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11、二番目の召喚獣さん

区切りを良くしたかったので、今回短めです。


 三日目の夕方。


 本日の仕事(クエスト)を終えた私、ライラさん、レガシーさんの三人は、冒険者ギルド前で帰り際にちょうど合流する事ができ、どうせだからと、今はギルド内の受付カウンター前で、三人分合わせてクエスト達成報告を処理してもらっています。


「今日も今日とて、大量にこなしてくれて感謝感激だわー。

 この分なら、あと三日と経たずに貯まってる分終わりそうよ」


 そう言いながら、ライラさんがカウンターの内側からジャラジャラと硬貨を取り出し、目盛りが書かれた容器に入れて数を数え、それで計算をして取り出しています。


 あ、こっちの世界にもコインカウンターってあるんですね。

 気になってちょっとだけ、受付カウンターに上半身だけよじ登って確認してしまいました。



「はいはーい、おまたせー。私とスズカちゃんで5枚分。

 レガシーさん単独で24枚分のクエスト達成で、合計で734アークのお支払いでーす。どうぞー」


「ありがとうございます。今日もお疲れ様で御座る」


「お疲れ様でした!」


「おつかれー」



 クエストの処理が終わり報酬金を受け取った後、すでに三度目で恒例となった、お互いがお互いの労働を労う挨拶を交わしていきます。


 するとその時―――



『―――経験値が一定量に達しました。レベルアップしました』

『パッシブスキル《運命式召喚術:Lv.1》が、レベルアップしました』



「あっ!」


「わっ。いきなり叫んでどうしたの?」


「あ、な、ななななんでもありませんよ!?」



 危ないです。

 遂に待ちに待っていた、《運命式召喚術》のレベルアップのアナウンスに、思わず声を出してしまって、ライラさんに不審がられてしまいました。


 レガシーさん曰く、『検証の結果、COAOのステータスにかかわる表示や告知は、どうやら我々COAO出身者以外には、一切認知できないようです』と、言っていました。


 つまり、今のレベルアップのアナウンスも、ステータス表示の映った仮想ウインドウも、ライラさんには見えないのです!


 うん、とっても今更な情報ですね!!



(……主殿。折角のスキルレベルアップですが、召喚を行うのは明日にしましょう)


(な、何故ですか、レガシーさん?)


(現在も鋭意調査中では御座るが、この世界で召喚術がどうゆう立ち位置にあるのか分からない現状、街中で召喚を行うのは危険です。


 かと言って町の外で召喚するにも、現在は日も傾いた夕刻。

 魔物は夜に凶暴化するとも事前の調査結果で判明しているで御座る。

 某も一刻も早く召喚を行いたいのは同じ気持ちでは御座りますが、ここは何卒我慢していただきたく)


(そ、そこまで深い理由があったんですね……。

 分かりました。召喚は明日にしましょう)



 ライラさんに聞かれないよう、レガシーさんとこっそりとナイショ話をする私。


 ただ、カウンター前で背を向けて話していたので、その最中は不審な行動に(いぶか)しむライラさんの視線が、突き刺さり続けていました。








 そして日が変わり、四日目の朝方。


 私達は、北側に位置する、一番最初に町の全景を見下ろした小高い丘の向こう側。

 草原ではありますが、起伏が激しいために余程近づかないと私達を視認できない、大きめの岩が乱立する場所に来ました。


 そして私達は、《人化》を解いて、最初以来のお久しぶりなクマさん&妖精さんモードになっています。


 最初は全然意識していませんでしたが、エクストラスキル《飛翔》で空中を飛び回れる感覚は、なんだか不思議です。



「さて、ここで御座れば召喚を行っても、早々には見つかりはせぬでしょう」


「今度は一体どんな方を呼べるのでしょうか。

 とっても楽しみです」


 

 あわよくば、またレガシーさんのようなモフモフな方か、お人形さんみたいに可愛らしい方が来てくださったら、とっても嬉しいのです。


 あ、でも全然違う方だった場合でも、もちろん大歓迎ですよ!



「それでは主殿、お願い致します」


「はい。それでは行きます!」



 レガシーさんは一歩身を引き、私はそれに代わるかのように少し前に出て、両手を前方にかざします。



「―――《召喚》!」



 力強くスキル名を唱えると、地面の上に前回も見た、大きな虹色の魔方陣が現れ、同じように陣を囲むように円柱状の光が溢れ出し、視界が真っ白に染まっていきます。


 そしてしばらくすると、やはり以前と同じく光が収まっ―――



―――ボフンッ!!



「きゃっ!」

「っ!?」



 光が収まり始めた直後、まるで忍者が使うけむり玉が爆発したかのような大量の煙と爆風に、私達は不意を突かれて驚きました。



「けほっ、けほっ」



 い、一体何が起きたんですか。

 というか、煙たすぎで何にも見えません。



「ゴホッゴホッ、あ、主殿大丈夫で御座りますか!」


「けほっ、い、一応なんとか」


「―――バザーの特売品は当てになりませんね、粗悪品を掴まされました」



 私達は咳き込み相手の居場所を見失いながらも、安否を確認していると、不意に、聞いた事の無い()()らしき声が聞こえます。



「今煙を晴らすので、召喚者様は、その場で動かずいてください」



 正体不明の女性の声がそう告げた、その瞬間―――



―――ビュンッ、ドゴォ!!



「ゲブハァッ!?」


「ひぃっ!」



 風を切り裂く高速の“何か”が私の頭上を過ぎ去り、その直後生々しいほどにエグい衝突音が爆ぜ。

 断ち切られた煙幕の隙間から、体をくの字に曲げられたレガシーさんが吹っ飛んでいくのが見え、そのまま岩壁に激突。


 豪速とも言える白い毛皮の肉塊は、岩肌に巨大な亀裂を生み出し、星の重力に引きずられながら、ゆっくりと地面に倒れ附しました。



「「……」」



 気まずい雰囲気のまま私と、正体を表したもう片方の存在の間に、少しの沈黙が流れ……。



「こほん」


「!?」


「面白そうなので、なんとなく推参いたしました。」



 光のように輝き、粉雪のような純白の清廉さ思わせる、長く揺らめくロングストレートの髪。


 血の様に鮮烈で、同時に深い深淵を思わせるような闇をも孕んだ、紅い宝石の瞳。



「私は、ただの人形です」



 その両方を兼ね備えたこの世ならざる者は、両手でスカートの裾をつまみ、軽くスカートを持ち上げて、上流階級の方たちが行う、カーテシーと呼ばれる一礼を優雅にこなす。



「どうぞ、よしなに」



 私の二人目の召喚獣である、純白のドレスを身にまとった、とても美しいお人形さんが、そこにはいました。









やっと、やっと来てくれた……(泣


召喚獣の髪型描写修正

ツインテール → ロングストレート

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