表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/86

千利休

秀吉政権の奉行である増田と東海道を通り宇都宮へ向かう、黒目が小さく白目が目立つ内政をさせればしっかりとこなす官僚タイプだが、地位が上がれば元々は小心者なので優柔不断が目立ち豊臣末期にはどっちつかずだったと記憶にある。

「中根殿、まだ奥州方面は安定をしておらぬのに兵を連れずに何を考えておられるか」

面倒奴だなと思いながら、

「増田殿は関白殿下のご意向により民もですが大名もすでに従っているとは思われないのかな」

そう言うとあわてて同意して、

「いや、中にはそう言う不届きものもいた場合にと言うことです」

「その場合には関白殿下にご出馬していただき征伐していただけばよいだけのこと」

そう言うとその通りと言い黙ってしまう。

そのまま進み続け宇都宮城明け渡すようにと宇都宮氏に知らせて到着をした。


「義宣(佐竹)殿か、忍城での働きなかなかの物だったと関白殿下も誉めておられた」

義宣が秀吉が来る前に到着して周囲の警備を行いながら私のところへ挨拶に来る。

「忍城では長束殿を含めて大変良くしていただきお礼の言葉もありません」

折り目正しく例を言う義宣、

「内々だがその方の領地はおおよそ21万石程となろう、しかし今回の参陣しなかった豪族の領地が多数ある。早急に平らげ安定を第一にせねばなるまい」

「そうですか、行方や鹿島等が参陣しておらぬその領地をと言うことですか、早速調べ平定します」

「それもだが常陸を見るのに太田では北に寄りすぎておるから、そう江戸氏の水戸辺りが良いと思う」

そう言いながら小太郎が差し出した水戸の情報を渡すと驚きながらも礼を言われて下がった。


その後は南部信直が宇都宮に到着する。増田に挨拶の後に早速領地でもめている津軽との事を訴えている。

先代が信直を婿養子にしたが実子が生まれたため疎まれ津軽をけしかけて信直の実父を倒させ勢力を削ったのが未だに続いているらしくそれを訴えている。

増田が私を見るので、

「すでに津軽は所領安堵を言い渡されている。ここに来る前に当主不在の津軽を攻めて失敗しておるのではないか、それで領地を主張してもな」

そう言うと顔を赤くして信直は抗議をするので、

「なれば津軽をあきらめ戦功をたてて代替えなどをもらえば良かろう、関白殿下に訴えても変わらぬ」

そう言って下がらせてしまった。

「恨まれはせぬでしょうか」

増田が聞くのを笑いながら、

「気にしない、恨まれたとしても私だけだ安心しなさい」

そう言って秀吉の到着を待った。

「焼き討ちにございます。佐竹が鎮圧しておりますが日光の僧兵が城下で家に火をつけて回っております」

夜半に小太郎に起こされてみると宇都宮大社等が焼き討ちされたと言うことで増田は義宣と共に鎮圧に向かった。


「増田ご苦労」

秀吉が到着して寝不足で疲れている増田とあの後しっかり寝ていた私が出迎え秀吉は増田に声をかけ入城する。

義宣や政宗に朱印状を渡して領地を保証していき最後に、

「旧葦名領は氏郷(蒲生)に与える」

そう言ってしめたが、前日秀吉に茶室に呼ばれ、

「その方、政宗から取り上げた黒川治めてみろ」

そう切り出され笑いながら、

「徳川の家臣ですし第一に私が黒川に入ればもめると言うか面倒になりますよ」

「それを期待しているのだ、政宗の抑えとしてな」

こう言うが家康に対する嫌がらせであり景勝と政宗の間で火遊びをさせようとするつもりらしく、

「民も戦いは飽きてしまっておりますので氏郷に任せればにらみになると思います」

