第106話 尻尾
クリスから伝えられた公爵家の提案はこのような内容だった。
俺がアイナの婚約者となり、後見代理人としてケリヨト地方という男爵領を統治する。
これについては実母の指名と公爵家の承認をその根拠とする。
男爵家との繋がりの証拠は、イェレナが家紋入りの小箱を持っていた。
隙を見て何か持ち出すよう、誰かに入れ知恵されていたらしい。
男爵家乗っ取り計画は既に水面下で進んでいたようだ。
これにより、俺は差し当たって名誉男爵と言う扱いになるらしい。
俺が貴族になる事で、キャシーとも正式に結婚する事ができる。
公爵家令嬢が相手では、名誉男爵でも家格の釣り合いとして厳しい。
だが、四女が相手ならぎりぎり許容範囲と言えなくも無いらしい。
キャシー自身は成婚に拘っている様子は無かった。
だが、彼女の父親を中心とした家族達はそういう訳でも無いらしい。
加えて、俺が3人目の妻を持った事も彼らを焦らせてしまった様だ。
せめて人間族では1人目の妻にして欲しいとの事だ。
そしてもう1つの狙いは、新たな『アーバンコア』を入手する事。
『アーバンコア』は魔力を供給して王国の都市機能を支えているらしい。
ただ、既存の物は近年出力が低下し、いろいろと支障が出ているそうだ。
『経済特区』ではダンジョンコアが似たような機能を果たしている。
これを利用して新たな都市を作りたい、という目論見があるらしい。
だが、ダンジョンコアは俺達『魔族』にしか使う事ができない。
そのために俺に対価として領主と言う地位と権力を与えると言う事だ。
王国での地位に興味は無いが、『領域』を広げられるのはありがたい。
非公式とはいえ停戦協定を結んだから、王国への『領域』拡張は遠慮していた。
ダンジョンを造れと言うなら、遠慮する必要も無くなる訳だ。
だが、当然ながらいろいろと問題もある。
まず俺が王国にも教会にも忠誠を誓うつもりがない事だ。
何より、王国の国教が俺達を『魔族』と呼び敵視している。
それに俺の強さは飽くまでダンジョン由来の魔力に依存している。
『領域』を離れれば俺はただの非力な人間に過ぎない。
その状態で『魔族』を敵視する者の多い王都に行くのは自殺行為だ。
この辺りについては公爵家の方でうまくやってくれるらしい。
王都への就任の挨拶なども特に必要は無いとの事だ。
むしろ、辺境の男爵が国王に謁見できる方が珍しいと言う。
この国の男爵って意外と地位は低いようだ。
政治的な駆け引きなんて、俺は全くやれる気がしない。
その辺りの事はお言葉に甘えて公爵家にお任せするとしよう。
俺の存在が王国の内紛とかに発展しないといいんだけどな。
まあ、そこは俺が心配する事では無いか。
残る問題は、森の必要性をどう説明するかだ。
ダンジョンの魔力の源は『領域』内の生き物達だ。
現状のままでは王国側に『領域』を拡張しても俺に旨みは無い。
むしろ、『根』と街の維持コストで魔力収支は赤字になってしまうだろう。
だが、正直に説明する事はダンジョンの弱点を晒す事にもなる。
森を焼くか切り開くかすればダンジョンは大きく弱体化する。
そうなれば、『魔界』は一気に蹂躙されてしまうだろう。
既にある程度知られている可能性もあるが、改めて教える気は無い。
当面の間は俺がアイナの後見代理人として領主の権限を預かる。
アイナの成人を待って、俺は結婚するか統治権の移譲を受ける。
アイナが他の男を男爵に据えたがるなら、俺は影の支配者になる。
その辺りはアイナの成人を待って当人の意思を尊重して決めよう。
ただ、いずれにしても区画整理については全権を掌握する必要がある。
街のインフラを人質にして周辺の森を守っていくと言うわけだ。
問題は俺が森の保全に拘る理由をどう説明するかだな。
引き続きシェリーの『ギルド』などを利用して情報を集めることにしよう。
なるみ「かずきおにぃちゃん、樵小屋付近でまた侵入者だよ。今回はちょっと数が多いみたい」
一樹「これはゴブリンで追い払うのは厳しいかな」
なるみ「そうだね。けど、斧とかは持ってないみたいだし、とりあえず静観かな?シャベルがちょっと気になるけどね」
一樹「俺も一応待機しておくか。例の衣装を頼む」
なるみ「あいさー!」
樵小屋に向かう粗末な橋を渡り、冒険者達が俺の『領域』に侵入する。
それらはここがみどりの『領域』だった頃に作られてしまったものだ。
取り壊したいが、街道のすぐ脇だから魔物の仕業に見せかけるのも問題がある。
クリスが対応を約束してくれたから、こちらとしては当面は静観の予定だ。
それで無くとも山菜取りや木苺摘み、冒険者の『領域』通過程度は黙認している。
ましてや、行方不明の樵の捜索という名目であれば妨害するわけにもいかない。
違法伐採の取り締まりの際に殺してしまった樵の件で懸賞金が出ているらしい。
武装した冒険者パーティーを護衛に雇っていた為、戦闘になってしまったのだ。
王国で木材の価格が高騰しているらしいが、武装した護衛を雇う程なのか?
