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島津と闇千代

「ようこられた忠実殿、お久しぶりにございます」

豊後へ上陸して府内城へ入ると権兵衛(仙石)が出迎えてくれる。

岐阜を攻略したときの斎藤方の捕虜として引き出され兄上に首を切られるかと思っていたら、

「小十郎よ、お前とは真逆と言っていい猪武者だ、見ろこの面をだんご鼻でへの字虫で後先考えずの典型よ」

兄上は縛られてる権兵衛を引き起こし髪の毛を掴んで説明していく、はねられるのかとまっていると、

「サル、与力が欲しいというてたな、この馬鹿を使いこなせ」

それだけ言うと驚き慌てて頭を何度も下げて感謝する秀吉をみて上機嫌だったのを思い出させてくれる。

秀吉の配下では古参であり何気に運も相まって淡路を治めている大名となっており、今回は軍監として四国勢を率いて九州での先鋒として張り切っており、その他には十河勢や長宗我部勢もおり、険悪に近い長宗我部当主元親が息子の信親を連れて着陣しており、大友宗麟の息子義統が出迎えてくれた。


「後詰は小倉城に官兵衛(黒田)が入ったとお聞きしましたが、関白殿下はいつ御出馬なされるのでしょうか」

大広間に入ると上座に義統が座り軍監の権兵衛が横に座る。

左右には大友の武将が右に、四国勢が左に座っており私の話に耳を傾ける。

「関白殿下はまだ出馬をせず、早くても半年かそれ以上と思う。ようは島津を踊らせるだけ踊らせて圧力で瓦解するまで殿下自らは手を出さぬと言うことだ」

権兵衛は驚き、

「しかし島津は日に日に北上しており大友の各城から援軍をと矢のような催促があります」

強く言うと義統も同意する。


「お待ちくだされ、われらは数千で島津は万は軽く越えるでしょう。ここは籠城をすべきと」

元親がうったえると負けず嫌いの権兵衛は言い返す。

おさまらないので、

「援軍がくるなら積極的に、来ないなら援軍の依頼が来てからでも遅くはないと思いますが」

自分はわざと消極的に言元親と義統が同意したのでしばらくは府内に止まることとなった。


南蛮船が入港しておりもう一つというか秀吉から言われた本題を調べる。

「殿、明日の夜に行われると言う話です」

府内の町を利照とまこと百地そして相変わらず小太郎がおり百地は調べては小太郎に確認をして私に、

「しかしかの一族の情報網はどれだけのものでしょうか」

少しだけ怯えた素振りを見せ報告してくる。


夜遅くに百地と小太郎と共に城を抜け出して港へ出ると準備していた船に乗り沖の南蛮船に向かう。

暗闇を近づくと数十人が船にあげられそれは日本人だった。

反対側に周り手伝ってもらい船の中の船長室に潜り込んだ。


しばらくすると荒っぽい足音と共にドアが開かれ船長が入ってくる。

私は百地に支えられ天井にぶら下がっており小太郎がおもむろに壁の側壁をリズム良く指で叩き始めしばらくすると船長の動きが止まり小太郎がおりると手招きして私も降りた。


目が虚ろであり催眠術にかかっているようで小太郎が頷くので、

「先程の人々は奴隷か」

「そうだ、彼らにはパラソルに連れていくと言っているがマニラに到着後売られる手筈になっている」

「これは銀などと共に商売では普通に行われているのか」

船長は笑みを浮かべ