秀吉はつまらなそうに、

「わかったわかった、今回に働きに後で届けさせる。まだまだ布団に潜らせぬからな」

そう言うと笑いながら出ていった。

その後は政宗が先導となり浅野が秀吉の先陣となり黒川へ進み大崎や葛西を滅ぼして宇都宮そして駿府を経由して京へと戻った。


「お帰りなさい、甲斐姫は無理だったのね残念」

まこが明るく出迎えてくれ川沿いの自宅でゆっくりと夕涼みをする。

「私の動きもその要因の一つかなと思うよ、秀吉は当て付けのようにだからね」

「落城するまで自由はないのか、しょうがないね」

「それと年開ければ秀長やおすてさま、そして利休が亡くなり慶長の役で下り坂」

歴史の事を話せる相手がいるのはホットできるが重要人物がなくなるのも苦しい、

「で、旦那様は向こうへわたる気満々でしょ、慶次郎様と」

膝枕をしてくれているまこが私の顔をのぞきこみほっぺを両手ではさみこみ、

「私もいくからね、留守番はつまらないし、それとあそこにいる子は」

庄三郎は地方では食べたこともない豪華な食事に感動してゆっくりしろと言ったが真面目なのか端で座っている。

「北条氏邦の末っ子、ばれれば首が飛ぶかな」

声は聞こえないが私達が見ると緊張した顔をする。

「慶次郎の娘をめとらすらしいからそれまで預かるつもり、慶長の役までかな」

「そっか、北陸の美味しい魚介を食べ尽くすぞ、無論一緒に出席だよね」

そんな事を話しながら過ごしている昼頃に客が私を訪ねてきた。


「突然の訪問申し訳ない、時間をいただいてもよろしいかな」

ご無沙汰していると言えばしており噂に出た利休が訪問してきた。

「師匠、ご無沙汰しております。どうぞ奥へ」

門をくぐると小さな庭があり小太郎かその配下が毎日きれいにしてくれており玄関に、中にはいると小さな準備などをする部屋を抜けると鴨川が広がるベランダがある大きな部屋があり大きな日傘を開き席を進める。

茶をたてるか迷ったが冷たいのが良いと思いまこに頼み鴨川から流れを迂回させている天然の冷蔵庫から水出しのお茶と小さく丸く加工した果物を頼むのと夕食も準備を頼む、

「忠実殿、いくつか話がある」

まこが出してくれた水出しの玉露を出して利休が飲むと少しだけ顔がほころぶ、

「私も師匠にはお会いしたかったので嬉しいです」

利休は頷くと、

「秀吉はこの後に隣国へと言う話が出ているのが」

「はい、貢物を送れと言いましたが師匠も知っての通りそのさらに向こうの大国に属しているので送るはずもなく、対馬の宗氏や三成等がそうならぬように色々必要悪な嘘をしておりますが無理でしょう」

「私も秀長といさめてきたが、病状が優れなく起きることも出来ないと」

「今年かもっても来年でしょう」

秀長は小田原征伐に出られないほどの体調の悪化であり、秀吉と諸大名とのつなぎ役として走り回っているがそれももう叶わない、

「明日、秀吉から呼ばれておりその時に話をするつもりだ」

私は少しだけ言葉を止め、

「良薬は苦し、薄める役が居なくなれば尚更、それでもですか」

利休に秀長が死ねば矛先は利休に向かうと伝えたが、

「知っておろう、私は飾らぬし見過ごさぬ」

秀吉の事は重々知っているので今更と言うのが利休であるがゆえであり覚悟はしていると、

「山上(利休の高弟)もでしたからね、秀長がいれば」

秀吉に真っ向から意見を言い放逐され利家に仕えまた放逐して北条幻庵に仕えたが敗れたことにより捕まり利休の頼みで秀吉との面会が叶ったのだが幻庵に筋を通したので秀吉の怒りを買い耳と鼻をそがれ打ち首になった。

