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第8話 くのいち召喚

ボス部屋は今日も静かだ。


初めてここで戦闘をしたのが数日前。

初めて人を殺したのが数日前。

寝て起きたら何事も無かったかのように片付いていた。

あれ以来、起きるとまず最初にここを見に来てしまう。

最初はドアを開けるのにずいぶんと時間がかかった。


なるみ「かずきおにぃちゃん、おっはよー!」


ここ数日、なぜかまたビキニメイド姿のなるみ。

いや、意図は分かっているはずだ。


一樹「おはよう、なるみ」

なるみ「朝ごはん準備するね」

一樹「ああ、頼む」


わずかに変わっているのは、矢狭間に続く通路だ。

先日のパーティの武器が立てかけられている。

それなりによい品だったということで取ってある。

ガーディアンに装備させるか、後日売ることにしよう。

大盾の男の槌はすでに再召喚したオークに装備させている。


コントロールルームに戻る。

先日の戦闘で、ここにも少し物が増えた。

近いうちに倉庫を作るべきだろう。


取り返したオークの魔石。

赤い石のペンダント。

魔力は感じるが効果の分からない指輪。

不純物の気になる塩。

他所のダンジョンで獲得したと思われる魔石。

そしてどこかのダンジョンコアの残骸。


俺が負ければどこかの道具屋になるみのコアが並ぶのだろう。

正当防衛だ。間違ったことはしていないはずだ。


なるみ「おにぃちゃん、おまたせー」

一樹「ありがとう」


なるみが皿に盛られたナッツを持ってくる。

この世界に来てからそろそろ2ヶ月になる。

野いちごが減り、木の実が増えてきた。

そろそろ秋ということだろうか?


一樹「こっちの世界にも四季があるのか?」

なるみ「その辺は地球とあんまり変わらないよ。そろそろ秋だね」

一樹「2000m級の山でも冬になればさすがに越えるのは骨だろう。少しはゆっくりできるかな?」

なるみ「そうだといいんだけど、この辺は雪もほとんど降らないからあんまり変わらないかも。減るとは思うけどね」


俺は何を言ってるんだろうな。

命のかかった状況で希望的観測は危険だ。

人を殺すことに慣れなくてはならない。

人を殺すことに慣れてはいけない。

いずれにせよ、いつまでも呆けてるわけにもいかないな。


一樹「そろそろ戦力を増強しようと思う」

なるみ「おお!ひさびさの美少女召喚だね!どんな子にするの?」

一樹「忍者を2人だ。オークのサポートをさせる」

なるみ「第2層の増強だね。じゃあ、足場とか隠れ場所とかも増やさないとね」

一樹「忍者屋敷か。それも面白そうだな」


門を守るオークの正面に2つ、背後に1つ、小さな矢狭間を設置する。

忍者はそこから投擲攻撃や吹き矢でオークを援護してもらう。

3つの矢狭間は幅10cmほどの細い渡り廊下で繋いで置く。

忍者なら駆け抜けられるだろうが、並の冒険者には無理だろう。

オークの背後、門の上の矢狭間はボス部屋につながっている。

オークが負けそうなときはボス部屋に逃げ込み、そのまま俺を援護してもらう。


前回の戦闘でオークは冒険者の前衛後衛の連携に苦しめられた。

忍者たちには主に相手の後衛の牽制を担当してもらう。

単純な前衛同士のぶつかり合いなら、うちの強化型オークと渡り合える人間は少ないはずだ。


また、相手の後衛が距離を取り難いように、扉を増設して戦闘空間を限定する。

この扉は自動的にロックされ、戦闘が終わるまで解除されない。

今までは2層に来た冒険者も追い返すことをメインに考えていた。

しかし、情報を持ち帰らせれば対策され、彼らはより深く侵攻してくる。

オークを見た冒険者はもう生きて返さない、それくらいの覚悟が必要だ。


なるみ「ところでかずきおにぃちゃん」

一樹「ん?」

なるみ「くのいちはぱんつ派ですか?ふんどし派ですか?」

一樹「どっちでもいいわ!」

なるみ「ええー!デザイン担当としてはその回答が一番困るんだけどー」

一樹「今からデザインするのかよ」

なるみ「本体はもう用意してあるんだけどね。そこは今からでも差し替えできるよ?」

一樹「別にこだわりはないからデフォルトでいいよ」

なるみ「なんと!」

一樹「ん?」

なるみ「いえ、なんでもないです」


ちょっと気にはなるが、追求するとパンツ談義が続くやつか?