「そうだ、キリスト教で信者を集め船に乗せるからな簡単だ」

私はため息をつきながら、

「キリスト教で国を乱れさせ大きな利益を受けるのが目的と言うことか」

「そうだ、キリスト教はわれらにとっては道具でしかないが今までの国でうまく言っている」

「インカ帝国か」

そう言うと驚きながら頷き、

「我らも黄金と銀の国に到達したからな、ルソンの尿瓶の壺でさえ重宝して高値で買い取るからな、馬鹿なやつらよ」

そう言うと話を切り上げ小太郎に後を任せると船に戻り城へと戻った。


「南蛮と言いキリスト教と言い恐ろしいものですな」

船の中で沈黙を良しとする百地がため息と共に言う、

「主はイエスであり、目の前にいる領主を認めないからな一向衆と変わらんが南蛮がやるからには救い様がない、小太郎の処はキリスト教に転んだのはいないのか」

そう言うと首を横の降る。

「関白に報告をすればこの件は終わりだが、島津との戦い回避できないから島津の情報を出来る限りの集めてくれ」

そう言って報告を書状にまとめ大坂へと送った。


それからしばらくは府内はまだ攻撃を受けてはいないので賑わっており、まこを連れて大道芸等を見てまわっていると早馬が走り抜け城へと入っていった。

「豊後に島津が来たか」

権兵衛は興奮したように歩き回り元親はいい顔をしない、

「直ちに援軍に出たいと考えるがいかがかな」

そう言うと義統と存保(十河)が賛成して元親は反対をする。

「忠実殿いかがお考えか」

権兵衛が唾を飛ばしながら言うのを拭うと、

「関白殿下は待てと言われたし、先程一万を越えると味方の兵の数を上げたが3日は集結にかかり6千が良いとこ、自重すべきだと思う」

しかし権兵衛は、

「関白殿下は島津が大友の本拠地である豊後に入ったと知ってはおられない、盟友の危機を助けずに代々続いた仙石の名折れである」

それだけ言うと存保と義統に同意を得るとしぶしぶ元親も従い私も利照と出陣した。


戸次川に到着後前面には島津勢が対岸におり盛んに挑発する。

評定が開かれると権兵衛は相変わらずの猪突猛進で積極策を唱えるが元親は、

「敵は万を越えておりこちらは六千程、数日すれば万になり互角の戦いが出来ようぞ」

元親の言う事はもっともなのだが、権兵衛を含め四国勢は犬猿の中なので存保は感情的に権兵衛を指示してしまい義統は自分の領地の事なので賛成をする。


「よもや忠実殿も反対はしますまい」

私は、

「お主はすでに行くと決めておろう、何を言っても無駄だと顔に出ているわ」

私が強く言うと、

「おうさ、気を見ずしてなんとやらだ」

岐阜で見た頃の猪武者と変わらぬ権兵衛に呆れながら、

「なら先鋒は我らがする。島津の野伏せりと言う大友や竜蔵寺を破った作戦を逆手にとる」

そう言うと義統が顔を青くして、

「日向であれにやられ大友の衰退をつくってしまったと父が嘆いております」

「我ら騎馬鉄砲の機動力を使い下がる島津に肉薄して左右に抜ける。混乱を起こしたなら合図をするので全軍で一気に決着をつけよ、もし島津が持ちこたえたなら動くこと禁ずる」

そう強く言うと権兵衛は不満そうにだが頷いた。


「利照よ250を率いてわしの250と共に突撃せよ、島津は軽く戦えば退却を始めそれに釣られた敵を両翼で撃破する。なれど我々の速度で相手に肉薄し蹴散らしながら両翼に分かれ帰陣する。くれぐれも深追いは無用」

