6:北極都市・アルビオン
「アシュラン」様と、様々なファンタジー作品などを書いていらっしゃる「ちはや れいめい」様にレビューをいただきました!
こんなトチ狂った作品を大勢の人に向けて紹介してくださるなんて、なんという勇者……!
「――いっけえええええ! ドラゴン目指して突っ走れ、ウマゴロー・ダブルツインマークセカンドォォオオ!」
「2がいっぱいだーッ!?」
『ブルルヒィイイイイインッ!』
――金髪のロリ魔族・エレインを拾ったオレは、北方面に向かってひたすらにウマゴローを飛ばしていた。
しかし、もはやウマゴローはただの馬では断じてない! エレインの力をさっそく使ってもらって、ウマゴローを『魔物化』させたのだ!
その結果、黒くて逞しい身体はさらにムキムキになり、頭からは縦に並んだ二本角が生えてきたのである。
これならばいざという時に戦闘もこなせそうだし、まさに英雄の愛馬に相応しい姿になったと言えるだろう。
(ふふふ、見ろよアーサー。オレ、間違いなく英雄に近づいてるぜぇ……!)
ああ、彼に再会するときが楽しみだ!
そうして満足げに笑っていると、オレの背中にしがみついたエレインが大あくびを出した。
「はふぅ……ねぇお兄さん。やる気があるのはいいことですが、やっぱり一晩中走り続けるのは無理があるんじゃないですか?
『魔族』であるわたしや魔物と化したこの馬はともかく、お兄さんはただの人間なんですから……」
「ああ、大丈夫大丈夫! 二本目の『超回復薬』を飲んで以来、なんか眠気がこねーんだよなー」
「ってヤバイですよそれ!? やっぱりあの薬マズいですって!!!」
「レモン味だぞ」
「味の話してんじゃねーですよッ!? ていうかレモン味だったんですか!?」
何がそんなにおかしかったのか、エレインはぎゃあぎゃあと喚き立てる。うんうん、元気なことは良いことだ。
そんなエレインの喚き声を背に、朝霧の中を突っ走っていた時だ。薄暗い視界の先に、街壁らしきものの影が見えてきたのである。
そのまま近づいていくと――
「――そこの貴様ッ! 止まれ止まれー! この『北極都市・アルビオン』に何の用か!?」
門の前に立っていた衛兵に呼び止められた。
ていうか、アルビオンだと? たしかこの大陸の最北にある大都市であり、一つ山を跨げばそこはもう海だという場所だ。
おいおいおい、オレってばそんなところにまで来てたのか。一晩でそこまで辿り着いちまうとかウマゴロー速過ぎだろ……!
「むむっ……その馬、角が生えているではないか!? まさか魔物かッ!」
おおっと、これはやばそうな雰囲気だな! 背中にしがみついているエレインもガクガクと震えている。
うーん、街の真ん前で騒ぎを起こすわけにはいかないし……仕方ない。
「驚かせて悪かったな、衛兵さん。オレたちはただの旅商人で、この馬はその……ちょっと頭蓋骨が病気なんだよ。寿命があと一か月しかないクソ可哀想な奴なんだよ」
『ヒヒィンッ!?』
「そっ、そうなのか!? ……いや、そんな話を信じられるわけが……」
「頼むよ」
そうしてオレは――森で殺した騎士たちから奪い取った、大量の金貨が入った袋を手渡した。
「っ!? …………わかった。くれぐれも街の中では、騒ぎを起こさないようにな」
「サンキュー!」
いやぁチョロいチョロい! やっぱり金の力は万能だなぁ!
さて、街に入ったら色々と物資を集めて、ドラゴンについての情報を聞いて回るとするか。かなりの大都市みたいだからきっと情報も集まるだろう。
ウマゴローの角については……まぁ、あんまり騒がれるようだったら千切っちまえばいいかな。魔物って再生力高いしまた生えてくるだろ、たぶん。
「よーしエレイン、ここを拠点にドラゴンを探すか! 英雄目指して頑張るぞっ、オーッ!」
元気に腕を振り上げてみたのだが、なぜかエレインは黙ったままだ。おいおいノリがわりぃなぁ。お腹すいちゃってるのかな?
振り返ってみると、赤い瞳をジトーっとさせてオレのことを何やら見ていた。
「あのぉ……お兄さん、一つお聞きしたいのですが。
……賄賂を渡すという行為は、とても英雄とは言えないのでは……?」
「なぬっ!?」
――言われてみれば、確かにそうだったかもしれない……!
やべぇよ……オレってば気付かない内に手段とか選ばなくなっていってるよ……! くそっ、これからは自重して生きていこう……!
「すまねえ……オレってば、ついつい焦っちまってたみたいだ。悪かったな、アーサー!」
『いいやそんなことはないよッ! 早くボクに追い付いてきてよ、ランスさん!』
「シャアアアアアアッ! これからも全力全開で突き進んでいくぜーーーー! オラァエレインッ! 今日は騎士たちから盗んだ金で豪華な料理を食いまくるぞーッ!」
「って何この人!? ホント何この人ーッ!?」
はっはっは、オレの未来は明るいなー!
そうしてオレたちは意気揚々と、街の中へと入っていったのだった。
アルビオン「こないで……!」
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