秀長がいればとりなして放逐になるはずだが私もおらず秀吉の怒りの元にという事であり求心力も落ち始めたなと感じられた。

「私も宗二(山上)と同じになるが茶の湯は織部(古田)が私にはない物をつくろう、道安(利休の息子)が私に連座して命を落とすのが心残りだ」

「それに関しては追放などで命をつなげるようにします。そうすれば何れ亡くなれば復興も叶うでしょう」

「よろしくお願いします」


冷えた果実を食べると嬉しそうにしながら、

「所で失礼な事を聞くが」

どうしても聞きたいのか珍しく切り出し、

「小十郎の頃からの知っているが信長様とは違う、そうこれのように普通では中々考え付かない物を作り出す、この世の人なのかと」

確かに玉露を作るのに摘み取る前に人手間かけて作るし果実も普通でない創作をしており家内の秘密としているが利休には長年気になると言うことらしい、

「私もですが妻のまこもこの世の者ではなくもっと先のところからここに神隠しで流れてきたのです」

そう言うと納得して少し離れた場所に座っているまこを見て微笑む、

「そうか、それで納得したが当然この先の事も知っての話しか」

「はい、師匠の心は皆が継ぎます。私の時代にも、ただし豪華になりすぎる部分もあり普通にはと言うのもありますがこの世界もですけれど」

そう言うと少しだけ思いに伏せ、

「それでは信長様が亡くなるのも知っていたと言うことか」

「当然です。防ぐことも出来ましたがその先が変わることを恐れたと言うか面倒になっただけです」

「面倒か小十郎らしいな」

最初に堺であったことを思い出しながら鴨川の流れを見ながら色々なことがあったと言うことを思いだしながら頷いた。


その後いくつか話をして小太郎が準備してくれた夕飯をいただく、食だけはけちらないと決めているので普段と同じ種類と彩り等を楽しみその日は泊まっていただき翌日に聚楽第に送った。

