初陣
蝮との会見からさらに一年、1554年夏である、
父が亡くなりまとまりがなくなった織田家の隙をついて、今川義元が村木砦を作った。
これはかなり織田の領内に入り込んだもので、それにより孤立した母上の嫁ぎ先の水野信元からの救援依頼により、暴風の中初陣となり、私は鉄砲隊200と与力で五〇ほどの足軽を率いて一益と慶次郎にそれぞれひきいらせ出陣した。
木村砦を大きく迂回し緒川城に夜半に入り、母上と再開する暇もなく村木砦に移動する。
朝方までに準備を整えすぐに他の隊と一緒に攻め始めたが、表門を攻めあぐねている間に叔父の織田信光が搦めを落とし早々に落城させたため、我が隊は武功をあげることなく翌日尾張へ戻り始める。
一益から、
「初陣はこんなものです。」
そう言われ顔をひきつらせるしかなく、
「しかし腰が引けた姿も面白いな」
そう私の姿を笑っている慶次郎がおり不完全燃焼の今回のうっぷんのようで、一益が怒りながら私に謝罪をしている。
「実際の戦いを見ると腰が引けます。慶次郎の言うこともっともですから。」
そう言うと慶次郎が、
「自分を弱いと認めることはいいが次回は俺と一番槍をとるぞ」
そう私を見て楽しそうにしている。
そんなことを話していると行軍中に兄上に呼ばれ、馬を隊列の前方に走らせ兄上を見つけると横につける。
当然兄上は軍勢を進めながら話しかけてきた。
「ちご、出番が無かったようだな」
そう少し微笑んでおり機嫌は悪くないようで安堵しながら、
「はい、雨で鉄砲も役に立たずでしたから、義父の信元の攻めに混ざろうかと思ったら、いつの間にか叔父が搦め手を突破し終わりですから訳がわかりませんでしたし早すぎますよ、慶次郎共々不満ですね。」
兄上はそんな私の顔を見て少し考え笑った顔で
「決めた。」
「何をですか(またなにか言われそう、実際戦いの真ん中は怖いし今回はこれでよしとしたいけれど)」
柴田勝家を呼び私に、
「帰りのついでに寺本城と薮城を攻めるぞ、薮はちごに任せる直属の足軽を二百連れていけ。わしが寺本城を攻める。その合間に攻めるもよし囲うもよし任せる。」
そう言われ、
「わかりました、一益と慶次郎と相談をして武功をあげまする。」
私は直ぐに自分の隊へ引き返し一益と慶次郎に伝えた。
「やっと、やっと戦いができる、信照殿の与力で訓練に明け暮れる日々で、今回も暴れられなかったから悩んでいたんだ。」
と、慶次郎は大喜び私は苦笑い一益は私に対する言葉で青くなっていた。
「慶次郎の喜びは私の喜びでもあるから嬉しいよ一益気にしてないさっきの腰が引けたのも事実なんだし、ここで武功をあげよう。」
そう言うとほつとした様子で、
「信照殿の配慮ありがとうございます、そして甥の非礼お詫びします。」
私は頷くと、
「よし策を練ろうか、一益のことだから薮城を調べ尽くしているんだろうけど、どんな感じの城なの。」
「寺本城の支城です規模は大きくなく城の正面は左半分は林があり右側には田んぼが広がっております。」
私は少し考え、
「そうなら、林に一益が鉄砲隊を伏せてもらい慶次郎が表門で挑発し今川方が出てきたら慶次郎が一益の前を通り過ぎながら逃げる。今川勢が半ば過ぎたところで銃撃し混乱した所で慶次郎と我ら足軽で斬り込みそのまま城まで押し込んで攻め落とすというのでいいかな。」
そう言うと、
「挑発して引き付ける中々の策、小十郎楽しみにしておく」
慶次郎は上機嫌で朱槍をしごいていた。
兄上と別れ一益が林に入って準備し終えるのを確認して私も城から見えない場所に伏せると、慶次郎が嬉々とした表情で薮城の正面に消えていった。
林の向こうから、
「やあやあ織田信照が与力、滝川慶次郎とは俺のことだ。城にこもり腐っている今川勢に一槍ご馳走したくわざわざこんな田舎まで参った。勇気のあるものはいるかな」
と、声が聞こえて、その後尻を見せたりして挑発していたようだが、喚声があがり慶次郎がゆるりと林の横を抜け挑発を繰り返し私の横までやって来る。
今川方も林の横を通りすぎようやく見えてきたので、
「織田上総介信長が弟、信照と申す、初陣なれば我が武勲となれ。」
そう言うと合流した慶次郎と共にかけはじめる。
今川方はうつけの弟だ撃ち取れと林を通り過ぎこちらへ来た瞬間一益の鉄砲隊が火をふいた。