最初はゴブリンで追い払っていたが、最後は戦闘になってしまった。
拘束された1人を残し、樵と護衛の冒険者は死亡している。
樵の家族や友人が心配しているだろう事は当然予想できる。
だが、どういうわけか安否確認に懸賞金を出しているのはバルバス男爵家らしい。
以前のバルバス男爵は俺が殺したが、新しいバルバス男爵はお優しい人なのかね?
それとも何か裏があるのか?
護衛の4人の冒険者については捜索対象外らしい。
伐採禁止区域での樵の護衛だから、ギルドを通した正規の依頼では無い。
彼らがこの山に入ったと言う正規の記録は無いわけだ。
ゴブリンたちの妨害を突破した冒険者が、小さな苗木を乱暴に掘り起こす。
だが、そこに埋まっているのは『経済特区』で出たただの生ゴミだ。
樵が傷つけた樹の伐採と抜根を済ませ、生ゴミを埋めて植樹した場所だ。
悪臭に顔を顰めながら、男達はなおも生ゴミの中をシャベルで探っていく。
奴らが探しているのは当然だが「行方不明」の樵の死体だろう。
樵の捜索をしていたら「偶然」冒険者の死体も見つかるという筋書きか。
この森を危険な場所と認識させたい誰かが居るようだ。
ゴブリンアーチャーの攻撃を不自然でない程度に片側に集中させる。
反対側に回り込んだゴブリンダガーが、後衛の膝裏目掛けて突進する。
後衛を狙うのは、ゴブリンの力では鎧を貫くのが難しいからだ。
また、前衛職は反応速度も高いため攻撃を回避される事も多い。
アーチャーと魔道師を失った冒険者達は一方的に矢を浴びる事になる。
ゴブリンの矢では大した脅威にはならないが、面白くは無いだろう。
腐肉の塗られた鏃は、掠り傷でもしばらくは腫れ上がるかもしれない。
冒険者達は負傷した仲間をかばいながら撤退していく。
ゴブリンが致命傷を与えられるのはやはり全体重を乗せた突進くらいか。
膝裏は急所だし、防具も付けにくいから今後もある程度は有効だろう。
いや、ゴブリンの力では丈夫な革を当てるくらいでも防がれてしまうか?
まあ、多少なりと冒険者の負担が増やせるならよしとするか。
あとは、攻撃後の生還率が低いのが気になるところだ。
秋風たちならもっと素早いから、生還率はもう少し上がるんだろうけどね。
ゴブリンで戦闘データを蓄積して、生還しやすい攻撃パターンを探ろう。
危ないから秋風たちにやらせる気は無いけど、念のためにね。
乱暴に抜き取られた苗木と乱雑に掘り起こされた生ゴミが残されている。
冒険者達の撤退を確認し、俺とシャルロットたちで穴を埋め直す。
生ゴミの上に厚めに土を被せ、乱暴に放られた苗木を植えなおした。
苗木へのダメージが心配だな。枯れてしまわないといいのだが・・・。
『プライベート・ブラック』の衣装を隠し、俺は風呂に向かった。
いつも通りの野良仕事の帰りという態を装って開拓村の拠点に入る。
今日はジュリエッタが入ってきてくれた。
ジュリエッタ「ごっしゅじんさまー!」
全裸のジュリエッタが子犬のように目を輝かせて抱き着いてくる。
犬耳のガーディアンだが、犬のようにお風呂が苦手って事は無いらしい。
犬がじゃれつくような振る舞いに、思わずジュリエッタの頭を撫でる。
ジュリエッタは俺の身体を洗い終えると、直立姿勢で全裸報告会に移った。
先ほどと打って変わって真面目な顔になっている。
格好とのちぐはぐ感がなんとも言えない。
ジュリエッタ「市中の治安については特に大きな混乱は起きていません。置き引きや万引きなどの窃盗事件は散発していますが、植木型防犯カメラや『ハイランダー』との連携によりほとんどが事件発生当日中に捕縛されています」
一樹「優秀だな。その調子で頼むよ」
ジュリエッタ「分かりました。あと件数が多いのがポイ捨てなどゴミの不法投棄ですね。一度罰金を取られれば再犯する者は少ないのですが、新しく来た者への周知が足りていないようです」
一樹「分かった。入り口などでの周知を徹底するよう指示しておこう」
この世界で使われている道具類はほとんどが生分解性素材だ。
プラスチックゴミほど目くじらを立てる必要は無いのかもしれない。
それでも景観によくないし、量が増えれば環境負荷も生じる。
ポイ捨て禁止についてはきちんと周知と取締りをしていこう。
ジュリエッタ「お願いします。次に、酒場を中心に客が女給のお尻を触るなどの被害が報告されています。ただ、植木型防犯カメラの存在やダンジョン内の監視能力は秘匿事項なので現行犯でないと逮捕が難しい事と、店が事件としての扱いを嫌がる事から逮捕に至らない事案が多いですね」
一樹「なるほど・・・」
警察が入って客を逮捕なんて事態は店にとっては面倒なだけだろう。
酔っ払いに尻を触られるくらいは我慢しろ、と店は揉み消したがる。
もっと邪推するなら、それを売りにして客を集めてる可能性もあるか?
