2021/6/6 午前3時の決着
只今、日曜日未明。
どちらかと言えば、朝ではなく真夜中だ。
なんなら、就寝から1時間程しか経ってはいない。
そんな時間にどうしたかと言うと、たった今、懸案事項がようやく片付いたのである。
そう。
イタチ問題だ。
折しも、運命のあの日からちょうど20日目の丑三つ時に、小さなケダモノとの戦いは終わった。
長かった戦いではあるが、もう20日も経っていたのかと驚く気持ちもまた否めない。
何せこの間、対策に追われ、寝不足に苛まれ、とにかく慌ただしく時間が過ぎていた。
ある意味充実し過ぎており、時間を短く感じてしまったようだ。
毎夜、怯えるカラスの声やら、猫達の大騒ぎやらで何度も目を覚まし、やたらと厚かましくなったイタチの気配に苛立ち、色々盗まれて困惑し、昨日なんてあまりにも無防備に目の前をウロウロされたので思わず動画を撮ってYouTubeにアップした。
飼ってもいないそこそこ大きな獣が居住空間を這い回るという事態は、ちょっと、ワタクシの許容範囲を越える出来事であった。
唯一の利は、ネズミの気配が完全に消えた事だが、これはたぶん、一時的な効果であろう。
ただ、独特の麝香っぽい刺激臭が残っているので、ネズミも用心はするだろう。
結局、奴はネズミ用の粘着紙に引っ掛かった。
カラスもそうだが、一応は野生動物であるイタチは本来、駆除するには許可が要る。
傷病保護や狩猟捕獲とはちょっと意が異なる。
そういう観点で言えば、ネズミ捕りやら殺虫剤やらも根本的には違法のはずだが、正直、キチンと調べた事はない。
できれば箱系の捕獲機器での確保が一番穏便なのだが、これこそ本来、許可が必須だ。
だから、一般人にできるギリギリのグレーゾーンとしては「ネズミ害予防してたら、たまたまイタチが捕れちゃった」といった辺りが限界なのだ。
粘着シート系での捕獲は、対象の生存率が低いので本来は使いたくないのだが、不潔極まりない獣がキッチンやら家具寝具やらを侵蝕しまくる状況はもはや放置できない健康の危機。
ネズミ対策にも、結局はこれに帰結してしまうのが実情だ。
イタチくらいのパワーだと、粘着シートでは無理だろうと思っていたが、さすが最終兵器。
しっかり仕事をしてくれた。
以前、巨大ネズミがかかった時は、暴れた挙げ句に逃げられて、そこら中ベタベタにされたものだが、その点も大丈夫であった。
人目も少ない夜だったので、自転車で、近くに民家のない地域の広い緑地に運んで放した。
毛皮に付いた粘着剤は取ってやれないが、乾いた所に放すと通路や障害物にくっついてしまうので、湿った草むらを選んだ。
ネズミの場合、脱出後砂埃にまみれれば生き延びていたようなので、柔らかい草や砂がまぶされれば、徐々に取れるか、毛の生え代わりでなんとかなるだろう。
ワタクシにできる、最大の温情がこれなのだ。
許せ、イタチよ。
お前にとっては、ゴハンの豊富な素敵な新居だったのだろうが、ワタクシにも、一動物として死守すべき縄張りがあるのだ。
しんみり帰宅し、しみじみとこの20日間を思い返しながらこれを書き終わろうとしていたら、キッチンから不穏な気配が?
……そこで猫のカリカリを盗んでいるのは……
もう一匹いたと知ってしまった現在は、仄かに曙光が地平に滲みつつある夜明け前。
絶望感に脱力しつつ、とりあえず眠ろう……。