「庄三郎、短い期間であるが師匠の身の回りの世話を頼む、何事もひとつの動作でさえ感じてこい」

そう言って送り出し、まこは暇を見て師匠の元へ通う事になり最後まで幸せを感じながらの送別となった。

それと合わせて今回で浪人となった者で行き場の無い者たちを雇い慶長の役での戦力として準備を行う。

歌舞伎者や鼻つまみ者も大いが利照に任せればと思い小太郎に吟味させて兵を少しずつ準備した。


「忠実、その方はどう思う」

なんの話だろうと思いながら一つだけこれからのことに繋がることを聞いてみる。

「関白殿下におきましては統一されましたがこれから功をあげたものは小判や茶器となりましょうか」

「そう来たか、まあよいわ」

秀吉は鼻で笑いながら、

「その方は土地がないと言うがそこまで大きなことが起きるのかな」

「東北は参陣しなくて取り潰された家の反乱分子が多数残っているかと」

「南部か、信直はようやっておるが」

少しだけ私を見つめ、

「利休がこないだ来たときに唐へは使者と共に貢物を送り和を求め国内の安定にと言いおった」

「争いの無い世の中を民は関白殿下を称えながら喜んでいると言うことでしょう」

「お前の兄は明そして天竺へと思うていたはず。ようやく並び越える機会が目の前にあるのだ」

兄呼ばわりまでになったかと秀吉を見ながら、

「隣はいざ知らず明は公称でも二百万の兵力を集められます。普通に戦えば無理と」

「ならどう考えていたのだ」

「電撃的に騎馬と鉄砲による機動力と火力で海路は圧倒的なので補給を切らせなければでしょう」

「火力はこれだけの鉄砲で問題なかろう。騎馬も問題あるまい」

今や日本国内では何十万丁と言う鉄砲があり火力的には圧倒的だが、

「騎馬は止まらずに走り続けその場の判断でいくらでも戦局は変わりましょう。なにせここと違い広大過ぎますから」

「今居るものでは経験不足か」

不足と言うか経験したことがない事が起きたときに信長なら対応し変化させることが出来る。そんな事が出来るのは、

「つまらぬ、まあ具体化してきたらだ」

そう言うと手をふってきたので下がった。



そうこうしているうちに年末になりそして年が明ける。

「今年からは秀吉の狂うのが見られる。猜疑心の塊で私も首が飛ぶ事も」

「その時は逃げれば良いだけ、授かりましたしね」

まこが少しだけ大きくなったお腹をさすりながら冬の鴨川を見て幸せを噛み締める。

私は聚楽第で年賀の挨拶をそして家康の屋敷でも挨拶を行う、帰ろうとすると正信(本多)から呼び出されて顔を出すと家康と共に待っていた。


「大納言(秀長)はもたぬか」

そう言われて頷き、

「それと鶴松(秀吉の息子)様が体調を崩された様です」

年賀を終えた後鶴松が寒さから高熱を出したと小太郎から知らせがあり、

「体が病弱すぎるのですよ過保護に育ててしまい、原因不明で医者も根本的な治療に苦慮するでしょう」

そう言うと二人ともあいかわらずだまっているので、

「大納言が亡くなり鶴松が亡くなれば歯止めがきかなくなると、噂の唐についても三成等が阻止しようと力を尽くしているが戦うのが前提なので」

まだ黙っている二人、

「それと大納言が亡くなれば利休を山上と同じように、この嵐が去れば天下は目の前に」

そう言うと家康は一言、

「わかった」

そう言い正信は頷いた。



「大納言が亡くなられたか」

知らせを受け聚楽第へと向かいお悔やみと喪にふくす。これからひたすら下り坂を落ちていく豊臣に昔古典の授業で習った、

「祇園精舎の鐘の声

 諸行無常の響きあり

 沙羅双樹の花の色

 盛者必衰の理をあらわす」

を思いだしながら自分の終わりはいつかと思いながら力なく泣いている男を見続けた。


「さて魚介を堪能しましょ」

まこが嬉しそうに馬に乗り私に言う、

「庄三郎のお祝いの為に向かうのだからな、それが終わってからだしお腹が大きいから無理をせず頼むよ」

今回は庄三郎と慶次郎の次女との婚姻の為金沢へと向かう旅であり、年末に秀長のお見舞いの時に秀吉にとりなしてもらい庄三郎は父親の元へと戻れる事になったが、庄三郎は利休との別れに苦悩して残ると言うのを利休が一言言うと頷き出立となった。

