2021/5/17 過去最大の危機 宿敵現る
ただいま、徹夜明けである。
ここ数日間、ぴーちゃんの様子がおかしいな、と感じていた。
やたら夜鳴きするし、妙に甘えるし。
猫たちは、臆病なので普段遠巻きにしているのだが、もしかしてちょっかい出し始めたかな?
それか、またネズミかな?
数ヶ月毎に現れては、猫に追い出されて行くネズミは、築百年の木造家屋あるあるなのだ。
と思ったりしていた本日未明、というか真夜中。
夜鳴きにしてもおかしい鳴き声に、暴れ方。
飛び起きて様子を見に行った。
最近のワタクシは、居間の一角をカーテンで囲んだスペースにて寝起きしており、すぐ横がぴーちゃんのケージがある倉庫がわりの洋間なのである。
とにかく、何が起きているのか、直ぐには理解ができなかった。
翼を広げて、怯えきった鳴き声をあげるぴーちゃんをよく見てみると……、ケージ上部、翼の先端がはみ出ていると思っていた箇所に違和感が。
そして目が合う、小さな双眸。
なんと、イタチがケージの外からぴーちゃんの羽根を咥えて引っ張っていたのだ。
おそらく、隅っこで眠っていたところを襲われたのだろう。
ケージに首を突っ込んで、引っ張り出そうとしていたようだ。
普段はなかなか人間には姿を見せないイタチだが、獲物を前にテンションが上がりきっている様子で、ぴーちゃんを離そうとしない。
スリッパを投げて、ようやく撃退。
ぴーちゃんは放心状態からしばし立ち直れず、その後も、ケージ越しにワタクシに体を刷り寄せてきた。
特にストレスを感じると、ぴーちゃんもクロちゃんも、人間の肩付近に身を寄せてくるのだ。
イタチは、よほどぴーちゃんを食いたいらしく、ワタクシがいても気にせずケージを狙い続けている。
棒でつついたり、アルコールを吹き付けたりして、やっと追い払うことができたのだった。
……それからというもの、ぴーちゃんが騒ぐ度に様子を見るために飛び起きて、実際に何度もイタチを目にした。
しかもだんだん大胆になり、午前5時、ケージ内に侵入し、ぴーちゃんを組伏せる事態が発生。
これはアカン。
どう考えても、これはマズい。
このままの状態では、一睡もできないどころか、出勤もできない。
だが、相手はイタチ。
そもそもいるべきではない部屋に現れている以上、安全な部屋などそうはない。
というか、大型のぴーちゃんだから助かったが、小さくて攻撃力も弱いクロちゃんだったなら、たぶん、無事では済まなかったであろう。
考え抜いた末に、日光浴用の小型ケージに移して、トイレに置くことにした。
狭い範囲なので穴がないと確信できて、なおかつ床と、壁の一部はタイルで破りにくい。
風呂場はすでにクロちゃんの領分だし、脱衣場は、洗濯機の排水菅用の穴があるのでダメだ。
ぴーちゃんは怯えているが、仕方がない。
イタチに食われるよりはマシだろう。
長い戦いの夜は既に明け、出勤時間が迫っている。不安は残るが、これ以上はどうすることもできない。
ケージを金網で被うことを検討中だ。