念を押すと騎乗した。


戸次川を渡り終えると鉄砲をはなち突撃をする。

混乱したように見せてゆっくりと徐々に退却をしてついには一気に逃げ出した。

早合を素早く鉄砲に装填すると島津の侍大将を狙い討つ、一瞬だが指揮に空白が起きて退却の速度が落ちそこに突入して蹴散らした。

「どうでしょう義父上」

利照が聞くが混乱し始めたときに本陣から将が飛び出し大声でおちつかせると徐々にだが混乱が収まってしまう。

私は首をふり合図をせずに左右に分かれ後ろから両翼の大外を通り抜け戸次川を渡り帰陣した。


「権兵衛が突撃しただと」

自陣はもぬけの殻であり全軍で川を渡り島津勢に突撃を行っており思わず利照に言われるまでただ見続けてしまう。

「義父上、義父上」

「わかった、敗けだ撤退するぞ」

両翼の伏兵に権兵衛の無の旗が見えなくなり敗走し始めたのがわかり、二番手の存保の十河勢が押し包まれる。

後ろの長宗我部も倍の島津勢に攻撃をされ真ん中の突破を許してしまっており早々に決着がついてしまった。


一団となり馬を走らせ府内へと戻る。

しばらくして道を知る義統が戻ってきたが権兵衛も存保も戻って来なかった。


「義統殿、ここで籠城は出来るかな」

青い顔の義統は手と首をふり、

「兵も散り散りになりここでは無理です。父宗麟のいる臼杵城へと下がりましょう。あの城なら3面は海ですので大軍でも国崩しも有りますから」

南蛮の大砲があると言われて向かうことになり百地に、

「島影に避難させている船を臼杵に回航して鉄砲や弾火薬と兵糧をあげ、馬を載せて門司へと入れろ」

そう指示をして臼杵へと向かう。大友宗麟に会えると思い道雪が生きていればと思いながら城へと入城した。


この男が、宗麟に始めて会うが負けに敗けを重ねており覇気も消えている髭面の老人と言う印象しか無く、

「関白殿下の大軍は何時こられるのでしょうか」

そんな情けない姿を家臣の前でさらすような逼迫している状況とも言えた。


評定が開かれ大友の歴戦の武将も揃っている。

「徳川家臣豊臣少将忠実と申します。今回は関白の意向により調査に参りましたが先鋒の仙石が不明となり四国勢も四国に戻ったと言うことで軍監として籠城を手伝いたいと考えておりますがいかがでしょうか大友殿」

そう聞くと驚きながら、

「他に援軍がおらぬのか、おしまいじゃ」

そう言って落胆して出ていってしまう。

「父上、父上」

義統が止めようとしたが行ってしまい申し訳なさそうにするので、

「仕方あるまい援軍もなくと言われればな、しかし1年は持たせなければなるまい、そこで私に任せてくれないかな、実は関白殿下にお願いして鉄砲を千挺と弾薬そして兵糧を用立ててもらっており船で明日にもここに到着する」

そう言うと皆驚き頷く、

「本来は大友殿が指揮を取らねばならぬがあれでは、なれば名目上は義統殿で実質の指揮官をさせてくれまいか」

そう言って頭を下げると吉弘統幸や戸次鎮連と水軍の将である若林鎮興その息子統昌が同意してくれ良しと思ったが、

「お待ちくださいませ、当主の了解なしに進めるとは謀反でありましょう」

鋭い女性の声で後ろから言われ見ると若い女性の武将が座っておりさらに、

「軍監と言われてもここは我ら大友の城にございます」

そう言いながら進み出る。

しっかりとした意思を持つ美しい顔つきで日和に何処と無くにてるなと思いながら、

「立花殿控えなされよ」

と言う声で気がつき、

「もしやあの道雪殿の御息女立花誾千代殿かな」

一寸の隙もなく頭を下げ、

「それがなにかありますでしょうか」

顔をあげながら言うので、

「道雪殿の事よう聞いておる。出来れば会いたかったと思っていた人物、そして立花誾千代殿にあえるとはな」

私は嬉しそうに言うと、

「そんなことを話しているときではありませぬ、今はどうするかと言うことでしょう」

きつい言い方をしてくるので、

「誠にごもっとも、嬉しくて興奮してしまった。しかし現状大友で指揮を執って皆が納得する者はおるかな忠臣はおるが納得をしていない者もおる。立花誾千代殿が指揮を執ると言うなら任せるが、しがらみがない私がした方がよいと思わぬか」