「そう言えば慶次郎も婚礼が終われば一緒に京に出てくるって、義父の利久も亡くなって長男が家を継ぎ、次女が終わったらってすごく子煩悩何だよね惚れちゃう」

利家とは元々なかが悪いのでと言うらしく物語通りの展開になるので嬉しいがまこの言葉に苦笑しながら、

「敦賀からは船で向かうよ」

琵琶湖で船を手配して馬ごと載せて湖面を渡る。


3日程で現在の金沢に到着をして庄三郎の父である北条氏邦の元へと到着した。

「息子の事ありがとうございます」

氏邦は老けた顔で嬉しそうに礼を言う、利家のとりなしで生きて七尾に領地をもらい暮らしている。

庄三郎を助けた縁で慶次郎から息子の嫁にということになり先ずは親子の対面をと言うことで氏邦の館に向かった。


到着すると氏邦だけが出迎える。正室は年を取り住み慣れた場所から動きたくないと鉢形に残り一人金沢におり息子との再会を喜んだ。

「中根殿、息子の事を色々していただき感謝の言葉もありませぬ」

氏邦は覇気の塊であった去年と違い付き物がとれたように落ち着いており頭を下げる。

「よい息子を持たれた。我が師利休も身の回りの世話をそつなくこなしていると誉めておられた」

「千利休殿か何と言って良いか、庄三郎よ幸せをを感じこれからを生きよ」

そう言うと私は大納言から託されたお祝いの品や私の贈り物を引き渡すと久しぶりの親子の再会を喜び向かった。


「息子や娘にはすまないことをしたが一人立ちする」

慶次郎は庭のある縁側に座り酒を飲む、

「利久殿も亡くなられてしがらみもなくか」

私にもついでくれ一気に飲み干す。

「これが終わればだな」

私も慶次郎につぎ一気に飲み干す。

「うちに来るか、それとも」

「馬に蹴られてだ、揚屋(吉原)にしばらくだ」

「先代から代わったが自由に使ってくれ」

「変なところは相変わらずまめだな」


「ところで戦はないかな」

月夜の満月を見ながら呟く、

「希望に添えるのはしばらくはないな、和歌でも茶でも歌に踊り」

「そうか、最後にやるか」

そう言うと笑顔になりながら娘の幸せを祝った。


翌日、氏邦の事もあり利家が手を貸して自分の娘の様に盛大にお祝いを行う、慶次郎の妻は喜び婚礼は豪奢に行われる。

「一族としての体面か相変わらず肝が小さい」

娘の父親は慶次郎だが利家が我が子のように喜び祝い氏邦に話しかけている。

「利久に対する負い目、まあ亡くなってお前に対するかな」

「やったなら気にせず動けと言いたい槍の叉佐といわれた男がすることか」

「気が小さいから歌舞伎者になり兄にも仕え死に物狂いで、だから認められた」

「だから今日終わらせる。先に向かってくれ後で追いつく」

婚礼が終わると私達は氏邦と庄三郎に挨拶をして金沢を後にした。


「今頃利家を氷風呂」

まこが楽しそうに笑っており、それ以上じゃないのかあきらめさせるためにと思いながら慶次郎が来るのを馬を進めながら待ちわびて野宿をしていると慶次郎が合流をした。

「氷風呂、小十郎の油の方が効いたというか面白いぞ」

南蛮から手に入れた乾燥した葉っぱをしぼって油を取ったものを慶次郎に渡したのだが、

「どのくらい入れたんだ、中身ほとんど無いようだけど」

「気前よく全部入れたわ、利家のやつ飛び込んで悲鳴をあげ、風呂から出た頃には寒くて白眼向いていたぞ」

まこがどう言うことなのかと聞いてくるので、

「氷の風呂にハッカ油を大量に入れたんだ、今日は寒くて眠れないだろうな」

「と言うことは怒りでこちらを追ってくるんじゃないの」

まこがそれはやり過ぎじゃと心配するので、

「しゃしゃり出てきたむくいで良いと思うけど、なあ慶次郎」

「このくらいしないと戻ってこいとか言いかねないからな何かあれば」

横で小太郎が大笑いしており日の出と共に出発をした。


「結界のすぐそばまで来ております」

小太郎が配下を使って護衛をしているその範囲に何者かが来たようで、

「まこを先に頼む、慶次郎と迎撃するから背後だけ頼む」

私は馬上筒と3匁半の鉄砲を取り出し、早合をすぐ横に並べて待機する。慶次郎は嬉しそうに朱槍を構え到着を待った。


「来たぞ」

慶次郎が言うのを見ると林の向こうに焚き火が反射したのか一瞬だけ反射したので引き金をしぼった。

発射をして何かしらに命中したのを感じながら馬上筒に持ちかえると暗闇から黒装束が飛び出してくる。

地面を這う様に走るのと木の上から跳躍してくる者、そしてその後ろから走り這っている者を踏み台にしてこちらに飛んでくるのが見えたがその後ろからもう一人影が見えたので注意をしていると手から何かが上に投げられたのでそれを狙って射った。

