2023/5/10 シン・オヤツ
変わったものは徹底的に食べないクロちゃんの食性に苦労したぶん、ぴーちゃんには、できるだけ色々なものを食べさせる事にしている。
中にはカラスには不適切なものもあるかもなのだが、万が一にも放鳥する羽目になった場合にはゴミ袋を漁って生きていかねばならないワケなので、そういうものも食べ物として認識させておく必要があるのだ。
とにかく、ハシボソのクロなら多少攻撃されてもまあまあ知れているので、人に託す事も不可能ではあるまいが、ぴーちゃんは無理だ。
よくよくリスクを周知して、それでもカラスを飼いたくて、かつ、個体差に寛容な人でなければ、ほぼ無理だ。
主である我々に急な事情が生じた場合、後始末を託された人間の9割9分はぴーちゃんを放鳥するだろう。
なにしろ、奴らは所詮、鳥頭。
賢いとはいえ、基準は一般的な鳥比での評価なのである。
オヤツも高確率で飲み水に突っ込んでくれるので、モノを選ばないといけない。
先日カステラをあげて、大変な事になっていたりとか……。
それ以外にも、遊ぶ、隠す等々、色々とやってほしくない事の実行力に関しては、多様性が豊かな鳥である。
最近、嘴の延びすぎ対策として軽石とサザエの殻をオモチャにあげたのは、なかなかの成功であった。
オヤツにもそこそこ固くて遊び要素のあるものをあげたいのだが……、と思っていたところ、行きつけの肉屋で
「子犬用の牛骨あります」
という張り紙をみつけた。
これだ!
適度に食べにくく、嘴も磨り減ってくれて、水にも溶けにくい。
骨髄をほじくる楽しみもある。
早速、お店の人にお願いしたら、なんと無料で分けていただけた。
以前は牛骨スープなんかのダシとして販売もできたが、いまとなっては人間の食用として流通させることのできない食材となってしまった、牛骨。
美味しいと知ってはいるが、ワタクシも、わざわざ食べようとは思わない。
だが、カラスなら。
多分大丈夫であろう。
1日ひとかけらずつあげてみているが、ストレス解消にも良い様子だ。
2度目にもらいにいったとき、お店のおっちゃんがにこやかに聞いてきた。
「何犬?」
「……黒い雑種です」
なんとなく「カラスです」、と言ってはいけない気がした昼下がりであった。




