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15:因縁の再会

TS百合コメディを連載中の「雲雀湯」様よりレビューをいただきました!

このホモコメディと合わさって、なろうキッズの性癖はもう滅茶苦茶ですわ……ッ!




 ――山岳地帯・“カムランの丘”。

 かつて、ペンドラゴン王国の始祖となった男が、魔族たちの王と死闘を繰り広げた場所とされている。

 彼らはのちに『勇者』と『魔王』と呼称され、千年後の今にまでその伝説は語り継がれていた。


 そんな歴史のある場所に向かって、オレはエレインや数名のお供と共に馬を飛ばしていた。


「――あーあ。オレもアーサーと共同作業で、めちゃくちゃ悪い奴に入刀して幸せになりたいな~」


「わぁ……お兄さん、アーサーって人のことどれくらい好きなんですか……?」


「言葉に出来ないくらい好きだ」


 ああ……あの日の出会いをオレは生涯忘れることはないだろう。

 必死で剣を握り締め、悪いドラゴンから助けてくれたオレの王子様……! 彼に恥じない存在となれるよう、もっと努力して努力して努力して努力しなきゃっ!!!


「フフフ……あいつと世界を旅することになっても大丈夫なよう、料理だって覚えたんだからな! なぁ衛兵、お昼に食べたお弁当は美味しかったか?」


「えっ、めちゃくちゃうまかったっすけど――ってあれランス様が作った物なんですかッ!? えぇぇ……?」


 ははははっ! そうかそうか美味しかったか! アーサーに食べさせてやるのが楽しみだな!

 

 そんなやり取りをしながら、エレインや(前にどこかで会ったことがある)衛兵などと共に、数日にわたって馬を走らせ続けた。


 そうして……アルビオンを旅立ってから三日目の朝。



「――着きましたよ、お兄さん。ここがドラゴンを発見した場所……カムランの丘です」



 エレインの一言に馬を止める。

 気付けばオレたちの目の前には、霧の立ち込めた荒々しい小山がそびえ立っていた。

 

「朝霧のせいでちょっと見えづらいですが……鳥の魔物によると、ドラゴンの奴はこの頂上でとぐろを巻いて休んでいるようです」


「よしわかった。それじゃ――ここからはオレ一人で行く。エレインや他の連中はここで待機していてくれ」


 そう言うと、数名のお供たちの顔が強張った。

 ……おいおい、まさかお前たちまでドラゴンとの戦いに連れていくと思ってたのか? そんなわけないだろうが。


「お前たちに期待してたのは、野営の準備とオレの手料理の味見役になることくらいだ。……ドラゴンは、このオレが一人で倒す」


「ちょっ、お兄さんっ!? 流石にそれは無茶が――!」


「やれるさ。……いいや、必ずやり遂げてみせる」


 無理、無茶、無謀? ただの人間に出来るわけがない? 馬鹿を言え、アーサーなら出来たぞ。

 ああ、だったらオレもやり遂げてやるさ……! あいつと肩を並べられる存在になるために、オレはドラゴンを討ち倒してみせる……ッ!


「……ドラゴンの死体の運搬はよろしく頼むわ。しばらくしたら、特注の荷車を引いた連中がやってくる手筈になってるからよ。

 つーわけで……いい子にしてろよ、エレイン」


「はい……行ってらっしゃい、お兄さん。貴方の死体を運ぶことにならないよう願ってますよ」


「ははっ、笑えないっての!」


 ここまで足となってくれたウマゴローからも飛び降り、オレは一人で丘をのぼっていく。

 深い朝霧のせいで視界がほとんど効かない状態だが……、


(あぁ、いやがるなぁ……間違いなく、この先にッ!)


 全身の細胞がビリビリと泡立つ。緊張によって内臓がうねり、髪の毛が逆立っていく。

 それほどまでの圧倒的な覇気が、小山の頂上より流れ込んできていた。

 ただそこにいるだけで、他の生命を脅かすような規格外の存在。それが伝説の魔物・ドラゴンだ。


 もしも、そんな奴に勝てたとしたら……!


「――オレのことをいっぱい褒めてくれるよなぁ、アーーーーーサーーーーーーーッ!!!」


 そう考えただけで緊張も威圧感も吹き飛んだッ! 重くなりかけていた足は羽が生えたように軽くなり、オレはカムランの丘を全力疾走で駆け抜けていく!



 そして――



「……よぉ、ドラゴン。かつての借りを返しに来てやったぜぇえええええええッッッ!!!」


『グガァァァアアアアアアア――――――ッッッ!!!』


 大きな翼を雄々しく広げ、伝説の魔物が咆哮を張り上げた。

 昇ってくる朝日に照らされながら――ついにオレは、ドラゴンとの再会を果たしたのである。 




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