影武者
「信照ご苦労」
家康の本隊が赤坂に到着して家康が状況を確認してくる。
げんをかつぐいくさびとは私の昔の名前を呼び背負う者の重さを感じさせており私はまこと利照と小太郎と成実と共に展開を終えて陣をしいている三成の西軍の配置を説明していく、
大垣を包囲していた三成達は家康が到着すると言う知らせで関ヶ原へと大垣城の外に火をつけ撤退をしていた。
「左には広家を先鋒とした毛利、その奥で三成は待ち構えており、三成が最左翼、小西と秀家(宇喜多)が中軍、その横を大谷等がおり最右翼は予定通り秀秋が入りました」
「三成め見事だな」
先に到着していた西軍は高所に鶴翼で展開しており家康の東軍を半包囲している状態だった。
「内府、このままでは」
東軍の武将も次々と知らせを受け本陣にやって来て評定を行う、この状況にこちらについた大名は自分達の地形的不利と陣形に不安お覚えているので当然意見が出る。
「確かにな、ここから見てもだが」
家康は静かに遠くを見つめその表情を読み取った武将それぞれが何かを決意したのかそれぞれの陣に戻った。
「左近が出てきたか」
赤坂の本陣の後方、大垣城との間にある杭瀬川に三成の腹心である島左近が出てきていると知らせを受け配下の騎馬鉄砲を率いて向かう、
すでに戦端は開かれているらしく鉄砲が聞こえており上流に出ると丁度左近が退却しており中村と有馬が追撃を行っていた。
「兵をひかせろ」
馬を走らせながら味方に声をかけるがすでに遅く、川沿いを下るが目の前で追撃した味方に横槍を見事入れ混乱させる。
「宇喜多にございます」
さらに援軍として明石全登が現れて一方的になり私は西へ進路を変えながら退路を遮断しようとした。
「退却だ」
大きな良く通る声では左近が私に気がつき退却を指示する。
見事な引き際で追撃のタイミングを失いそのまま見送ることになった。
翌日、朝から本陣は移動を始め朝霧の中で視界不良のまま関ヶ原へと移動を開始する。
「未だ不安はとれないのですか」
甲冑に身を固めたまこが聞いてくるのを頷きながら前を進む家康の姿を見ながら関ヶ原の入口となる桃配山に到着した。
霧は徐々に晴れ始めて前方にいる軍勢の旗が徐々に見えてきており開戦はもうすぐと思っていると家康から、
「信吉(家康四男)を見てやってくれ、直政がついているが」
虫の知らせか急に言われ直ぐに前線へと向かった。
「上様がか」
直政と合流して信吉と会いほっとしながら未だ晴れぬ霧の中を進んでいく、
「徳川直属は信吉様と直政だからな」
周囲は外様で固められているので重要性はやでも認識でき信吉と直政は口を真一文字に結び進むと目の前に黒い影が動いた。
「福島勢は未だか」
直政が言うのを信吉が静かに頷く、先鋒は福島と家康が評定のさい言っていたがすでに目の前にいるとわかるが動かない、
「直政、気遣いもいいがな」
私は鉄砲の火縄に火をつけ霧の向こうで黒く動く者に引き金を引いた。
「突撃せよ」
その音が発端となり直政が声をあげ赤備えが霧を切り裂き敵に一撃を食らわす。
再装填をしながら見ていると小太郎からの至急の知らせが入った。
「直ぐに本陣に戻れと」
小太郎はこの状況でも言うにはばかられる事なのかそれしか言わず急ぎ引き返す。
桃配山に到着して本陣に入ると不穏な空気が漂い何故か義兄忠勝がおり血の気の引いた顔で戦況を見ていた。
「信照、すまぬ」
そう言われ家康を見ると青い顔をしており私は、
「影」
そう言うとその後ろに布にくるまれ馬にのせられたのを指差し私の血の気が一気に引いた。
「どうする」
忠勝から聞かれ意識が戻り、
「あれは使い物にならず、耐えられるのを知っております」
そう言うと小太郎に呼びに行かせた。
長い時間と感じられたがさほど遠くない場所に小太郎が待機させていたのか連れてきてくれ私は自分の頬を両手で叩き気合いを入れて進み出た。
「これを身に付けろと」
私は無言で頷き小太郎が身に付けさせていく、
