表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレイブス  作者: 亜生
1/8

天使との出会い


電車を降りて、駅から出るとすぐそこには自国イタリアの遺跡たちが見えた。彼、カルロにとっては観光地で賑わう自国の首都ローマに喜びを感じながら、自分の住む場所を探すことに思い耽っていた。あたりの騒がしさに気分を高揚しながら、彼は不動産屋を探した。普通は、住む場所を探してからその場に来るが、そんな計画的な行動は彼にはできない。そういう男である。「おじさん、水を一つくれないか」彼は、喉を渇いたので、売店でそう尋ねた。「2ユーロ」「はい、これで」「ちょっと、お兄さんこれはユーロじゃないよ。どこのお金だ」「ミスっちまった、これだな」「ありがとさん。ところで、これはどこの国の金なんだい」「サウジアラビアかな」「へえ、そんなとこで何してたんだい。見たところ、旅行帰りだろ?」「それはだなぁ・・」おい。そういう怒鳴り声が聞こえた。カルロは気になり、見てみると人集りに囲まれながら、1人の少年と3人組が喧嘩しているらしい。「はなせ、その手を。汚い。」少年は襟に掴まれた腕を握りしめ、睨みながら言った。その少年は赤色の瞳を持った黄緑髪の青年だった。髪をポニーテールのように結びつけ、体つきは細く、肌は透き通るほど綺麗な白色であった。顔つきは中性的で美少年といった風貌だ。腕は細く折れそうなほどであり、儚さすら感じられる。「てめえ、男だったのか。ふざけやがって」3人組の金髪たちは怒りながら怒鳴りつけた。どうやら、3人組はナンパ緑の少年を女だと思ってナンパしたのが原因らしい。くだらない喧嘩だとクロンは思いつつ見てる。「そもそも、そんな顔と髪型と性格でよくナンパをしようと考えたな。香水とワックスの匂いで臭すぎるし。鏡見てもう一回確認したらどうだい?」少年は偉そうに3人組を挑発する。「その、可愛い顔をボコボコにして、牛にしてやる。」当然、3人組は怒り殴り合いそうになってしまった。バカな性格だなぁとクロンはその様子を眺めた。「やってみな。そんなことされる程、今までの人生を無駄に過ごしてない」少年はまた挑発をする。しかし、クロンはその言葉を自分の眼力により納得せざるを得なかった。「3人組とあいつが普通に殴り合えば、あいつに負けるだろうな。けど、あの雰囲気、自信に満ちた性格を見るにあいつは"魔法"を使える。魔法は自身の熱エネルギーや化学エネルギー・運動エネルギーといったものを魔法エネルギーに変換して放つんだが、あんな細い体でそんなにあんのか?とはいえ、どんな実力があればあんな天狗のような性格になるんだろうな」クロンは心の中で苦笑いしつつ少年の魔法を待つ。舐めた態度にキレた3人組の男の1人が魔術の紋章を掲げ、自身の周りを透明のオーラに包ませたと思うと、猛スピードで少年の前に走っていった。「"加速"の魔法か普通だな」3人組はチンピラレベルの魔法力か、とクロンは思った。男は少年に殴りかかるが、腕はどこにも当たらなかった。少年は飛んでいた。「あれは・・・翼?!」クロンは跳躍の魔法でなく、魔法の翼を纏い攻撃を避けた少年に驚いた。「魔法は自身の創造をいかに再現するかが勝負だ。ただ、細かく再現しようとすると、自身の魔力がかなり減ってしまう、それでも翼を出すってことは。あれがあいつの独自の魔法か」少年の他者に真似ができない魔法にクロンは感心した。「ちっ、舐めやがって」男は負けじと、跳躍魔法で少年に向かって殴りかかった。しかし、腕は彼に届かなかった。なぜなら、体が地面にに吹き飛ばさらだからである。男に魔法の羽が弾丸のように飛んでいき、彼に攻撃と地面への落下を強制した。「へえ、けっこう、魔力あるじゃん。魔法の特異性にも驚いたが、魔法の威力。あれは相当なきゃあんな威力はだせない」クロンは喧嘩を止めなかった。少年の実力では負けることがないと分かっていたからである。むしろ、少年の実力が見たかったからだ。しかし、クロンは動くことになる。それは、少年が3人組に追撃をしたからである。「ひぃ」そんな情けない声を聞いて助けないほどクロンは冷たい性格ではない。羽が一つの塊となり、3人組に勢いよく飛んでいく。「頼むぜ、"モストロ・アン"」クロンがそう言うと怪物のような両手が出てきて塊を止め、クロンは魔法で地面から出した槍で塊を一払いした。「槍使いか。僕の魔法を止めるなんて。しかも、その魔法、少し変だね?」少年はそう呟いた。「そうだろ。俺専用の魔法ってもんだ。そんなことより、君の魔法は"風"かい?すげえな、翼の魔法なんて初めてだ。それを再現するなんて魔力はどんだけ食うんだ?」クロンは3人組に逃げるようジェスチャーをしながら、そう尋ねた。彼の実力が確かだから興味が湧いたのだ。「お前の魔法も知らないのに、言うと思うのか」少年はぶっきらぼうに答えた。「"力"だよ。君は」クロンは即答した。「・・・風だよ」満面の笑みでの返答に少年は驚きつつ仕方なく、答えた。「君の名前は?俺はクロンだ。よろしくな。なんで昼間っからこんなとこにいるんだ?暇人か?」クロンは会話を続ける。「は?」少年は面倒くさそうに答える。「いつまでも、君だと話しにくい。名前で言った方が楽じゃないか」クロンは諭すように答える。「戦う相手に言うかバカが」少年はクロンを睨みつける。「じゃあ、戦わないよ」そういうと、クロンは槍をしまった。再び、笑みを浮かべ、「名前は?」少年は呆れてため息をつき、「アレッシアだ」と答える。アレッシアは周りを見渡し魔法を解除すると、またため息をつくいた。「帰る。人が多すぎる。これ以上バカに付き纏われても困る」アレッシアは立ち去ろうとするが、「そうか、じゃあ着いていくよ」当たり前のように、クロンがそう発言する。アレッシアは驚いて「なぜだ、気持ち悪いぞ。理由がないだろ?」と呆れる。クロンは諭すように「アレッシアはこれからもナンパされ続けたいの?俺みたいな男がいた方がナンパ予防になるよ」とウインクをする。アレッシアはその態度に腹ただしく「お前がそれをしなくてもいい。面倒だ。邪魔だ。消えるんだ。バカかま」と言い放つ。「えー。でもぉ。」と近付くと、「近寄るな。汚い。」アレッシアは羽を銃弾のようにし、数発だけ放った。「そんなのは当たらないよ」とクロンは片腕で体を支えると、魔法で高く跳び、宙返りし着地した。「ボディーガードにもなるだろ」とクロンが微笑む。「ふん、勝手にしろ」アレッシアは不機嫌そうに呟き、歩いてった。「こんな、才能が昼間っからこんなとこにいるのは何か理由がある。それが何か。探らなきゃな」クロンはそう考えながら、アレッシアについてった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