技はすごかった。ただ、一撃必殺じゃなかったんだよ。俺にとっては」モーリスは叫ぶ。勝利を確信し、全魔力を銃に込めるために。そして、クロンに目掛けて放つ瞬間、クロンの笑みを見てしまった。「ブリガンドはまだ"終わってない"」クロンの手に槍が魔法で戻っていく。彼の手に槍が渡った時、モーリスの背中に刃が当たった。「槍は鎌となった。魔法の刃が付いてな。これは地獄の鎌だ。死神がお前を連れてくためのな!」クロンはそう叫ぶと思いっきり鎌を引いた。地獄の炎のような刃はモーリスの背中にのり、痛みが背中から肩にかけて激しく走った。「イテエよイテエよ」モーリスはあまりの痛みに声を漏らしてしまった。その痛みにより弾はあらぬ方向に行き、不発となってしまった。苦しむモーリスを見て、クロンはゆっくり歩いていった。「ひぃ、もうだめだ勘弁してくれ、嫌だ」モーリスは地面に這いつくばりながら逃げようとする。クロンは無言で槍をモーリスに刺そうとし振り上げた。「あぁ、ああ」モーリスはクロンの目を見てあまりの透き通った目と躊躇いのなさに絶句した。だが、クロンは槍を地面に投げた。そして、クロンはモーリスを後にして、表通りに戻っていった。

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