2024/6/26 ぴーの血脈
ぴーちゃんがウチに来てから丸4年となる。
クロより1年遅れではあるが、1年間は社長令鳥であったので、年齢的には同年代だ。
もうちょっと友好的でさえあれば、いまなお令鳥として優雅に暮らしていられただろうに、狂暴なばかりに……哀れな奴である。
ぞんなこんなを顧みつつ本日、バイト先へと急いでいたのだが……。
ちょうどぴーちゃんを拾ったビルの裏、川の手摺にハシブトが2羽、仲良く並んで止まっているのが見えた。
近くに行っても逃げないし、半開きのお口は赤い。
これは……巣だって間もない子供さんたち。
かわいい。
かわいいが、ここは逃げるところである。
ちょっと挨拶だけして速攻遠ざかったのだが、それでもなお低空飛行のカラスが2羽、頭を掠めて威嚇飛びしてきたのであった。
これでもし離れる素振りを見せていなかったなら、髪の毛くらいはむしられていたであろう。
怒れる親御さんは怖いのだ。
短時間の邂逅ではあったが、親御さんは時々ウチのあたりまで来る個体だし、至近距離で見たお子さん達は、なんというか、鳴き方の妙なクセがどことなくぴーちゃんに似ていた。
ぴーちゃんは、巣立ちに失敗して、おそらくはほぼ初飛行で窓ガラスか車にぶつかったと思われる。
この辺のビルのどこかに営巣していて飛び降りたとすると、ぴーの落下地点とここは、距離にして15メートルばかり。
ハシブトカラスの夫婦は問題さえなければ同じ場所に営巣するようなので、たぶんだが、縄張りの事を鑑みれば……この家族はぴーちゃんの血族である可能性が高い。
因みに、ぴーちゃんを拾った時には威嚇されてはいない。
最初に見かけてから保護するまで半日かかったのもあるが、当初は鼻血だして、嘴は曲がり、衰弱していた。
たぶんその様子を見て、親御さんは諦めたのだろう。
まあ、なんだ、あんたらの子は元気やで。
落っこちたのが往来の激しい歩道だったので、かなり人間にいじめられもしたらしく、狂暴でヒトにはなつかないけど。
でも、もし2メートルずれて車道に落ちてたら、片側3車線地帯で生き延びられた可能性はゼロ以下だから、運はわるくなかったね。
それにもし、今回ヒナ達を見かけた辺りに落下していたら、落水して
これまた命はなかっただろう。
あんた、幸運カラスだよ、ぴー。
だから……もうちょっと丸くなんない?