轟音と共に爆風と破片が飛び散る。私は慶次郎が受けてくれたのでさほど被害はないが慶次郎はと見ると笑いながら、

「必殺できたな、小十郎がいなければ危なかったかもな」

飛び出してきた忍者を盾にしたらしく崩れる忍者をおろしていると後ろから倒れる音がして弓で小太郎の配下が敵を倒していった。

「10人、これ以上被害が出れば連中も仕事に支障をきたすでしょう」

驚くことに小太郎は前田家の抱えている忍者の数を把握しており3分の1に近い損害を出していると言うので警戒しつつ結論に達した。

移動をしてまこに合流するとそのまま琵琶湖まで向かい船に乗って京に入った。


「昨日、千利休が京都から追放され堺の自宅で蟄居を申し渡しました。理由は大徳寺の門の上にある千利休像についてです」

2年前に改修されたことを今更ながらにと、

「これは茶坊主の考えそうなことだな姑息だ」

慶次郎が呆れたように言う、

「三成は秀吉の言うことなら何でもと言う忠臣だからな」

だから武将から嫌われるが、それが秀吉の精神安定に一役買っているのも事実なのだが、

「小十郎はどうする。秀吉にとりなすのか」

「他の者がするから、秀吉からすれば来ないだの一揆の首謀者である政宗(伊達)の様に謝れば許そうと思ってはいますが」

「しないか」

慶次郎はぽつりと言うと、

「小十郎もその理由以上ので沈黙するか」

核心を言われ静かに頷いた。

利休は京都などの近畿圏の高家に対する窓口である以上に秀吉の執政者ゆえの孤独を精神面で支えていたので終わったと言って良い者だった。

「家康殿も沈黙を守る。次の為にな」

そう言いながら利休を思いながら酒を飲んだ。


数日後秀吉から呼び出しがかかり聚楽第へ向かう。

中にはいり控えの間にいると面会を求め織部(古田)と忠興(細川)が入ってきた。

「いきなりの訪問申し訳ない、火急の要件がありお願いに来ました」

武将以上に茶人である織部が蒼白な顔で私の前に座り忠興は短期な性格で我慢しきれずに、

「家中では一番最初の弟子である兄弟子が師匠の嘆願を行うべきではないですか」

織部はあわてて忠興を押さえようとしたがさらに、

「今の今まで何もされてないと聞いております。何を考えておるのですか、そしてすぐに関白殿下にとりなしを」

織部が押さえるのも構わず顔を赤くして私の前までじりよってにらむ、

「無駄だ」

それだけ言うと忠興は爆発する寸前に脇差しに手をやるのを織部が必死に止めた。


「利休七哲とも言われた高弟ならわかるであろう」

織部は唇を噛み押さえている手を離し忠興は口を一文字に閉じ一言、

「三成か」

そう言うと立ち上がり頭を下げると出ていき織部も後追って頭を下げると出ていった。


呼び出され大広間に入り三成の反対側に座る。

私を見て先程の控えの間での話が伝わっているのか目を細目てから三成が近習に手をあげ利休を連れてくるように命じた。

利休が静かに入ってくると座り静かに正面を見ておりその向こうの顔は少しだけ顔を赤らめている。

秀吉が入ってきて黙って座る。何時もなら何事か言いながら座るが黙っており三成に視線を向けた。


「千利休、大徳寺の事の申し開きと関白殿下に対する意見について改めて申し開きをのべよ」

三成が利休に言うが利休は静かに見つめ続け沈黙をしている。

「関白殿下の御前であるぞ何を黙っておるか、無礼にも程がある」

三成がしばらくの沈黙に耐えきれずに言うのを秀吉は手をあげて止めた。

「利休よ、何が不満なのじゃ」

秀吉自ら聞くが沈黙を守っている利休に対して徐々に秀吉は焦りをだし、

「山上を宗二を死に追いやった事が理由か」

しかし利休は沈黙を続け秀吉の焦りはつのる。

「信長はお前を道具のように使ったがわしはお前を天下の茶頭として地位と名誉を与えた。それのどこが不満なのだ」

顔色も変わらず利休は静かに座っており対象的に秀吉は焦りが怒りとなりつつあり三成も秀吉に対する無礼を顔を赤くして利休を見ており大広間の中の内圧が徐々に高まっていつ爆発してもおかしくない状況に秀吉はさらに、

「大納言(秀長)はおらぬのだぞ、お前をかばうものはおらぬ、お前もそうであるな信照」

利休にただ一言「申し訳ありませぬ」と言う謝罪が欲しいだけの秀吉が悲鳴のように私に助けをも止める。

私は秀吉をただ見つめると秀吉が思わず、

「利休、自害を命ず」

そう言い立ち上がると出ていってしまう秀吉を見送り利休ごしに三成を見た。


「この者を引き立て...」

三成が言うのを扇子を開き閉じ黙らせる。

「こちらへ」

そう言い利休が建てた秀吉のとは相反する無駄を省いた茶室に入り閉め三成を拒んだ。

慶次郎が茶の湯の準備をしており黒い茶碗が静かにあるじを待っていた。


利休が座り茶を立てる。

いつもと変わらぬ何がどうと言うのではないが慶次郎も何かを感じているのか動かずに差し出される茶碗を静かに手に取った。

何も考えずに何時もの事を行い茶をいただく、そして慶次郎の前に置いて静かにたたずむ利休を見て自然と頬がゆるみ慶次郎が見ていても気持ち良く飲み干すと静かに茶碗をおいた。

「初めて堺で会ったあの時の飾らぬ小十郎殿に私の茶への想いがかさなった。最後にたてられて良かった感謝します」

その言葉にあの業火の中に置き忘れていたはずの物が、心に日照りでひび割れていた地面に湧き水のごとく水があふれだし頬をつたい流れていく、

「ごめんなさい、そしてありがとうございます師匠」

そう言うと静かに、

「頼みます」

そう言うと慶次郎が一度茶室を出ていきしばらくすると戻ってくる。


本来は白だが黒く染め上げられたのを慶次郎が敷いて準備をしていき私はただそれを見つめている。

静寂の中利休は静かに座り慶次郎が備前長船を抜くと静かに振り上げそして振り下ろした。

そのまま鞘に納めるが何も変わった様子もなく慶次郎は静かに座り私は立ち上がる。

利休の前に座り静かに両手を差し出すと頬を両手で包むように持つと持ち上げて三方へのせるとそれごと持って外に出た。


三成は私を見て黙って歩き始めその後に続いていく、

「三成にございます」

聚楽第の奥へと入り秀吉がいる場所に入ると三成が片ひざをつき伝える。

立ち上がりその後に続くと秀吉が側室に腰をもんでもらって寝ており少しだけ目を開く、

「利休の首にございます」

私は静かに三成が言うのを聞きながら秀吉の目の前に三方をおいた。

秀吉は薄目を閉じる。奥歯がきしむ音が聞こえ三成から下がるように言われ三方を抱いて聚楽第の門を出た。

「師匠」

目の前には織部と忠興が絶望を身にまといこちらを見て呆然としていたので黙って頷くと忠興が受けとり京の町へと歩いていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