2022/12/1 季節の都合
秋が終わった。
本日から12月、折しも突然の冷え込みと相成った。
寒い。
だがカラス達は、寒さウェルカムで元気に水浴びをしていたりする。
先月から2階に疎開中のぴーちゃんのケージにも、水浴び用のタライを設置してやったところ、しばらくは警戒していたが、3日目にはしっとりサッパリしていたので、ちゃんと喜んでいるようだ。
さて。
鳥を飼っている人間の多くは、この時期、ややナーバスになる。
あれだ。
鳥インフルエンザの時期なのだ。
ウチの子達は室内飼いだし、秋の中旬頃からは外気の取り入れにも注意している。
ほぼ感染の機会はないが、どこにでも出入りするあんな虫とか、ネズミとか、果てはイタチまで出没するので気が抜けない。
昆虫や、自然の果実なんかも、あげれば喜ぶとはわかっていても、自粛である。
以前にヒヨドリを保護していた時の経験上、野鳥というだけで、人の目は変わる。
インコや文鳥なんかは、かごを軒先に出してあってもスルーされるが、野鳥の場合、室内で飼っていてさえ病原菌扱いされてしまうのである。
わざわざ呼び鈴を鳴らしてまで「鳥インフルエンザが流行ってる。危険な野鳥を処分しろ」と言ってくる人も度々現れたりする。
「では、ここで放しましょうか」と応じて大喧嘩になったりもした。
因みに、そういう事をわざわざ言いに来るのは、8割方、何らかの鳥を飼っている人だったりする。
要は自分ちの愛鳥に害が及ばないようにしたいのだ。
気持ちはわかる。
なんせ、うちに居るのも私にとっては愛鳥だからだ。
だが、他所の飼い鳥を犠牲にしてまで予防しようとは思わない。
なんせ、普通に大量の野鳥がそこいら中を飛び回っているのである。
そんな中では、完全室内用飼いの鳥なら、インコも文鳥もヒヨドリもカラスも、リスクに大差はあるまい。
だが、ものがカラスとなると、相手に理屈が通じにくくなる。
害鳥だという刷り込みが、ゴキブリレベルで一般に浸透しているからだ。
まず、可愛がっていること自体が理解されない。
さらに、飼育が違法だという誤認が常識レベルで浸透している。
そう。
ナーバスになるのは、純粋に愛鳥の健康を慮ってではなく、ストレートさにおいて他の地域の比ではない大阪下町のご近所事情ゆえなのだ。
さらに言えば、大阪のおばちゃん基準で言うところの「気兼ねなく文句を言えるご近所」というのは、自転車30分圏内で月に2~3度通りかかる路地でたまたま玄関から出てきた住人にも広義で適用される。
出勤しようと扉を開けたとたん、見知らぬ人が「あんたんとこの鳥さー」、と来るのはわりとよくある。
また、銭湯文化が根強い地域のため、風呂コミュネットワークが極度に発達しており、ちょっとでも特徴のあるネタは迅速に地域の共通知識と化して行く。
伝わらないのは町内会の緊急連絡くらいのものだ。
そんな地域で、子供らから『暗黒カラスの家』と呼ばれ、「あの家の前は耳をふさいで駆け抜けたあと、2回手をたたく」という謎儀式案件の対象となっていたりする我が家が、この鳥インフルエンザシーズンを無事に乗り越えるには、やたら多大な気力と胆力を必要とするのであるが、何とか今年も無難にスルーしたいものである。