今川勢は側面から鉄砲の発砲したすさまじい音に大混乱に陥っており慶次郎と並び今川勢に突撃する。そのまま敵の中を駆け抜けていき、総崩れして城へ戻ろうとする今川方の後ろを追撃していく。私には与力で貸し出された足軽二百五十と共に混乱している今川勢に槍をかまえて斬り込み薮城をそのまま攻める。途中で慶次郎はと探すと敵将を見つけ名乗りをあげると槍の一差しで落馬させて、
「敵将撃ち取ったり。」
そう言ってさらに今川勢を混乱に陥れ城へと退却させた。
その間に私は城の中に敵兵と一緒に入りこみ、
「一番乗り織田信照ぞ、この城は落ちた。おとなしく降伏せよ。」
そう伝うと今川方は主将が撃ち取られたこともあり散り散りになっていき逃げる敵は捨て置いて城を落とした。
ここはおさえとして取っておくには今川領に入りこみ過ぎていたので破壊をして引き上げることにした。
急ぎ足軽を集めると城の中で使える物を荷車にのせ捕虜はそのままつれていき、城外で待機していた一益と合流の後城に火を放ち兄上に合流する。
直ちに兄上のもとへ参上し報告を行うと、
「ちご、武功をあげたから今日からは小十郎と呼ぼうぞ。」
最高の笑みで城を速攻で落としたことに喜ぶ兄上、
「それと、古渡に千貫としての加増す。ただし一益と慶次郎は直属に戻る。自分の家臣を持てよ。」
そう言われ慶次郎と離れるのは寂しいが自分の領地が貰えるので、
「ありがたき幸せ、早く尾張を平らげるよう頑張ります。」
そう伝い喜び勇んで尾張戻った。
まずは兵士をと思い薮城からつれてきた農民兵を自分の領地に定着させ、兄上に見習い長男以外の子供を集め常備軍とする。
武器などはまだそろっていないが、槍は百二十、鉄砲も四十ほどにする予定で薮城からの戦利品を売り金採掘からの金などで根来寺の師匠に注文をおこなう。
家臣は下級武士の中から兼松 正吉、義父の水野信元からの紹介で荒尾善久、出納は嘉兵衛に任せ武士として姓を与える事とし新しい領地にちなんで古渡嘉兵衛と名乗らせた。
しばらくは荒尾と兼松を一益のところへ向かわせ鉄砲等基本的な事を習わせることにして一益に一筆書くと頼んだ。
私は農民兵と共に新天地である古渡の領地に向かい早速堤の補修をしたり農家の手伝いをしたりと忙しく働きながら合間に鉄砲の訓練をかね山にはいり獲物を持ち帰り一日を過ごした。
始めての刈り入れも順調に終わりそうな頃兄上に呼ばれたので久しぶりに城へ上がる。
兄上は私に会うなり、
「尾張守護であった斯波義統を殺した謀反人織田信友を討つ。斯波の息子が逃げ込んできた。」
そう言って息子を得たことにより大義名分を得られた兄上は、
「小十郎、清洲を取るにまず松葉と深山の両城を攻め落とす。直ぐに準備にかかれ。(林)佐渡よ信光に松葉を攻めさせる。我らは深山城を落とすぞ。」
そう急いで兄が出ていくのを追っていきながら、
「いつでも準備できております、兄上を暗殺できなかったからとはいえ守護を討つとは」
そう言うと頷きながら私に、
「先方として向かい、信光が松葉城を攻めて援軍に出たときにそこをうち城を落とせ。与力として足軽三百と鉄砲七十を貸す」
「わかりました、所で信光殿はいつ頃着陣予定でしょうか。」
「昨日から三日目と書いておった。」
「明日にはですねかなり急ぎます、必ずや吉報をお待ちくだされ。」
急ぎ与力の足軽を借り受け自分の隊と共に兼松と荒尾の両武将に任せると、深山城の松葉城へと続く道の途中にある寺の境内へ集合した。
流石に合計五百がいると狭いので道を挟んだ反対に待機させ、松葉城からの使者が通るのを待っていた。
朝方に使者のものと思われる早馬が目の前を通りすぎたのを合図に、兼松が率いる足軽二百五十が林を抜け深山城を目指し移動していく。
物見から城から出てきたと聞いたので鉄砲隊は手はず通り道横の両側の林に隠れ、残りの足軽百七十を松葉城に近い林に配置し荒尾にひきいらせ伏兵として待機させた。
深代から三百ほどの足軽を率いた武将が通りすぎ半分を過ぎた辺りでまず私が合図となる鉄砲を敵の主将と思われる武将に撃ちこんで落馬させると、それが合図となり左右から鉄砲を撃ち始める。
最初に武将が倒されさらに左右から鉄砲を撃たれ敵も混乱をすると、深山城を目指し逃げ始めた頃に荒尾が退路を絶って次々と討ち取っていく。
撃ち方をやめさせ荒尾が追い散らしていく後ろから鉄砲隊を率いて追撃をする。うち漏らした敵を鉄砲で撃ち取って城へと進んでいった。
