たいていの人には役に立たない、カラス(と、鳥)豆知識 その8
ちょっといつもとはタイトルが異なる。
今回は、カラスに限らず、鳥全般についての記述だからだ。
ちなみに、らおぴんは専門家ではない、ただの鳥オタクだ。
自分なりに充分な確証を得たつもりではあるが、必ずしも、学術的に正確かどうかはわからない。
その点は、あらかじめご理解をいただきたい。
鳥のヒナを拾ったら、なにはさておき、ゴハンをあげよう。
エネルギー不足もさることながら、ヒナは、水が飲めない。
餌に含まれる水分が頼りなので、餌の切れ目は水の切れ目。
拾えてしまうようなカラスのヒナは、親に見捨てられてから、時間が経っている場合が多い。
たいていは、最終行き倒れ地点でじっとしているため、周りのフンを見れば、時間の推移は見当がつく。
白く、色のついた核のないフンの跡があれば、数時間は餌切れしていると思って良い。
ヒナは、飢えても足掻かない。
ひたすら、親が餌を持って戻って来てくれる奇跡を待って、体力を無駄にせずにじっとしている。
チュンチュン呼べる子ならまだ良いが、カラスのヒナは、ほとんど鳴かない。
グルグルと喉を鳴らすような声で甘えはするが、鳴いて親を呼びはしない。
鳴くと、親も呼べるが、外敵も呼んでしまうからだ。
怖いのは脱水だ。
人間とは違い、汗をかけない生き物なので、脱水は放熱にも支障をきたす。
手軽に水とエネルギーを補充できるのは、パン。
崩れにくいので、インジェクションには良い資材だ。
普段の餌には適さないが、モノにはTPOがある。
たいていのヒナは、餌を見せると口を開く。
できれば、鳥種の嘴に近い色の箸を使う。
カラスくらいになると、指で良い。
むしろ、そのほうがスキンシップがとりやすい。
気をつける点は、上からバサバサと覆い被さらないこと。
小さい鳥ばかりではなく、カラスとて、猛禽類の補食対象なのである。
襲われたと思ったら、恐怖で死んでしまうこともある。
口を開かない時は、手のひらをヒラヒラさせてみると、開けてくれたりする。
それでも開かない時は、タオルでくるんで抱き抱え、怒って鳴いたその口に、餌を突っ込む。
何度かやると、こちらが餌をくれる存在であると認識してくれる。
拾われるまでに人間に触られすぎて怯えていたり、苛められて恐怖を体験してしまっていると、この餌やりが、結構高いハードルだ。
意外に厄介なのがスズメだ。
怖いと思うと、餓死寸前でも口を開けてくれないのだ。
さらに、多少食べさせたとしても、スズメは、喉の下を確認しなくてはならない。
食べた餌が透けて見える、餌袋があるのだ。
一見気味悪く、食べさせ過ぎたと思ってしまうが、15分毎に餌をやれるのでない限り、ここが充分膨らむ程度には食べさせないといけない。
小さくて華奢なヒナの嘴を傷つけないようにこじ開けるのにはコツが要る。
焦って、性急なやり方をしないよう、慎重にすすめよう。
どうしても開けてくれなければ、甘すぎない砂糖水を嘴の付け根に、箸の先かスポイトで、少しずつ染ませてやると良い。
(鼻の穴に入れちゃわないよう注意!)
しばらくすると、嘴を小さくしぱしぱさせて、飲んでくれる。
食べるものをくれるという信頼関係が築けるまで、とりあえずカロリーと水を与えるには、それで充分だ。
ツバメの場合、食べさせるモノに苦労する。
「虫」だからだ。
市販のミルワームの缶詰めあたりが手始めで良い。
虫サイズに刻んだ魚や肉でも良い。
だが、生きた虫には気をつけてほしい。
最近はペットのエサ用に、ミミズやミルワーム、コオロギなんかも売っている。
釣り道具屋なんかにある、釣りエサでも良い。
だが、ヒナの咽頭と胃は、成鳥ほど強くない。
強い顎や脚を持つ生き餌は、時としてヒナに致命的な傷をつける事がある。
親鳥ならば、その場合、ちゃんとトドメをさしてからヒナに与えるのだが。
最後に、
ヒナが自力で水を飲み、置き餌を食べられるようになるには、たいてい保護から2週間以上はかかるものだ。
水を飲む姿を確認できるまでは、気を抜かず、最低2時間毎には餌をやろう。
水がのめたら、普段食べさせている濡れ餌を置いて、様子を見る。
だが、嘴の先で摘まんだ餌を飲み込むには、かなりの練習が必要なのだ。
確実に置き餌が減るようになるまでは、給餌を絶やしてはいけない。
クロちゃんは、水を飲むまで10日。
置き餌を食べられるまで2週間半。
ぴーちゃんは、3日目には水を飲んだが、置き餌は、2週間経ってもまだ食べられない。
ただし、刻んだスイカを除く。
……単に、社長が美味しいモノをくれるまで待っているだけかもしれない。




