2019/12/27 敗北
社長渾身の一撃たる、ぴーちゃんのおうち改革から一週間が経過した。
翌朝、社長とらおぴんは勝利に酔いしれた。
ぴーちゃんの家は整然とした佇まいのまま、ただ、ちょっとばかり不満なエサを撒き散らかしていただけであったのだ。
続く土日は、らおぴんのお役免除日。
土曜日に社長が、エサと水を追加して帰宅し、日曜日のぴーちゃんはお留守番となる。
だが、簡単そうに聞こえるこの作業は、結構な苦行なのである。
防護手袋でガードしてなおも、ぴーちゃんにより、生身攻撃を追求されてしまうためだ。
ひとたびこれを任された社員さんは漏れ無く、作業完了を待たずに「このカラス、もう放鳥しましょうよ」派と化すのが常である。
あちこち流血させられてなおも好意を維持するのには、尋常ならざる鳥愛か、ちょっと微妙な異常性癖のいずれかを有する必要がある。
そんなワケで、社長は考えた。
ちなみに社長だけは、たまに、噛まれずにぴーちゃんを撫でることができる奇跡の人なのだが、それでも噛まれる確率の方が圧倒的に多い。
で、こうなった。
エサやり器である。
これなら、噛まれる事なくぴーちゃんのエサ入れにカリカリを追加できるのである。
すごく便利なのだが、何故だろう?
この、そこはかとない残念さと敗北感は。
そして迎えた月曜日。
多くは語るまい。
ぴーちゃんの、この、やりきった感溢れる姿をご覧下さい……。