「父になにが、いやあったからと言うことか」
こへいが呆然としながらも私は一方的に状況を説明して最後に両手でこへいの顔を引き寄せ、
「その方は二郎三郎家康、たのむぞ」
私はそう言うと馬に乗せ影武者の横に並べた。
「忠勝殿、本陣を前に」
私が丁寧に言うとこへいの顔を見続けていた忠勝は頷き旗本を前進させた。
「忠勝、利照に」
そう言うと頷き側近に一言伝えると利照と成実と共に自分の隊へと向かわせ、本多勢が動き始め未だ霧が晴れきらぬ戦場を中央を進み出た。
「善戦してはいるが、小僧が動かぬ」
忠勝が左の山を見つめ私はようやく気がつき、
「しもうた秀秋を忘れておった、焦れてるであろう小太郎」
そう言うと3発の花火が空に上がり小早川勢が待ちに待ってましたとばかりに下山し始めた。
「信照」
「義兄すまぬ」
あんなことがあってしまったが大事な事を忘れてしまった私に忠勝もさすがに怒るが、それ以上はなにも言わず旗本に号令をした。
徳川3万6千が動き始める。
本来ならもっと早いタイミングで動くはずだったが最高司令官の不在が大きく直政や信吉、外様の福島や藤堂も死戦を全登や左近そして吉継と繰り広げており秀秋の後世では裏切りと言われる計画通りの突撃を開始している。
「さすがは吉継、小僧をあしらっておる」
忠勝の言葉に目を向けると旗の動きから秀秋の先鋒は散り散りとなる。
「が、数が違う桶狭間よりも」
2万近くと1千にもみたない兵力差に何れはと思いながら秀家の先鋒である全登が必死で戦ってはいるがあの時抜けた重臣がおらず秀家との本隊との連携がとりきれず東軍を打ち破れないでおりそこに徳川本隊が襲いかかった。
旗本を投入はしたものの前線は芋洗いといって良い状態でそれが逆に味方のプレッシャーなのか強引になりその隙を左近が押し返している。
「朽木他裏切り」
吉継は何度か押し返していたが側面にいた西軍の味方だった大名が動き出す。
ひとりを除き他の3人が約束もなく裏切りそれを見て私は忠勝に、
「今さら裏切りとは人とは何時でも愚かな」
そう吐き捨てるように言うと、
「だがこれで決したな、総攻めを行え」
忠勝が命令をすると陣太鼓が鳴らされ西軍に襲いかかり、左翼では秀秋が全てを呑み込み喰いつくしていくのを見ながら左近の陣が敗れ三成本陣が攻めこまれていくのを見つめる。
これで決したと誰もが思った瞬間、
「島津勢がこちらに向かっていきます」
自分にとっては島津の退き口を知っているので正面を見るが勝利を確実にした旗本は動揺している。
10倍以上の徳川に両翼の退路を断たれた薩摩隼人が襲いかかり精強であるはずの旗本が打ち破られていく、
「何をしておる、上様が見ておられる前でなんと言う醜態、討ち取れ」
忠勝が後ろから怒号を放つと混乱していた旗本は体勢を立て直し始める。
「忠勝、勝ちに奢った者の弱さだが島津がすごいぞ」
興奮した私を見て何を言っておるかという顔でにらみ、
「直政、討ち取れ」
後方から島津を追撃してくる井伊の赤備えの旗に忠勝は声を出す。
さすがは赤備えと思っていると島津が後ろに向け鉄砲を一斉に放つ、煙が晴れると赤備えが倒れ忠勝の顔に赤みが指し、自らが出たいがそんなことは出来ずに見つめていた。
「忠勝あとは頼む」
忠勝に言うや馬に乗り何かを言ってる忠勝を置き去りにまこが率いる騎馬鉄砲が合流して本陣前に並んだ、
「かまえ」
まこの声が響き私は馬上からかまえ島津の先頭を狙う、義弘一人を逃すため家臣一団となり突き進み追いすがる敵に数名で死兵となり斬り込んでいくのを見ながらまこの声と共に発砲した。
早すぎだが島津を牽制するには良く早合を装填してかまえると島津勢は左におれて突き進んでいった。
「まこあとは頼む」
そう言い馬を島津勢を追う、手痛い反撃に直政も負傷し追撃の手が弛んだ隙に退却をしておりそれを追う、単騎で走らせていると槍に体重をかけた豊久に出会った。
