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2022/1/16  とんど焼きの恩恵

本来は15日のはずであった「どんど焼き」だが、昨今は成人の日の休日が15日ではなくなり、参加できない人が多くなってしまっていたため、昨年からは日曜に行っている。

個人の焚き火が禁止されている大阪市内であるため、場所は神社の境内だ。

数年前からどういう縁か、なんとなく色々お手伝いをしている神社なのだが、八咫烏も祀っているため、クロちゃんをマスコットにしないか、というスカウトも受けていたりする。

(前向きに検討中)


今年は特に、8年来処置に悩んでいた形見の品を、御神火で還していただく事にもなっていたため、早朝から参内。

前日15日に御祈祷済みの御飾りの、分類作業を手伝った。


この時世。

焚き火にビニールやプラスチックは入れられないが、御飾りにもあれこれオプションでくっ付いている。

あと、ダイダイやミカン、干し柿は燃やし尽くせない。

鏡餅は大抵パッキングされた製品なので、とんどには、外装のプラスチック餅型が寄せられるのだが、燃やせない。

残念だが、ご祈祷の後、分類ゴミとして処理をするのだ。


昔は御神火であぶった餅やダイダイ、干し柿を食べれば風邪をひかない、と言って、皆でぜんざいや干し柿を食べたものだ。


だが、今時。

ダイダイは品質に疑問があるため迂闊に食べられない。

熨昆布は袋のまま使われず、干し柿も同様。

もったいない。

集まった青年団の青少年に至っては、干し柿が食べられるものである事すら知らなかったりして、ジェネレーションギャップ満載であった。


大量に集まった干し柿。

美味しそうだが、どこの家でどんな状態で飾られていたかわからない。

まして、大量生産の工業製品だったりすると、工程が不安な近隣国製なのかも知れない。

袋を外さなかったら良かったのにー、とか思いつつ眺めていたら、ふと、黒いヤツらの姿が頭に浮かんだ。



そうだ、カラスだ!


この固さも、カラスなら楽勝だ。

ドライフルーツなんか買ってる場合じゃない!

ここに、半生タイプのドライフルーツが山のようにあるではないか!

干し柿にしたって、ゴミとしてただ回収されて行くよりも、食品として加工された以上、食われる方が本望だろう。


そこで、御祈祷済み干し柿を一串ずつ御神火の煙にかざして回収し、お持ち帰り袋一杯、頂戴してきた。



カラスにあげる以前に、串から引き抜くのがめちゃくちゃ大変。

いっそ串ごとあげようかとも考えたが、竹串の破片を飲み込む危険は避けたい。

苦労してバラした柿から、カチカチのヘタを外して、クロちゃんとぴーちゃんにあげてみた。



2羽とも、最初は食べ物だとは認識できなかったようだ。

しばらくは、目立つヘタの跡をつついたりかじってみたりしていた。

ヘタをわざわざ外した理由は、カラスへの親切心からではない。

カラスの性質上、まずは違和感のある部位から分解しにかかると分かっているし、その上で、最初にむしり取るであろうヘタが「食えない」と、残りの部分への興味を失って終うかも知れないからだ。

本体の味を覚えてからは、ヘタ付きのままでも良いだろう。

多分。



結果、2羽とも完食した。

というか、していた。

しばらくして見に行ったら、柿は消え、干し柿色のフンが盛られていたのである。


ぴーちゃんは、固いものの分解作業が楽しかった様子だ。

おやつとしての味はそれほどでもなかったのか、2度目では、おもちゃとして引きちぎる事に熱中して、後で破片を拾い食いしていた。


クロちゃんには、ちょっと固いが過ぎたらしい。

2度目の柿は、最初から水に投下した。

柔らかく戻してから美味しくいただく算段らしい。


どちらも最初の1個は試行錯誤だが、次回からは余裕をもって楽しんだり味わったりするようになるのが常だ。

色々なものをあげてみるのが楽しい。



何はともあれ、御神火の煙をくぐった干し柿を食べたカラスは、そうそう居るまい。

これで風邪を引かずに済むのかな?

……いつも寒中水浴びしてるけど……


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