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第三次世界大戦対策機関

作者: 一五丸人丸


「――このように、黙示録の四騎士という文字がペイントされたトラックが次々と日本国民を殺傷せしめているのが現状である」


「巷では当トラックを転生トラックと呼んでいるそうだ。

 これに倣い、第三次世界大戦対策機関も、当トラックを転生トラックと呼称することとした」

「今まで以上に俗っぽい呼称名だな」

「センスあるんだかねーんだかもう分かんねーな」

「転生トラックに跳ねられると異世界に転生するという都市伝説も存在する。

 情報部がゼーレ・ベオプアハトゥングで観測したところ、転生トラックに殺傷せしめられた人間の魂はこの世界から消失したそうだ。

 輪廻に還ることなく魂が持ち去られたとあらば、これは由々しき事態だ」

「ゼーレ・ベオ……?」

「あー、ドイツから回収したあのオカルト装置か」

「読みにくいんだよな、あのオカルト装置」

「魂観測装置でいいのに」

「ごほん。

 異世界転生者並びに異世界転移者に対する私の見解は、以下の三つである。

 一つ、彼らは他国に拉致された被害者である。

 一つ、彼らは他国で技術や経験を培った技術者である。

 一つ、彼らは亡命者である。

 情報部が調査を行った結果、異世界転生者は転生先で一生を終えるケースが多いが、異世界転移者は地球に帰還するケースが多いと判明している」

「で、俺たちはどうすればいい?」

「異世界転生者並びに異世界転移者を発見せよ」

「その次は?」

「保護もしくは排除する。ただし、当該任務には非常な危険を伴うと推測されるため、保護か排除かは諸君らの裁量で決めて貰うこととなる」

「まー、そうなるわな」

「他国で技術を学んだ者が日本に戻ってきたのであれば、嬉しいがね」

「そう簡単に事は運ばないでしょうね」

「保護にしても排除にしても厄介だな。他国が黙ってはいないだろうに」

「まず間違いなく、中国と米国は取り込みにかかるだろう。他の国家もあわよくばと言った感じか」

「ただでさえ日本は人的資源が少ないってのに、あいつら奪っていくばっかだしな」

「上層部はどう判断した?」

「異世界転生者並びに異世界転移者がもたらす技術・経験を巡っての第三次世界大戦が勃発する可能性は極めて高い、と判断した」

「だろうな」

「わ、私たちが呼び出されたのって、やっぱりそういうことなんですか!?」

「そりゃそうでしょ」

「知っての通り、当機関は、日本に属する機密組織である。警察、自衛隊、国連、いずれにも属さない組織ではあるが、それ故に独自の裁量を以て事件を解決することは可能である」

「主旨は理解した」

「本会議を以て、諸君には《作戦》に従事して貰う」

「了解」

「うぃーっす」

「承知ー」

「りょ、了解です!」



「よろしい。

 では、手始めに、君たちには転生トラックに跳ねられて貰うとしよう」



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