私を見て豊久は槍をかまえにらむ、
「信照だ戦う気はない、掴まれ」
手を差し出すと驚きながらも重傷の自分に選択肢は無いと手をつかんだので引き上げて馬を走らせる。
間一髪で追っ手が来たが引き離し数里を走り抜くと先回りしていた小太郎がある寺の前で手をあげていた。
「豊久殿久しぶりだな、義弘殿はもう少し先に行っておられる」
「感謝する。しかしこれは助からぬな」
無数の怪我もあるが腹に撃ち込まれた鉄砲の弾が致命的であり失った血は下半身を赤く染めている。
「薩摩隼人の戦いぶりしかと見させていただいた」
「しかし面白いな手柄を立てるわけでもないようだし」
私を見て豊久は微笑み私は笑いながら、
「功名はもういらんじじいだしな、だが見てみたいのよ」
そう言うと納得したのか、
「後を頼めはしないが叔父上を島津を頼みます」
「任せておけ悪いようにはせぬ」
そう言うと先程まで鬼神の様な働きを見せていた男の顔が安らかになり生涯を終えた。
「小太郎あとは頼む、それと義弘殿は」
「数里先に」
村の長に金を払い無銘の墓を頼むと馬で後を追う、小太郎の案内のもと家臣13人と休憩をしていた義弘に追いついた。
「信照にございます。義弘殿お久しぶりにございます」
追っ手かと思われ必死の家臣が刀をかまえてじりよるが義弘が止める。
「我が首を取りに来たわけではなさそうだな信照殿」
疲れていたが眼力は衰えておらずさすがはと思いながら馬をおり、
「豊久殿の最後をめとり、後を頼まれたのでな」
そう言うと少しだけ悲しみをたたえ礼を言われる。
「この者に案内をさせる。大和の平等寺にしばらく身を隠して帰国を、それとお内儀はこちらで保護しておるから帰国のさいに合流させる」
そう言うと礼を言われ小太郎にあとは任せて途中追撃する味方に追撃無用と家康の名を使い関ヶ原に戻った。
「すまぬ、ゆいにも怒られるな」
何か言いたそうな忠勝の横を通り抜けこへいの前に座り平伏する。
「義父上、数時間の重圧でこの様になってしまいました」
私に気を使って微笑んでくれているが髪は白くなりシワが深く刻まれ家康に瓜二つの信康がそこにいる。
「しかし数年はこうしてもらわぬと幕府が、そう秀忠殿に受け継がれるまで」
そう言うと横に座った忠勝が、
「どういう敬意かはこのさいだが、信照の言うとおり上様で居続けてもらうしかない」
そう言うと私が信吉のもとへ向かった後の事を話し始めた。
「何処かで刺客が側衆に入れ替わり暗殺を成功させたと言うことか」
改めて言われると力が抜け、
「これからどうするかと言うこと、先ずは影武者は始末させるしかあるまい」
家康の死を知るものは少数が良く始末させていく、
「この事を知るのは私、忠勝、小太郎にこへいとまこ、そして後で正信と秀忠と四天王か」
「しかし梶等の女房衆には」
小太郎が言うのを忠勝は気にしてなかったが、
「寝れば本人と違うとわかり騒ぐ事になる。遠ざけるわけにもいかぬからな」
そう言うと重要性がわかったので沈黙する。
「お梶様には私から、それ以外は自信がありませぬ」
まこが言ってくれ頷きながらも、
「聴かなければ暇をとらすか口封じか、側には小太郎の風魔衆で女性は固めるしかあるまい」
そう言いながら秀忠に早馬を走らせ首実検を始めた。
「秀秋殿すまんかった、わしが合図を忘れてしまい上様にしかられてしまったのだ」
秀秋が本陣に来ると私が謝罪する。
「いえ、吉継の軍に手こずり申し訳ありませぬ」
平塚は撃破したが裏切りが発生するまで突破できずさらに吉継の怒りに感受性の高いこの青年は影響を受け疲弊していた。
「三成の佐和山を落とし戦功を上げてみよ」
家康の代わりに言うと顔に赤みが指し元気を取り戻しながら進軍していった。
入れ替わりに直政が入ってきて一同緊張する。
直政は何かを感じ取ったがなにも言わずに、
「大垣城で内応を願い出ております」
家康は頷き、
「了承した。直政は軍監として佐和山へ向かえ」