そう言うと今の家臣と義統の仲は最悪だと言うのに反論せず、

「それならば私が少将殿を監視させていただく」

そう言うと他の者が驚くが私は、

「それで気が済むなら」

そう言って守る場所を命令する。


「私と利照が古橋門と今橋門を受け持ち、二の丸は吉弘殿で北側の曲輪を戸次殿、搦め手を若林親子にお願いしたい。義統殿は父上と本丸をお願いしたい」

大まかな配置を決め籠城の準備を続ける。

私は利照と誾千代を連れて着いたばかりの千石船から鉄砲などをおろすのを見ているとまこが顔を出した。

「門司へは行きません、美しい方を横において私だけ安全な所へなんか」

少しだけわざとすねるようにしているまこを誾千代がにらむ、

「わしの新妻のまこだ、まこよこちらは立花誾千代殿、知っておろう道雪殿の御息女を」

そう言うとまこは嬉しそうに反応して、

「立花道雪と言うか立花宗茂殿がおられる、そして立花誾千代さまですね美しいと思いましたがあの誾千代様なんですね、もう絶対残ります」

そう言うまこに頷き同意すると嬉しそうに、

「親友になりましょう。ならせてください」

そう言って誾千代を困らせるので百地に部屋へ連れて帰ってもらった。


「少将殿の御内儀は何なのだあれで許されるのか」

私は笑いながら、

「宗茂殿が誾千代殿を信頼して宗麟の元へ送り出しているのと同じですよ」

そう言うと呆れて行ってしまった。


3匁半の鉄砲千丁と三百丁の3匁半だが五割増し長い鉄砲は自分で準備したもので、先ずは馬を帰した自分の部下に渡し、残りを城内でそれぞれの武将に引き渡す。

「これが国崩し、というかフランキ砲かこれ」

大砲だがこの時代では旧式の元込め装填式で青銅かなと思いながら見て回る。

幸い元込めの薬室が3つあるので連続で発射が出来るが耐久性は危険と思いながら古橋門前に移動させた。


「地元の海と同じで魚が良く取れる。大きくて旨そうだぞ」

珍しく良くしゃべる小太郎が釣ってきた魚を焼きながら囲炉裏を囲む、

「内義の事はわかったが、関白から我らに合力せよと言う話はなかったと聞いております」

「私が命を落とすかも知れないのにと言うことですが、島津ともう一度戦ってみたかったと言うことかな」

「そんなことで、男どもは合理性もなく愚かなことだ」

「合理性がないのが私だからな、ここを守ることに嘘はないが裏切り者はいよう」

ここまで劣勢だと裏切り者もでており不信が渦巻いており志賀親守と言う名前を言うと、

「気づいておったか、親次とは志賀と言う名は同じだが軽蔑する男だな、そちらは表だって監視しているようだし、性格が悪いな」

闇千代はそう言うと始めて笑う、

「腹黒いぞ、島津に対しても楽しませてもらう」

そう言いながら焼き魚にかぶりつき島津勢を待つことになった。



「島津が来たぞ」

周辺の豪族を吸収してさらに増えた島津勢が着陣してこちらにたいして展開をする。

「こちらは長鉄砲だ、相手の射程ぎりぎりで攻撃を開始せよ」

目標の木をおいており、この当時ではあり得ない各個人で考え攻撃をさせるように教え込んだ500人の部下に混じって3mもある長鉄砲で指揮する島津方の将に狙いをつける。

進軍太鼓が打ちならされ進み始める。


鉄砲は千丁以上と見受けられ、そのまま横参列に並び進んでおり我々の射程にはいる。

さらに進んでくる将に向けて長鉄砲の引き金を絞り轟音が響くと次々と部下も射撃を開始した。


悲鳴が上がり3割程が悲鳴をあげたがさらに進んでくる。

しかし統制がとれているのか倒れている味方を乗り越えて進むが早合で準備ができたこちら側は容赦なく発砲して的のように倒していき、私も進み出て鉄砲を指揮しようとした将を射ち倒した。