深山城まで来るとすでに兼松が落とし合流した鷲尾と共に残敵を掃討していく。
私は直ちに鷲尾に鉄砲隊を任せると、兼松を副将に敵方の旗を集め松葉城にいく今川勢の援軍に見立て進む。
城まで来るとすでに信光が到着し始めたところだったようで慌てて搦め手の門を開けて大喜びで私達を導きいれてく、松葉城の守将が慌てた様子で現れ血だらけの我々が援軍に来てくれたと思ったようで、
「深山城からの援軍御苦労。うつけ者の織田勢が到着しましたぞ、合力し押し返しましょう。」
と私達に近づいて来ると、兼松がおもむろに守将を引き寄せ刀を首筋に押しあて、
「確かに深山城から援軍に来ましたが、上総介様の軍だ、降伏せよ」
そう周りの者に伝えると、今川の将兵は最初はためらったが守将が
「降伏する。」
そう言うと、武器を手離し降伏を始めた。
私は守将をつれ表門に向かい門を開かせ叔父の信光に知らせを送ると、信光が到着するのを待った。
信光は驚きながら私を見つけると、
「信照なかなか手が早い、まあよかろう松葉城は任すぞ、わしは清洲が取れれば満足だからな。」
そう言い残すと兵をまとめ守山城へ戻っていった。
私は兄上に報告し急ぎ代わりの武将を派遣をお願いすると、清洲からの攻撃がないか物見をだし防備を固める。
次の日には代わりの者が足軽などを率いてやって来たので与力の兵を返し那古屋に帰還することにすると鷲尾と兼松と共に戻り始めた。
那古屋への途中この時期にしては早い雪が降り始め冷えきった体をさすりながら皆急ぎ城へと入っていき、兵を兼松と鷲尾に任せ広間にいる兄上のもとへ参上した。
兄上は私が入ってくると立ち上がり、
「小十郎、今回の働き見事である、叔父上(信光)にもこないだ砦攻めのお返しができたな。」
そう言われ私も嬉しくなりながら
「はい、事前に兄上からの叔父上がいつ到着するかを教えられたため伏兵で速攻落としたあとに敵の援軍になりすまし、慌てている今信友勢の隙をつき両城を取ることができました。」
珍しく兄上は大きく頷くと、
「今回手にはいった城は清洲攻めの前線であるので直轄とし、この気を逃さず攻め上ろうぞ。」
私は先程の事を思いだし、
「それについて兄上に一言申し上げてもよろしいでしょうか。」
そう言われ戻ろうとした兄上が振り向き、
「うむ、小十郎何かあるか。」
「季節が早いのですが雪が降って参りました、まだ雨や雪が降ると鉄砲は使えませぬそれで清洲攻めは来年をもって行ってはいかがでしょうか。」
少し不満顔の兄上は
「確かに雪になれば思うように鉄砲は使えんか、冬の間にそこを工夫し来年の清洲攻めに備えよ。そして今回の功により小十郎には千貫倍増し古渡に二千貫をあたえるとする。」
そう言うと兄上はお礼を言う暇もなく評定から出ていってしまう。
城下町にある自宅に戻る前に佐々、原田そして紀一郎に集まるように伝え家に戻る。
家に戻ると兼松と鷲尾がそれぞれ待っており今回の加増の話をすると喜んでくれ
二人にも百貫ずつ与えることを話すと、鷲尾から
「信照殿、二千貫の家とは思えませぬ。新しいところに移るなり考えた方がよろしいかと、これから家臣を増やさなければなりませんし。」
そう言われたが早い時期に清洲に移る予定をしていたので、
「来年までは現状のままで、改めて考える」
と、話していると三人が連れ立ってやってきた。
成政が代表して、
「小十郎殿、この度の武功と加増おめでとうございます。原田と紀一郎共々喜んでおりまする。」
丁寧に3人が祝いの言葉を言ってくれ私は、
「成政も他の二人もありがとう鉄砲の訓練をしたかいがあった。来年はさらに忙しくなるが、実は兄上から雨でも雪でも関係なく使えるようにせよとの話、それを相談したく呼び寄せたのだ。」
そう言うと成政は
「現状の雨の中では頭に傘をつけそれで撃っていますが小雨ならいいですが難しいです。」
そう言われ確かにと思い、
「成政、鉄砲に細工してと考えている。紀一郎は何か案はあるか。」
そう言うと紙と筆をと言われそこに紀一郎が図面を書き込んでいき、
「火薬皿に蓋をつけてますが雨が染み込んできてしまい使えなくなってしまいます。」
そう言って悩んでいると黙っていた原田がおもむろに、
「信照様火薬皿にも傘をつけたらいかがでしょうか、それならなんとかなりそうではありませんか。」