そう指示した後私も一緒に下がり、
「後日話す」
そう言うと納得して秀秋達を追っていった。
その他の大名にも改めてと言うことで声をかけその日は吉継が本陣をおいた場所に移動して休んだ。
「上様が頑張っておられるとはいえ疲れる」
「ここで頑張らないと」
そう言ってこった体を揉みほぐしてくれるまこと今後の事を話ながら翌日には主のいない佐和山城へと進軍を開始した。
「3千程だがよう守っておる」
佐和山城は三成の一族が守備しており秀秋と裏切りをした西軍の武将が攻めているがかんばしくなく焦っており私は秀秋の本陣へ顔を出す。
「佐和山は堅城、なかなか難しいのう秀秋殿」
「信照殿、三成の一族もしぶとい歯がゆいですが」
怒りで顔を赤くして家臣に怒鳴っているので、
「3の丸の長谷川に連絡をとられるように、秀秋殿と同じ立場じゃ」
そう言うと何度も礼を言われ使者を向かわせていると逆に佐和山からも使者が来て開城の話を行っておりおおかた決まった頃に秀秋が内通していた長谷川に手引きされ3の丸を占領し翌日には田中が攻め落とした。
「違約ではありませぬか」
本陣の家康に使者であった津田が強弁に言い家康は静かに聞いている。
本来は開城して一族の命はとらぬと言うことだったがほとんどは切り殺され少しのこった子供達の助命を訴えている。
「信照どう思う」
家康から聞かれ、
「落城したとはいえ津田殿とも話はついておりこちらにも落ち度がありますれば残った者の命までは」
「わかった、命は保証しよう」
こへいの優しさに感謝しながら大垣城が落ち主将の三成の親戚である福原長堯の処分について私は、
「あの者は朝鮮では無いことを報告して蜂須賀殿等に無実の罪を背負わせた事実があり出家したからとて許せませぬ」
三成の配下で目付として虚偽の報告をして後日減封されていたが当事者達の怒りは消えておらずそれを含み自害させた。
「さて、大阪の毛利の退去を進めているがなかなか返事をいたしませぬ」
直政が報告をして来て家康の横で聞いている。
「領地の安堵をと言うことか」
「それがなければと言うことにございます」
「約束しよう、ただし口約束だがな」
書面でと言われればだが当主である輝元の判断力のなさと詰めの甘さでいくらでもと思いながら黒田長政をかいして再度交渉を任せ本題に入った。
「秘匿していたとはいえ、わかりました信任いたします」
直政は娘婿の信吉に知らせたかったが家康が亡くなったと知られる事への危険性をわかっており苦渋の決断をしてくれ私は礼をいう、
「しかしよう隠しておられたさすがわですな」
最近は消えていた駄々っ子が顔をだし私が笑うと、
「もしかしてですか」
直虎の事を暗に聞かれて笑いながらごまかした。
そして問題の秀忠と正信、二人とも到着はしていたが戦いに間に合わなかったので謹慎を申し渡しておりようやく今日になってと言うことで小太郎が結界をはり呼び寄せあわせて榊原康政も呼んだ。
「父上が亡くなっただと、そして兄上が生きておられた」
秀忠は家康が亡くなったショックもあるが大好きだった兄信康が生きていたことに驚き歓喜しており対象に正信はショックと頭をフル回転させていた。
「知る者はここにいる者のみよいな」
私がいうと皆は頷くが、
「しかし上様が暗殺された責任は」
そう言うと忠勝は怒りながら、
「主導権が取りたいなら取れば良い、お家騒動で潰したいのならばな」
そう言うと康政は謝罪をした。
「先ずは幕府を開き秀忠様に2代目の将軍となっていただくまでが目標であり、そうすれば豊臣から徳川に移ったと世間も納得しよう」
「直ぐに豊臣を潰せば良かろう、秀頼も未だ幼いうちに」
秀忠が私が信任してくれると言うのが改めて伝えられ気を抜いたのか残虐的な一面を見せる。
「豊臣恩顧の加藤や福島等がいる。今回は三成憎しだが豊臣となればにございます」
そう言うとしまったという顔で、
「そうか他に意見はないか」
