天使との出会い 2
「で、いつまで付いていくんだい?お前は」アレッシアは呆れながらピザを少しずつ食べながらクロンに尋ねる。アレッシアは結局、昼間の喧嘩からはなれろ離れろ言っても聞かないクロンにずっと付いていかれ、夕方になった今はレストランで食事をとっていた。「いや、なあに。住む場所がないんだ。お前が住んでいるところまでついてくぜ」クロンは自信満々に答える。彼はパスタを食べているが、服にソースが飛び散ってしまってる。「おい、食べ方が汚いぞ。たく、はあ・・。なんで、僕に付いてくるんだよ。付いてくることはもう仕方ないから良いけれど、せめて理由を言え。」アレッシアは水を飲みながら、ちらりとクロンに目を向ける。「面白そうだからかな。アレッシア、お前の魔法を見てたけれどよ。威力も正確さも格が違った。魔法士としては充分に活躍できる。そんな奴がなんで昼間っから遊んで歩いてんだろうなってな」クロンは口のソースを拭き取りながら、アレッシアを見つめ直した。「見た感じ、他の属性の魔法も使えるよな。・・・何の魔法だ?」少し笑みを浮かべるクロン。「ふん、気づいてたか。お前も中々出来る奴なのかもな。・・"聖"だ。僕は風と聖を主に使う。お前は他に何の魔法を使う。」アレッシアもニヤリと笑う。クロンにもそれなりの実力があることが自身の魔法を槍で止めたことから分かっていたのだ。「あいにく、そんな実力がないんでな。力の魔法だけだ。魔法の相性として力は聖に強いから、俺が有利ってことだ」嬉しそうにクロンはいう。「神は聖人を通してのみ自分の信仰を広めることができる。聖人は権力のある暴君に殺される定めであり、暴君は闇を支配する悪魔に操られる。神は悪魔を倒すのは当然の摂理。概念の4属性の相性としてはそうだな・・聖は力に弱い」アレッシアは肘を机にのせてそう答える。「ああ、そうだ。火は風を燃やし、水は火を消す。水は雷を通し、土は雷を通さないが風に吹き飛ばされる。物資の5属性はこういう相性だ。無はどの属性とも対等な属性だ。そこから言えんのは、アレッシアは火と力に弱く、土と神の属性に強いってわけだ」クロンは食事を食べ終え、さらに注文をしようとしてる。「・・・お前の金は払わんぞ」アレッシアは真顔で言う。「大丈夫だって、金はあるんだ」クレッジットカードをクロンはちらりと見せる。「話を戻そう。なんで、アレッシアは昼間っから無職をしてるんだ?」クロンはもう一度目を見る。「その事情を言う理由が私にあるか?」アレッシアは腕を組む。「なんだよ。理由があったら手伝ってやろうとしたのに」クロンはブーブー言う。「そもそも、お前に手伝う理由がないだろ」アレッシアはイスを傾かせてブラブラしている。「面白ければいいんだよ。なんだって。俺だって無職だ。ただの無職なら一緒に仕事探そうぜ」「そんな訳があるか馬鹿」アレッシアが反論しようとすると、「すみません、アレッシアさんですね?」スーツ姿のメガネのキリッとおじさんがアレッシアの肩を叩きながらそう尋ねてきた。アレッシアは一瞬ハッとしながらも「違・・・・いや、そうだあってる。どうした、何か用事があるのか。あるなら、ここで言ってくれ」と返答する。クロンは2人のやりとりに困惑し、「おい、どうしたアレッシア」と尋ねるが、「ここでは話せないのでぜひ、外で話したいのですが、よろしいでしょうか?」スーツのおじさんはそうアレッシアに無表情のまま尋ねた。「ああ、いいぞ。いくぞクロン」「・・おけおけ、分かった行こう!」クロンは不審に思ったもののアレッシアに呼ばれるままに2人は共にレストランを出て近くの裏道に出た。「おい、なんだ要件って・・」クロンが尋ねた瞬間目の前に銃が向けられる。スーツ姿の男は無言のままその銃を連続で放つ。「おいおい、ビビらせんなよ」クロンは槍を杖にし、体全体を上にあげた。そのまま槍を持ったまま、魔法の紋章が緑に光ったと思うと、思いっきり後ろに下がった。「シールド」クロンは着地し、片手を前に向けると、魔力でできた透明な壁ができ、銃弾を防いでいった。「おい、大丈夫かアレッシア」クロンが周りを見回してもアレッシアの姿は見当たらなかった。「どこ行ったんだ、あいつっとその前に。おい、スーツ野郎、いきなり撃ちやがって。うるさいその音を今止めてやる」クロンは槍を構えた。右手で投擲する様に。「やれやれ。マフィアがこんなとこまで来るとはな」
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アレッシアは建物の上でクロンとスーツの男を見下ろしてた。「クロン、お前が手伝いたいって言ったんだろ。僕に実力を見せてくれ」アレッシアは微笑み、魔法の翼を解除した。あたり一面には羽が舞っていた。