そう言いながら図面に書き足していくのを見て、
「原田よい考えだ。これを紀一郎、成政と原田と試作を作り見せてくれ、その結果で兄上には良ければ話をしよう。」
そう言うと3人は互いに頷きながら工房へと走り去っていき、この冬は来年の清洲攻めに向けての準備で忙しくなりそうだった。
尾張でも雪がちらつく季節になり私はお役目の1つである那古屋城の城下町で兄上と相談をしていた区画整理を行うための調査を行う。
同じ職の人々がどのくらいいるかとそれを同じ場所に集めていくと言うことを行い町を発展させようというつもりである。
私は城下町にいる商家を訪れ町の区画整理と同じ職で集まる事の是非を聞いてまわると殆どは否定する声であり理解をしようとしない。
反対をする商人は佐渡などに賂を渡してこの話を潰そうとしたらしくある日城にいると、
「信照様お話がございます。」
佐渡が勝家と佐久間等の重臣を率いて面会に来た。
「今回のこと如何するつもりですかな」
佐渡が座るなり言ってくる。ここはあえてとぼけて、
「今回とは何の件でしょうか」
「信照様ならお分かりになられているでしょう」
私があえてとぼけているので佐渡はいらつく。
「林殿、いきなり言ってもわかりますまい、なあ信照殿」
勝家が雰囲気も読まず佐渡を制すると言ってきて、
「我らは日頃から昵懇にしている商人から頼まれ町の中での移動を思い止まらせるためにまかりこしました。」
私は賄賂を貰っていますよと言う言い方をしてきた勝家の発言に苦笑し佐渡も苦虫を噛み潰したような顔で勝家を見る。
「それでは勝家はその親しく飲食金品を貰っている者達に手心を加えて欲しいと言われるのですね」
そういきなり核心部分を言うと勝家は嬉しそうに、
「さすが信照殿にございますな、いらぬ混乱を避けるためにもよろしくお願い申す。」
そう言うと慌てて佐渡が、
「信照様失礼しました。」
そう言うと佐久間と共に勝家を両脇にかかえて慌てて部屋を出ていってしまった。
勝家の空気のよめなさに私は笑い転げ、信行に対する切り崩しは勝家にすれば良いかと考え佐渡達が廊下に消えていくのを見送った。
翌日まず大きい商家に兄上の名で大通りの拡張も含め期日内に移動を命じた。
後日期限が越えたが1/3はやはり従わず兄上に報告するとすぐに庭に出て馬に乗り城下へと出る。
何時ものように走り抜け城下の者もうつけの殿様が来たとすぐ脇へ避けて頭を下げていく、
「ここか」
兄上は馬からおりると犬千代をよび、
「その方常々暴れ足りん家でも1つ破壊するぐらいでないと気がすまんと言ってたな、これをしろ」
それだけ言うと馬を返し城へと戻っていった。
「これを壊していいのか、そうか」
普通は無理とか躊躇をするはずなのに犬千代は嬉しそうに腕を回しながら店の中に入っていく、私は外から見ていると悲鳴と共に破壊する音がまわりに響き人々が集まり始める。
「ひーおたすけを」
店の主人が転がるように出てきて私を見つけると、
「中でお侍様が暴れておられます。お止めくださいませ」
私にすがり付くが私は黙って店を見ており犬千代に殴られた店の者が次々と転がり出る。主人は再度私にすがり付くが無視を続けていると、
「那古屋城下で騒ぎを起こしている狼藉者はだれだ」
佐久間の声が聞こえたが私はあえて無視をして犬千代が叫びながら破壊を続けいるのを見続ける。
「信照殿ではありませぬか籠屋から店で暴れていると知らせを受けて参りましたが関係あるならすぐにお止めいただきたい。」
私の前に来ると幼い私を見下ろす。
「佐久間、兄上の命である店を潰せ」
「殿の命令ですと、いくらなんても理不尽な命でございます。」
「信盛、賂を受け兄に対する謀反となる。もう一度命ずる破壊せよ」
信盛はなんとも言えない顔をして私を見るとその場を去っていった。朝から始め午後には犬千代たちが縄を引っ張り出てくると、
「仕上げだ」
そう言って縄を引っ張ると柱が倒れる音と共に店が揺らぎ轟音と共に倒れた、
私は懐から銭が入った財布をとると犬千代に放り投げ、
「酒代だ」
そのまま城へ戻り兄上に報告をすると、
「信盛や重臣もこれでどうなるかと言うのがわかったであろう、ごくろう信照」
そう言うと小粒金が入った袋を投げてよこし、
「犬が飲む酒代だ」
そう言うと机に向かい何かをしたため始めたので私は城下町へともどって犬千代に合流した。