そう言って亡き父の行動を真似していくようになった。
「正信は秀忠様について江戸にて政務を行い、信康様には駿府で」
そう言うと納得して後は正信に任せて一番の問題お梶の方様との対面となった。
お梶の方のみを通して私とまこが同席する。
「家康様、新しいおなごが出来ましたのか」
会う早々言いどうしたものかと思っていると家康が二人にしてくれと言うので退席をする。
数刻してようやくとと言うことで顔を出すとお梶の方嬉しそうにしており、
「お話は聞きました。まこ様と話をして取り仕切ります」
そう言って安堵していたが小太郎から知らせが来た。
「ゆいが怒っていてこれ以上押さえることも」
そう言われてしまったと思い小太郎に連れてくるように言い、お梶の方にも私の娘でありこへいの妻であることを伝え小太郎が連れてきた。
「父上、いいかげんこへいを私の元へお返しください、何度言っても小太郎が」
そう言ってむくれており急にふけた家康に気がつかないのかと思っていると、
「こへいに良く似た、親戚じゃなくてなんで」
止める間もなく家康の元へと飛び付き周りをあわてさせどう説明をと思っているとお梶の方とまこが説明をするからと任せて下がる。
しばらくすると呼ばれ涙を流した後があるゆいが、
「お父上を恨みます。なんで」
理屈ではわかっているが感情的にはと言うことで抱き寄せなだめているとゆいが、
「私も家康様の側室になるそうすれば今まで通り」
急に言い始め皆をあわてさせるが家康が、
「義父にも負担になるがゆいの好きなようにさせてください、お梶の方とうまくやっていきます」
そう言ってくれ感謝しながら大津から伏見に入り毛利の大坂城退去が決まり一息つくことができた。
入れ替わりに家康が入城して戦後の功労を行う、
「先ずは戦功の有った者は加増し西国へ転封する」
正信とここに移動するまでに方針は決めており重要な尾張の福島は加増の上転封、他の外様と言われる大名も同じ様に配置していく、
「そして先ずは上杉」
敵として敗れた大名の処分を決めていく、
「上杉は当然潰す」
私が言いきると賛成と反対に別れる。
「直江にも開戦前に伝えたがその責をとってもらい、信任した景勝にも同様な責任がある」
30万石に減らされるとわかってはいるが直江嫌いの私はわざと強弁に意見を言う、
「この件は次回に保留とする」
正信は私の怒りを流すため言いきる。
「上田だが」
義兄忠勝が言う、
「狸親父とその次男坊のおかげで戦いに間に合わなかった、十分な理由ですが」
先程よりも怒りは収まり言うと、
「信之が功をあげそれと引き換えに助命を願い出ている」
信之の妻は小松姫であり日和の妹にあたりそれを言われると私は同意をして沈黙したが昌幸に手痛いものを食らって遅参した榊原等は反対をしていたが関ヶ原遅参していたのでそれ以上はなかった。
「毛利は上様と義兄弟であり所領安堵で大坂を退去させましたが」
直政が言うのを私が、
「三成方の総大将を引き受けたと安国寺の坊主と共に」
そう言うと正信以外は驚き話が違うと言うことになり処分を考える。
「広家(吉川)が毛利家臣団をまとめ関ヶ原で動かなかった事の戦功は大きいと思います」
直政が言うので本家の取り潰しと改めて領地を与えるという話で次回に持ち越された。
「それと捕らえた三成等の処分を」
そう言われて引き回しの上打ち首と決まった。
評議が終わった後義兄を呼び止める。
「妹の栄子殿の件、輝政(池田)の配下が手を下したそうにございます」
敗軍の将である家正は忠勝の妹を正室に迎えており落ち着いた頃気になり小太郎に調べさせたが行方がわからず、状況的に襲われ亡くなったと言うことを伝える。
「証拠無しか」
それだけ言うと苦悩の顔を浮かべながらその事は沈黙した。
忠勝はそれ以上言わなかったが後日輝政にたまたま出会ったおり、
「栄子の件、義兄は沈黙しているがわしは許さん、うまく隠したつもりだろうが証拠を探させているからな」
