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第一話ー7

「えへへ~」


 ちなみに、今も腕を組まれている。

 親が共働きで助かった。

 こんな状況を見られたら、間違った認識をされてしまう。


 つか、妃奈子もいい加減ベッタリする年頃ではない。

 本人はまったく気にする素振りを見せないし。

 先が思いやられるな……。


「着替えたいんだけど」

「じゃあ、部屋行こう」

「いや、離れろよ」

「え~」

「邪魔なんだよ。着替えるのに」

「祐君なら出来るよ」

「無理だろ」

「……しょうがないな」


 パッと腕を離し、俺から遠ざかる妃奈子。

 何で俺が聞き分けが悪いみたいになってんだよっ。

 先に階段を上がる妃奈子のパンツを見ながら二階。


 個々の部屋に入って着替えを済まし、リビングへ戻った。

 自分の部屋でゆっくりしようと思ったが、どうせ妃奈子が侵入してくるだろうし夕飯が遅くなるのは困るからだ。


「祐君、遅くない?」


 あれ、先に妃奈子がいた。


「いや、妃奈子の方が早いんだよ」

「あたしはジャージだから」

「にしたって早すぎだろ」

「祐君が遅いんだよ」

「何の話?」

「あ、お母さん」


 下らないことで議論していたら、いつのまにかお袋がいた。


「いつからいた?」

「今来たばかり」

「そうか」

「今日は、悪いけど惣菜ね」

「今日はって、いつも惣菜じゃないか」


 首を回して肩の凝りをほぐし、手にしていたビニール袋をテーブルの上に置いて親指を立てる。

 意味分からない。

 何もよくないってのっ。


「んじゃ、あたしはお風呂にでも入ってくる」

「はいはい」

「あ、覗いてもいいからね。いつもみたく」

「えっ……」


 お袋の爆弾発言に俺を覚めた目で見る妃奈子。

 さっきまでの好意はなんだったのかと尋ねたくなるほどの変貌だ。


「見てるわけないだろ。信じる相手間違ってるぞ!」

「……」

「それじゃ」


 何て酷いお袋なんだ。

 あること無いこと言って、飽きたらそのままかよ!

 依然虫けらでも見るような目付きで俺を攻撃してくる妃奈子。


「ホントに見てないんだよ」

「……」

「第一母親の裸体見てもつまらないし」

「知ってた」

「は?」

「演技してたの。どういう反応するかと思って」

「演技には見えなかったぞ?」

「演技です」

「……はい」


 丸め込まれてしまった。

 まぁ、いい。

 演技だったのなら、面倒なことにならないし。


「とにかく食べよ?」

「そうだな」


 これ以上めんどくさいことにならないよう妃奈子の言うことに従い、お袋が買ってきた総菜をレンジでチン。

 湯気の立つ立派なおかずになった。

 ていうか、別に惣菜買わなくても妃奈子がいるじゃん。



 ☆ ☆ ☆



 普通に美味しい夕飯を食べ、自室へ戻ったらなぜか妃奈子がいた。

 ついさっきトイレに行くっていったばかりなのに。


「祐君お邪魔してるよ」


 俺のベットに座った妃奈子が足をバタバタと振っている。

 困ったな。

 丁度妃奈子が座っている下の位置に特殊な教材がしまってあるのだが……。


「祐君も男の子だね」


 手遅れだった。

 ニコッと笑顔の妃奈子が怖い。


「何の話だ?」

「幼なじみと一緒にす――」

「あー!! 男の子ですからね。そういうのも持ちますとも!」


 やけくそだ、バカヤロッ。

 第一妹にとやかく言われる筋合いないんだけど。


「……」


 ポンポンとさも自分の部屋のベットのごとく妹が隣に座るよう促してきた。

 おとなしく指示に従っておこう。

 タイトルを知られてしまった以上むやめに断って円芭にチクられるのだけは避けたいし。

 指示通り妃奈子の横に座る。


「あの本はどうしたい?」

「で、出来れば取っておきたい」


 何せ高校生が易々と手に出来るものではない。

 苦労してゲットした大切な本だ。

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