一樹「忍者というからには黒髪の東洋顔にしたいところだが、将来的に諜報活動にも使うなら現地の人間に近いほうがいいか」

なるみ「この辺だとエルフ族、鬼族かな?山脈の西側の人間族なら赤毛、栗毛、金髪とか多いよ」


エルフ族の住む場所も近いのか。

そういえばシュバルツが危険だと言っていたな。


一樹「エルフってのは危険なのか?」

なるみ「んー?『聖域』に近づかなければ大丈夫じゃないかな?」

一樹「なるほど、気をつけよう。ちなみに猫耳は?」

なるみ「猫人族はだいぶ南のほうだから当面は会うこともないかもね。けど、デザインは用意してあるよ」


モニターにいくつかの猫耳忍者の映像が映し出される。

どれもかわいいが、やはり一人は黒髪にしておきたい。


一樹「この黒髪の和風猫娘と、もう一人は西の人間族風の栗毛にしておこう」

なるみ「おっけー!じゃあ、この二人でいいね」

一樹「ああ。召喚場所はとりあえずここでいいか」

なるみ「うんうん」

一樹「召喚実行!」


ターンッと中指の腹でリターンキーをはじく。

中空に2つの光の繭が現れ、少女のシルエットが浮かび上がる。

その体表を虹色の光が駆け回り、衣服を形成していく。

光の繭がゆっくりと消えるのに伴い、二人はふわりと着地した。


なるみ「では、かずきおにぃちゃん、お名前おねがいします」

一樹「秋風と春風にしよう。よろしく頼む」


黒髪の猫娘が秋風、栗毛が春風だ。


秋風・春風「よろしくお願いします」

なるみ「じゃあ二人の・・・」

一樹「パンツ情報なら要らんぞ」

なるみ「違うよ。二人の運動能力を見てもらおうって話」

一樹「そうか、すまん」

なるみ「第一、ふたりとも今のーぱんだしね」

一樹「・・・そうなのか?」

秋風「はい。確認されますか?」


すっと着物の裾に手を伸ばす秋風。


一樹「いやいい!なるみ、なんで履かしてないんだ?」

なるみ「えー、だってデフォルトでいいって言ったじゃん」

一樹「いや、なんか履かしとけよ」

なるみ「いいけど、なに履かすの?」

一樹「なんでもいいから」

なるみ「ぶー。何でもいいって言う人に限ってあとから文句言うんだ。そんでもってオーダーもアバウトなんだ」

一樹「・・・じゃあ、パンツで」

なるみ「おっけー。何色がいい?」

一樹「何色でも・・・あー、じゃあ白で」

なるみ「やっぱり?」

一樹「ん?」

なるみ「ふっふっふ。かずきおにぃちゃんならきっとそう言うと思って、アタッチメントを用意しておきました」


掲げた手に握られているのは白いパンツ。


なるみ「色調は木綿っぽいオフホワイト。おしりにはねこさんのワンポイントです」

一樹「あー、うん。いいんじゃないかな」

なるみ「じゃあ、これ履いといてねー」

秋風「はい」

春風「では失礼して」

一樹「待て、ここで履くのか?」

秋風「移動しますか?」


考えてみれば部屋らしい部屋はここだけだ。


一樹「あー、俺は外で待ってる。準備できたら出てきてくれ」

秋風「了解しました」


ボス部屋で待っていると、二人の忍者ショーが始まった。

バク転に宙返り、各種の受身に壁を蹴っての二段ジャンプ。

俺が木切れを投げると、的確に投げクナイや吹き矢を命中させる。

攻撃力は低いが、牽制役としては十分だろう。


なるみ「どう?」

一樹「ああ、いいんじゃないか」

なるみ「黒装束に白のぱんつだと、ぱんちらの時のコントラストがはっきり出るよね。さすがおにぃちゃんチョイス!」

一樹「そっちかよ」


いつのまにかなるみのペースに乗せられている。

パンツ談義はどうでもいいが、いつまでも鬱々としているわけにいかないのも確かだ。

右手に残る感触はいつまでも消えないが、なんとか切り替えていかなければ。


一樹「なるみ、明日からは普通の服にしてくれ」

なるみ「いつものなるみの方が好き?」

一樹「ああ、そうだな」

なるみ「わかった。ビキニよりミニスカートからちらちら見えるぱんつの方が好きなんだね」

一樹「違う!つうか、別に見えてないだろ」

なるみ「そうだった?じゃあ、もうちょっと短くしてみようか」

一樹「やめろ。いつも通りでいいから」

なるみ「うん、わかった」


明日から、いや今日にでも走り込みを再開しよう。

俺ももっと強くならなければならない。

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