「両翼から豊後勢が進軍開始」

大友からすれば裏切り者であり闇千代が状況を伝える声も自然と力がこもる。

「構うな、我らは鉄砲隊を打ち崩すことに専念せよ、大友勢がそちらを攻撃する」

利照が指示を出していくと一発も射てずに退却を始めた。

豊後勢はそのまま数で圧倒しながら古橋門へと取り付き始めるがこちらの一斉射撃を食らい混乱したので、

「開門せよ、急げ」

私は下に向けて叫びさらに、

「フランキ発射用意、3連射したら閉門せよ」

そう言って開いた瞬間に砲撃を開始した。

弾は轟音と共に豊後勢をなぎ倒し悲鳴をあげる。

そこへさらに鉄砲で射ちかけられ混乱して逃げようとするものと進もうとするものがもみくちゃになっていた。


「少将殿、我ら切り込む」

いつの間にか闇千代は下におり自分の配下300を率いて門から出撃する。

「利照、出撃して援護をせよ」

利照は馬乗り大友勢を率いて出撃する。

闇千代は、

「大友に過大な恩を受けた裏切り者を許すな進め」

薙刀をふるい美しいと見とれてしまいそうになり横にいたまこが、

「ほんに美しいですね、嫉妬しちゃうかも」

笑いながら言うのをあわてて頷きながら、

「敵の足を止めろ、立花勢の前を狙い打て」

そう言いながら長鉄砲で島津の使い番を見つけては引き金を絞り敵の指揮を妨害した。


「島津勢撤退を開始」

そう声が上がると勝利に沸き立ち城全体で歓声があがりこちらも退くようにと闇千代に知らせた。

「お見事、これで島津も無茶はしてくることはあるまい」

2000以上を討ち取り鉄砲などの戦利品も500はこえており大勝利と言いながら広間へと入った。


「見事ですなこれで引き上げれば良いのですが」

父宗麟の代わりに義統が出迎え希望的観測を口にする。

「主力は本来の主戦場である北に向かうと思いますが、包囲は続けるでしょう」

志賀親守が、

「それでは反撃をして追い払うと」

私はやる気無さそうに、

「こちらは敵の1割にも満たないからな、まだまだ続くから今日は皆ゆっくり休めば良い」

そう言ってそれぞれの場所へと戻っていった。


「そうか、我らも出撃しよう」

我々の500と闇千代の300で寝静まった丑三つ時に出撃する。

島津側の警戒線の一部は百地の配下に入れ替わっておりそこを通って敵陣に入ると、

「裏切りだ、豊後勢が大友に寝返ったぞ」

口々に叫び火をつけあわてて起きた者を倒す。

同士討ちもはじまり混乱に拍車がかかった。


「おまんが大将首か」

突如暗闇から躍り出た影が刀で切りつけてくるのを闇千代が跳ね退ける。

「島津は弱いな、関白殿下にさっさと首を差し出せ、名だけは聞いといてやる」

そう言うと相手は激怒しながら、

「島津家久じゃ、とれるもんならとってみい」

そう言って立ちふさがる闇千代と切り結んだ。

「義久の弟か、首差し出せば九州の端くらいは残せるように口聞くぞ」

「農民でのサルに頭を下げるなどごめんだ、だいたい女の影に隠れているとは男の名折れじゃ」

「立花の御内儀じゃ、立花や高橋等の勇将がおればお前らの九州統一の前に関白殿下が出陣なされるだろう降伏せよ」

そう言って言いあいをしていると空が白み始めたので撤退をした。


「口は動くけど斬りあいはしないのですね」

呆れた口ぶりで闇千代が帰城後言うので、

「これでも働きすぎだからな、さっさと統一して寝るにつきるわ」

そう言って笑うと、

「ご内儀はどこが良いのだこの男の、宗茂殿のように勇もなし知はあるがな」

そう言われたまこはクスッと笑い、

「わからない人はわからないでしょうね、織田信照として天下まであと一歩を捨ててしまい、関わりたくない関白のご意向を自分の興味だけで動く者ですから、闇千代様が好きなくせしてツンデレしているのと変わらないと思いますよ」