仮にウェイトレスが承知の上でも、届出のない性的サービスは違法だ。
ウェイトレスの同意無しにやってるなら更に悪質だな。
一樹「各店舗に対策と通報を義務付けよう。後、防犯装置として女神像でも作って貸し出すことにするかな?女神像が映像記録の魔道具だって事にしておけば、現行犯である必要も無くなるな」
ジュリエッタ「承知しました。存外大掛かりな話になりそうですね」
一樹「そうでもないさ」
現在は植木型の防犯カメラが密かに設置されている。
はっきりそれと分かる防犯カメラも置こうと以前から思っていた。
抑止力にもなるし、映像を犯罪の証拠として使えるようにもなる。
植木型ゴーレムのない地上部の監視強化にも繋がるだろう。
ダンジョン内部で起こっている事は別にカメラを設置しなくても見れる。
だが、その情報が広まれば住民たちを不安にさせてしまうだろう。
わざわざ監視用魔道具を設置する事はそのカモフラージュにもなる。
ジュリエッタ「それにしても、なぜそんなにもお尻を触りたがるのでしょう?」
一樹「え?あ、それは俺も知りたいな」
当然だが、俺にも若い女の子のお尻を触りたい気持ちはある。
男が若い女の身体を触りたがるのは性欲のせいなのは周知の事だ。
だが、性欲とは種の保存の為に個体に生殖活動を促す機能の筈だ。
しかし、どれだけお尻を撫で回した所で子供など出来る筈も無い。
それ所か、嫌がる女の尻を撫でる行為は次のステップを遠ざける。
女の子のお尻を撫でたがる心理は普通な様でいてバグってるのか?
ジュリエッタ「そういうものですか。ご主人様もお尻を触りたいのですか?」
一樹「それはまあ、そうだな」
ジュリエッタ「じゃあ、私のお尻触ります?」
不意に地球に居た頃のセクハラ女の顔が脳裏をよぎる。
違う!ジュリエッタの言葉に悪意は感じられない。
一樹「いや、やめておこう」
ジュリエッタ「私のお尻ではお気に召しませんか?」
一樹「いや、そういうわけじゃない」
ジュリエッタ「どんなお尻が好みでしょう?」
脳裏をちらつくクソ女の顔を振り払う。
鬱陶しい、こんなところにまで影が追いかけてくる。
ジュリエッタはただ純粋に質問しているだけだ。
一樹「えーと、ジュリエッタのお尻もいいと思うよ」
ジュリエッタ「触りたいですか?」
一樹「ああ、そうだな」
ジュリエッタ「では、触ってください」
ジュリエッタが邪気の無い瞳で見つめながら尻尾を振っている。
なでなでを期待している犬のように目を輝かせている。
つまらない事を考えている自分が馬鹿らしく思えてくる。
一樹「こうか?」
ジュリエッタ「はい。ご主人様のやりたいように触ってください」
柔らかく、適度に締まったお尻の感触がここちよい。
お尻を撫でられたジュリエッタは心地良さそうに笑みを浮かべた。
ジュリエッタ「では話を戻しまして、次に問題が多いのが商業特区の入口ですね」
あれ?この状態で話を戻すの?
