表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チート野郎は死に腐れ!  作者: 雪ノ雪
1/13

プロローグ/不正の証拠

 

「大変すまなかった。これは私の不注意だ。不注意で、君の命を奪う形になってしまった」

 と、ダインストという名の神が言った。

「頭を上げてください。誰にだって間違いはありますよ」

 向かい合っていた制服姿の少年が、少し困ったような顔で言葉を返す。

「そう言ってくれると助かる」

「でも、俺、これからどうなるんですか?」

「もちろん、責任は私が取る。君には私の世界に転生してもらうことになるだろう」

 自身の胸に右手を押し当てて、ダインストは言った。

「転生ですか?」

「あぁ。そうだ。私の世界だからな、多少の融通は利く。なにか要望はあるかね?」

「……そうですね。とりあえず、あまり苦労はしたくないかな」

 少し迷った素振りを見せてから、少年はおどけるように言った。

「はは、それは確かにそうだろうな。わかった。そのあたりを優先して反映させよう」

「ありがとうございます。……あ、そうだ、その世界って魔法とかあるんですか?」

「気になるのかね?」

「まあ、そうですね。ないといえば嘘になります」

 頬を軽く人差し指で掻きながら、少年は恥ずかしそうに肯定する。

 すると神は可笑しそうに笑って言った。

「……君は全属性の魔法が使える。魔力も無限だ。存分に、魔法という力を愉しむといい。そうしてくれるのが、私の罪滅ぼしにもなるだろうからね」

 そうして、少年の新しい世界での手続きは実行されて――


 ――ぷつん、と音を立てて、その映像は途切れた。

「全属性の魔法に、無限の魔力ねぇ」

 虹色の髪という、この上ない特徴をもった彼女が、その端整極まりない容貌を歪めて微笑む。

「前者は問題ないよ。システム的にはね」

「けど、後者は完全にアウトだよなぁ? トア?」

「そうなるね。つまり、仕事の時間だ」

 隣に並んでいたトアと呼ばれた彼は、小さくため息をつきながらそう答えて、

「くふ、ふふ、ぐ、ぐふふ、ふふふふふ!」

 という、相棒の狂気じみた笑い声を聞きながら「……ほどほどにね」と呟いた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