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第一話ー3

「やっぱり好かないわ」

「知り合いにだけツンツンなのかもな」

「めんどくさっ」


 早速クラスの女子と話す円芭を一瞥して諒が一言呟いた。

 ごもっともである。


「そろそろ席着くか」

「ああ」


 気分が悪そうな諒と共に自分の席を探す。

 新学期なので、自分の机がどこにあるか分からない。


「祐あったぞ。お前の机」

「マジかっ」

「席着け~!」


 もうそんな時間か。

 担任と思われる男性が教室の入り口で着席を促す。

 それによりクラスメイト達が各自のイスに座っていった。


「おし、自己紹介したいところだが、校長のくだらない話を聞きに体育館に行くぞ」


 くたらないって……。

 最も言っちゃいけない人が、平然とした顔で言うもんだから思わず笑ってしまう。


「ほら、動けー」


 手でアクションを起こす担任と思われる男性に、動き出すクラスメイト達。

 俺も行くか。

 席を立ち、教室を出る。


 廊下はぞろぞろ体育館に向かう生徒で渋滞していた。

 何で一斉に向かわせるかね……。

 混雑させたら効率悪いだろ。


「どうにかしてよ」


 円芭が話しかけてきた。

 しかも、さりげなく。

 別に普通に会話しても大丈夫だと思うんだけど……。

 女の子の気持ちは分からぬ。


「こればっかりはどうしようもないな」

「……」


 なぜ睨まれなければいけない。

 まったくもってとばっちりである。

 何とも言えない雰囲気の中体育館まで中ほどの距離に差し掛かってきた。


「須藤さん、この間のアニメ観た?」

「観た観たっ」


 クラスメイトの質問に答えるため、睨むのを止めて俺に横顔を見せた。

 名前は知らないが、円芭に声をかけたクラスメイトナイス!


『所定の位置についたら着席してください』


 と、そうこうしてる内に体育館に着いた。

 司会進行役の先生に促され、所定? の位置に座る。

 学校側の人物がくだらないと言うのだから、よほどくだらない話をするのかね?


「それでは、これより全校集会を始めます」

「よっ! おはようさん」


 半ば担任を疑っていたが、校長の第一声で疑いは晴れた。

 なんだよ、『よっ!』って……!

 これはもうくだらない話をするオーラしかない。


「真面目に挨拶してください、校長!」

「至って俺は真面目だ」

「そうは見えないから言ってるんですっ」

「取り方は人それぞれだろ」

「……」


 ま、負けるなっ。

 あなたが折れたら全校集会が校長の話だけで終わってしまう!

 校長を睨む司会進行役の先生を見てニヤける校長。

 ヤバいのが赴任してきたな……。


 ☆ ☆ ☆


 全校集会らしい集会をやったのは、あれたら三十分を過ぎた辺りからだった。

 学校生活十一年にしてあんな校長初めて見たわ。

 さて、売店へかけるクラスメイト達を見ながら、自分の弁当箱のふたを開ける。


 今日の弁当は彩りが良い。

 どうやら母親が作ったようだ。

 というのも、俺には年が一個下の妹がいるのだが、その妹と母親で交互に弁当を作っている。


「一緒に食おうぜ」


 諒が弁当箱片手に近づいてきた。

 ここは一つ伊津美みたくふざけてみよう。


「え……。ヤダ」

「冗談キツいぞ、祐」


 そんなこと言いながら、俺の机の上で弁当広げてるじゃないか。


「あ、チンジャオロースだ」

「切り替え早いなっ」

「お前の悪ふざけに構ってる場合じゃないんだよ!」

「今日は、五時間目で終わりかもしれないだろ?」

「恐らく」

「だから、このあとハンバーガー屋行けるように満腹中枢刺激しないようにしてるんだよ」


 だったら食べなきゃ良いのに。

 弁当食ったら少なからず満腹中枢刺激されるだろ。

 まぁ、こいつのことだから弁当食べても問題なくハンバーガー屋行けると思うけど。

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