そう言うと輝政は震えだし会うたびに根に持っていることをいしきさせた。
私は大坂に連れてこられていた三成達と京に上がる。
「佐吉、その方が豊臣を潰した張本人になる。豊臣とは戦えぬが三成とならばと、福島等もよう戦ってくれた結果はどうであれ」
そう言われて三成は苦渋の表情で、
「太閤殿下の御恩を仇で返す。そのようなことが許されるか」
真っ直ぐこちらを見るので、
「秀吉に恩はあるがそれ以上に三成に言いようにされその怒りの方が強かったからな、思惑通りと言わせてもらおう」
三成は目を見開き私の今までの行動に納得したように口を震えさせ目を閉じて大きく息を吸い吐き出すと目を開き、
「信照様、お願いがございます」
敗軍の将だが折り目をただした姿勢でこちらを見て、
「どうか秀頼様を豊臣を御守りください」
この私心の無い言葉は私の頑固になった心にも響き結果はわかってはいるが、
「私も血のつながる者として出来ることはしようぞ」
思わず口にしてしまうと三成が、
「そう言えばあの戦い徳川本人が指揮をとったとは思えぬが成功したのでしょうか」
主犯はやはりと思いながらもぎりぎり顔に出さずに、
「古強者の強運を願うのは同じ、わしが途中まで指揮を執ったが秀秋を投入するのを忘れて上様にしかられたのよ」
そう言いながら笑うと三成は何かを察し少しだけ笑うと、
「そうですか、大丈夫ですよ私は何も言いませぬ」
自分の馬鹿さかげんに苦笑いをしながら頷き少し離れた場所へと座った。
数人の大名が通りすぎ正則(福島)がやって来るなり罵る。
「太閤殿下の威を借る小役人が、ようやくねんぐの納め時だな」
「戦えば負ける能無しの癖によく起こしたものだな」
火に油を注いだ私が言うのも何だが憎しみを歓喜に変えた男を静かに見守りようやく言い終わると三成は、
「私に武運と二心を見抜く事が出来たなら、先に行って太閤殿下にご報告させていただくぞ」
そう言われ痛いところをつかれたが唾を吐き捨てると通りすぎた。
数人が通りすぎ秀秋(小早川)が通りすぎようとすると三成が、
「太閤殿下の恩を忘れ裏切るとは畜生にも劣る。武人とは思えん行い」
そう言うと秀秋は耳をふさぎ喉を締め付けたような小さな悲鳴をあげながら駆け出して行ってしまった。
次に登城してきたのは正信の息子正純であり官僚として似た者で気が合うかと思っていると三成の前に止まると丁寧に頭を下げ、
「何故に生き恥をさらしたのです」
責めるような言いくちに私は正信の息子とは思えん軽薄な考えに力が入るが三成は、
「あきらめ死ぬような軽薄で下等な武将と一緒にされては困る」
そう言うと少し考え一礼をして通りすぎた。
「貴殿の戦いぶり見事と言って良い、そこで我が隊に何が足らぬと思われるか、御教授していただきたい」
藤堂高虎でありお互い主力を尽くした者同士でわかり会う何かがある。
「足りぬものと言えば鉄砲隊の指揮官をもっと能力の高い、そうあそこにおられる織田殿の組頭などのような者がいればと思います」
誉めてくれるのは良いが高虎が私の配下を狙ってると苦笑いをしながら後は大阪の戦いを残すのみ高給ならばそれも良いかと思いながら高虎が通りすぎるのを見つめた。
「中々の戦いであった。どちらが勝利をしてもおかしくはなかった。勝負は時の運」
いつの間にか二郎三郎家康ことこへいが三成の前で止まり声をかける。
「武運があればこうしてまみえるのは逆に残念です」
本当の家康であればここまで優しいのかこへいを見ながら城内で挨拶を済ませ数日後三成の首は討たれた。
これで残るは豊臣家、65万石にまで小さくなったが影響力で言えば豊臣恩顧の大名がいる限りは、何も考えない正則等は良いが清正は厄介であり徳川でも武将の息子達へのすみやかな移譲等も行い来るべき大坂に備えなければならずそれについては正信ら幕閣に任せてこへいのそば駿府ですごそうと思っており了承を得てようやく関ヶ原は終わった。