俺は気まずい思いでジュリエッタのお尻から手を離す。
報告中の部下のお尻を触るのはさすがにね。
ジュリエッタ「あら?何かお気に召しませんでした?」
一樹「ああ、いや。十分堪能したよ」
ジュリエッタ「そうですか?触りたくなったらまたいつでも触ってくださいね」
一樹「ああ、ありがとう」
ジュリエッタ「はい。では特区の話に戻りますが・・・・」
ジュリエッタは魔道人形、どうにも感覚にずれがあるようだ。
だが、分からないなりに俺を喜ばせようとしてくれている。
例えそれがただのプログラムだとしても、少なくともそこに悪意はない。
俺はジュリエッタの体を抱き締めた。
ジュリエッタ「背中を洗いなおしますか?」
一樹「いや、ただこうしたかっただけだ。報告を続けてくれ」
ジュリエッタ「はい。商業特区ではタバコの持込に関するトラブルが多いのですが、今のところすべてマニュアルどおりに対応できています」
一樹「そうか。では引き続き頼む」
俺の領では『経済特区』も含めてタバコや大麻などの依存性薬物は持ち込み禁止だ。
マニュアルではまず入り口の前で警告し、その場で捨てるか引き返すか選ばせる。
持ったまま門をくぐった場合は全量没収の上で罰金か懲役となる。
領内で使用した場合や逮捕後に反省が見られない場合は罰金に加え追放&出入禁止だ。
そして、持ち込んだ量が多い場合は密売目的と見做し死刑となる。
領内で禁止薬物の移譲を行った場合も、有償無償を問わず死刑としている。
俺が居た頃の日本でも路上喫煙禁止条例はあちこちで制定されていた。
それでも日常的に路上喫煙を目にしたが、注意する警官は見たことが無い。
それどころか、注意した一般人が逆切れした喫煙者に暴行される始末。
条例は有名無実、実質どこでも吸い放題の状態だった。
規制ってのは取締りがセットで無いとあまり意味が無い。
取締りが無いなら不真面目な人間にとっては規制が無いも同じだ。
真面目な者ばかりが窮屈な思いをし、不真面目な連中は好き勝手に出来る。
実際、日本ではチンピラ共が堂々と路上で喫煙してポイ捨てしていた。
真面目な人間の分だけでも路上喫煙が減るなら規制が無いよりはましなのかな?
けど、規制されてるはずなのに無くならないっていう不満は残るよね。
それに規制に従っている真面目な喫煙者にとっては不平等感が募る。
日本はその後、少しは改善されているのだろうか?
地球では警官の人数的に厳しいって側面もあるんだろう。
ただ、俺にはガーディアンと言う忠実な仲間たちがいる。
規制したものはしっかり取り締まる、制度に忠実な社会。
これなら不満を唱えるのは不真面目な人間だけのはず。
その分、俺の制度設計への責任は重くはなるんだけどね。
そこはまあ、なんとか頑張っていくしかないだろう。
ジュリエッタ「後は砦の門を通らずに森に入った者の喫煙も多いですね。連行して薬物と武具を没収し、罰金とクリミナルデータベースへの登録と出入り禁止を課しています」
一樹「わかった。それについては今までどおりマニュアルに沿って対応してくれ」
ジュリエッタ「はい。入領禁止令を受けた後に再び山に入る者もおりますが、こちらに関しては隠密部隊で処理しました」
一樹「そうか。何人くらいだ?」
ジュリエッタ「今のところ2組で9人ですね」
一樹「そうか。今後も引き続きその対応で頼む」
入領禁止令を無視して侵入してくるなら遠慮する必要はないだろう。
雪風を前に出すことになるだろうから、悪いが仲間も同様に処理させてもらおう。
禁止薬物の利用では帯同者も連行され、荷物検査を受ける事になる。
パーティーメンバーなら入領禁止も知っているはずだしね。
ジュリエッタ「はい。ところで、マニュアルにない事例が発生しましたのでご相談したく思います」
一樹「何があった?」
ジュリエッタ「領内での禁止薬物利用の現行犯で逮捕した男の荷物から規定量以上のタバコが確認されました。マニュアルに従い、禁止薬物の密売目的と見做し処刑、武装して抵抗した随伴者も処刑しました」
一樹「そ、そうか」
確かに禁止薬物の大量持ち込みは死刑と定めはしたけどさ。
裁判制度とかもちゃんと整備した方がいいよな。
まあ、今回は相手も武装して抵抗したみたいだからいいのかな?
町中防犯カメラだらけだから、冤罪は起こり難いだろうしね。
ただ、そんな中で大量のタバコをどうやって持ち込んだんだ?
普通なら鼻の良い狼人族の門衛に止められる筈だ。
森の中なら忍者部隊とゴブリンたちが見張っている。
隠密行動に長けた特殊部隊か犯罪組織が背後にいると言うのか?
だが、それにしては利用現場を押さえられるのは間抜けすぎる。
ジュリエッタ「随伴していたメイドは薬物について無関係だったようなので釈放したのですが、所持金も無く帰り道も分からないとの事です」
一樹「なるほど、それは困ったな」
この世界では教育リソースは貴族など上流階級が独占しているらしい。
ましてやここは新しい街、メイドでは位置関係が分からないのも無理は無い。
事情をきいてクリス辺りに頼めば住んでいた町の見当は付くかもしれない。
だが、帰りの旅費をうちの税金から捻出するのはどうなんだろうな?
何より、今回の不自然な薬物騒動はどこか怪しい感じもする。
一樹「ひとまず、俺が直接会って話してみよう」