「ツンデレ」

私はそんな言葉が出てくると思わず笑いをこらえ闇千代は怪訝な顔をする。

これはあの時代を生きなければわからんなと思いながら報告のため広間へと闇千代と向かった。


「何も言わずしゅつげきをするとは、こちらも準備があるので困りますぞ」

親守が言ってきたのを島津に知らせる時間がなと思いながら、

「いや~新妻が寝かしてくれんで気づいたら夜半であまりの声に配下が起きていたのでなついでにじゃついでに」

そう言うと眠い目をこする義統はしきりに感心して、

「さすがは少将殿違いますな」

と言い、闇千代他を呆れさせた。

「出陣されるときは報告をくれぐれもお願いしますぞ」

そう言って親守は下がっていった。


3日ほどすると島津勢は柵を作り堀を深くして主力は北へと移動を開始した。

「これで我らの勝利は確実だな」

義統の物言いに大友の衰退を見てしまいやる気をなくす。

「ここまで来れば大友主体でと言うのは如何であろう」

私の考えとは違い楽観的に義統は、

「そう言っていただければ我等だけでも十分守れましょう」

そう言われたので撤退を決心して闇千代に、

「船で小倉に向かいそこから立花城へと向かうつもりだが」

「宗茂殿も問題はないと思いますが向かいます」

そう言われ闇夜に門司の千石船を回航して乗った。


「若林殿、水先案内感謝します」

「なになに、城を守ってくだされた。こんな事で恩を返せるなら何時でも言ってください」

豊後の水軍の将であり何度も毛利水軍を退けており難しい関門海峡も安全に船を進ませることができる。

義統とはなかが悪く、私の水先案内と言うことで一緒に抜け出して門司へと進んだ。

「ありゃあ島津の軍船だなどうしますか」

若林が我々では見えない遠くに船を見つけたらしく報告をしてくる。

「向こうも見つけたと言うことか」

警戒しているとは思ったがこんなに早くとなると追いつかれると思いながら舷側の影に長鉄砲を準備させた兵を隠して待機させた。


1刻程で前から来た関舟3隻が止まるように言いながら囲み近づく、船頭が受け答えをしていると中を調べると言い、寄せてきた瞬間合図を送るとそれぞれに一斉射撃を開始した。


悲鳴が上がり反撃と叫んでいるが速射で次々と狙い撃ちされ動ける者は見当たらなかった。

そのまま打ち捨て北上する。

しばらくすると毛利水軍の警戒線の中に入ることができてほっとしながら門司へと入港した。


「忠実殿ご苦労、関白殿下は3月にこちらに向かわれることになり準備をしているところだ」

秀吉の二本柱である軍師の一人今は亡き竹中半兵衛ともう一人がこの黒田官兵衛であり、九州の軍監を務めている。

「本体が来たときにその武威により雪崩をうって降伏させると言うことか」

官兵衛は笑いながら頷く、

「それと権兵衛や四国勢はどうなったのかな」

そう聞くと渋い顔をして、

「仙石は自領に逃げかえり関白の怒りをかい改易、十河存保殿は討ち死に、長宗我部も嫡男である信親が戦死して自国へ戻ってしまった。忠実殿には残っていただき豊臣の面目を失わずにすんだこと喜んでおられる。」

「特に何もなければ臼杵の宗麟は関白殿下の出馬まではもつ」

「関白殿下からは小倉で合流して先鋒の軍監として島津を討伐せよと、これが家康殿からの書状になります」

貰うとあてがわれた城下の館に入り秀吉の本隊を待つことになった。


小倉城での正月を迎える。

陪臣と言う立場だが右近衛権少将豊臣忠実として挨拶を受け秀吉からの書状を読む、

「3月に関白殿下御自ら九州の平定を行う、各々は準備に余念無きようにしていただきたい」

話すことは官兵衛から指示されていたので酒を振る舞い挨拶を受けてすごしたあと闇千代と共に宗茂のもとへ向かった。


「立花宗茂にございます」

二十歳位の青年であり立花道雪がお願いをして養子とした武将であり私は嬉しくてしょうがない、

「徳川家家臣豊臣右近衛権少将忠実にございます。高名な立花殿に会えるとは嬉しい限りです」

お互い頭を深く下げ奥へと宗茂が通してくれる。

「我が主君である大友家にご助力いただき、妻である闇千代を助けていただき宗茂感謝の言葉もありませぬ」

「いえいえ、臼杵では闇千代殿が居てくれて助かりましたぞ、私の代わりに島津の兄弟と斬り結んでくれましたから命の恩人です」

そう言うと珍しく顔を赤らめた闇千代がしたを向いて宗茂の誉め言葉にさらに顔を赤くしていた。


「ところで関白殿下は3月にもこちらに来られると言うことですが我らに先鋒をお願いできませぬでしょうか」

宗茂から相談され、

「島津をよく知る宗茂殿なら問題なく了承されるでしょう、私からも推薦して軍監として一緒に行動できるようにお願いをしてみます」

「それは心強い、知っての通り島津はしぶといですから最後までよろしくお願いします」

それから関白秀吉が九州に上陸するまでは島津を牽制したり、官兵衛からの寝返りをさせる書状をばらまいたりして3月末にようやく上陸してきた秀吉を出迎えた。

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