40/40
マイク納め②
「皆さん、この希望区、そして未来市を担う二人の候補者のために最後までご支援、ご声援いただきまして本当にありがとうございます。途中皆さんに明らかなデマ情報がSNSで拡散され、大変なご心配をおかけしましたが、私、国会議員栄鬼太郎。私の目が黒く、ビンビンなうちはそのようなでまかせや嫌がらせに屈するわけにはいきません。清廉潔白、正々堂々と引き続き国民の皆様のために精進いたします」
栄は国会議員としてのギラギラな眼力で貫禄を見せつけたことを誇らしげに泉にマイクをバトンタッチした。
泉が女優丸出しでドラマを観ているようなお涙頂戴の演技演説から慰めるような仕草を見せる港北へマイクがバトンを渡され、これまた当たり障りのない現職ならではの大根演説が続いていたその時である。
「もう騙されない。皆目を覚まそうよ」
「新しいまちに変えよう」
「わんわん」
ひとりの20代ぐらいの男女二人組と一匹の飼い犬が少し離れた真向かいの都筑一太郎の方を指差しながら叫んだ(吠えた)。
周囲の視線が二人に向いた後すぐに一太郎の方へ向いたが、
一太郎の周りには既に大勢の人達が集まっており、見えない程であった。
その予想もしない異様な光景に港北、泉、栄、スタッフも呆然としているしかなかった。
〈次号 ラストスピーチ〉




