2019/7/2 ガイくんの未来
出勤すると社長が言った。
「やっぱり、ぴーちゃんにしようかな」
昨日、「ガー!」と呼んでいたら、今朝早くからやたらとガーガー鳴き出したらしい。
たぶん、それ、偶然だと思うけど……
揺れ動く社長のココロとぴーちゃんの名前。
まだまだ目が離せない……と言いたいところだが、気にしていても仕方がないし、
カラスばっかり見てないで仕事もしなきゃならないので、
ここは、生温かく見守ろうっと。
社長の名誉のために追記しておくが、
若くして三代目社長として町工場を継ぎ、わずか10年足らずで会社を4倍の規模まで成長させた、遣り手社長だ。
臨機応変な決断と、活達な冒険心、そして果敢な実行力を兼ね備えた逸材である。
何より、現場においても、誰よりも仕事がデキる。
社員あるあるの「自分でやってみろや、社長!」というグチは、ここでは通用しないのだ。
まあ、掃除のおばちゃんに評価されても困るだろうが。
カラスの名前で揺れ動いているからと言っても、これは、あくまでもイレギュラーなケースなのである。
なんせ、カラスを会社で飼うあたり、既にイレギュラーだしな。
ただ、飼うという決断は、めっちゃ早かったとだけは言っておこう。
さて、後手となってしまったが、うちのクロちゃんはと言えば、
本日から、粒餌をふやかさずに食べる訓練に入った。
これまでカラスのお母さんの育児に特別な興味を抱いた事はなく、
今現在興味を覚えている状況が、いまいち、自身の理解をも越えるが、
とにかく
カラスのお母さんならこうするかな、と試行錯誤しつつ頑張っている。
九官鳥フードはややデカすぎるので、飲み込みにくいであろう。
そんなわけで、先住猫よんこさんからカルカンドライを強奪し、
キャットフード入りの器をつついて見せてから、水にチャポン、それから「あーん」を繰り返した。
ふやけ切っていない、固いゴハンだが、でっかいお口でよく食べる。
クロちゃん自身も一緒になって「あーん」と言うのが、
……たまらん、萌える。
しばらくしてから様子を見ると、ドライフードをつついては、嘴であちこちに運んでみたり、ぶつけてみたり。
いずれ「水」に行き当たり、開眼することになるだろう。




