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久秀謀反

比叡山の焼き討ちを受けて、本願寺とは講和し一息とおもっていたら

くそ爺がやってくれました謀反を、


兄上に岐阜へこいといわれ京から急ぎ馬を走らせると、


「久秀が三好と起こしたな、そして甲斐からこれが来た。」


書状を読むと比叡山についての質問である。


「これで信玄も上洛の大義名分が出来たと思いますね、あとは北條と上杉をなんとかすれば上洛するでしょう。」

「信玄は質問で今のところ同盟破棄ではないが」

「知っての通り腹黒過ぎです。利があれば同盟しますがそれ以上の利があれば平気で破る。くそ爺の久秀以上に隙さえあれば来るでしょうし、狙いは遠江の徳川でしょう。」


「そうか、そのくそ爺は嫡男奇妙丸(信忠)に初陣として戦ってもらおう、わしは朝倉を、小十郎は岩倉に戻り、平手と佐久間を引き連れ信玄が動き次第向かうようにしてくれ、もし今年中に動かなければ朝倉戦に参加せよ。」


そう言われ急いで京の兼松に兵をつれ岩倉に一度引き上げるように伝えて、百地には徳川側の武田の状況を調べて何かあれば知らせるように伝え、岩倉に戻る。


何時ものように戻った事を知らせると日和が何時ものように出てくるなり、

「お帰りなさいませ、お話ししたいことが」

嬉しそうに私の顔をのぞきこんでくる。

「日和何か良いことがあったか」


「子供が授かりました、正月のあれで」

真っ赤に顔をしながら抱きついてくる。私はあわてて抱きしめると、

「嬉しいが、無茶をしない、お腹にさわるぞ」

はっとしたかおで動きを止め、

「はい、すいませんうれしくて」

謝るので止めて、

「私も嬉しいぞ、しばらくはここにいることもできるし」

新たな命に信玄の事を忘れて子供と遊びながらその日はすごして、日和のお腹をさすりながらいつの間にか寝てしまった。


数日間、兼松が京から戻ってきたので皆を呼んで評定を開く。

「皆者ご苦労、久しぶりに揃ったな、今回は信玄が相手の戦いとなろう、徳川の援軍として」


徳川に反応し伊奈が

「武田が織田の同盟である徳川に、攻撃を仕掛けると言うことですか」

「伊奈、武田と徳川に盟約はない、あったとしても腹黒の信玄が気にしないし平気で破るからな徳川殿と違い」

そう言うと苦汁の顔を浮かべ

「そうですか、かなりの危機です。織田からの援軍は如何でしょうか」


「わかっておる、だから兄上は私と平手、佐久間を派遣することに決めたのだ。総勢四千程」

「それだけですか」

伊奈の落胆はわからないでもないが、

「実際、近畿反乱と朝倉、浅井の対応、くそ爺の謀反そして一向宗がいつ立ち上がるかでそれどころでないからこそ信玄が上洛を始めると思う。秋口位だと思うが」

織田と違い農民兵が主体なので刈り入れが終わると共に出陣するのは当たり前なので、


「そこでだ今回は新兵もつれていく、二万千八百貫が五千貫の増加で二万六千八百貫となったかなりの増強が期待できよう。質は致し方ないが浪人を募集して実戦でふるいにかける。命を張ってとかいう奴は武田を前にすれば逃げ出すからな」

そう言うと皆笑いながら頷く、


伊奈が、

「増加された所も開墾ができる余地があります。このまま進めていきたいと思います。」

心配そうな伊奈に、

「それと今回はその方も武功をあげ帰参する準備をせよ、どうなるかはわからないがその心づもりで」

そう言うと希望を得た伊奈に笑顔が戻り、

「ありがとうございます。それまでには開墾や治水を進めます。」


「鷲尾、兵力は新兵共々どのくらいになったか」


「金ヶ崎の退却で鉄砲を打ち捨てたりしてかなり減りましたが、補充も終わり、騎馬三百、鉄砲五百、長槍七百となり千五百となりました」


「これに与力の三千を加えて四千五百か、武田との戦い何とかしたいな」


「それと二俣城の中根殿からの要請により鉄砲五十と火薬を送りました。」

私は中根の爺の親戚である中根氏は前線になるので守りきるのはかなり難しいかなと思いながら、

「そうか、血の気が多いと中根の爺から聞いている、無茶をしなければ良いが」


中根(九鬼)信隆


「同じ中根氏、爺共々心配です。我らも鷲尾殿と伊奈殿の力添えにより鉄砲隊のみで二十人揃え与力として頑張ります。」


「与力期待してるぞ信隆、今回は本多正信を留守居として岩倉に、先方は慶次郎と宇部の騎馬二百五十、鉄砲隊は小野寺と長谷川で四百、長槍隊は兼松と吉田(朝倉から変名)景恒で五百、本隊は騎兵五十鉄砲百長槍二百とし副将で鷲尾と中根が務める百地は情報と輸送隊を頼む」


城代の鷲尾が


「わかりました、武田と聞いて緊張しますな」

私は皆を見てまわり、


「多分今回は籠城はないと思う。武田は時間をかけて上洛をしている暇はないと思うからね。信玄の体調も気になることを百地が調べてきたし、かなり情報を押さえているから悪いのではないか、それで急いで上洛となっていると思う。」


「武田相手に野戦とはきついですな、籠城をすればまだ耐えるのではと思いますが」

「徳川殿の血気盛んなことはいいが別の言い方をすれば抑えが利かない、そうですな正信殿」

正信は顔色も表情もかえずたんたんと、

「はい殿は我慢しますが、武田から明らかに挑発されれば行きましょう。」


「と言うことだ、何れだけの死傷者が出るかわからない、その時に対抗できるのは慶次郎頼むぞ」

慶次郎は嬉しそうにしており、

「任せてくれ小十郎、武田との槍あわせ楽しみにしておく」


私は釘をさしておかねばと思い、

「ひとつだけ慶次郎注意してくれ、今回は宇部と騎兵を引き離すような突撃ではなく、離れないように引っ張ってくれ、その為にしばらくは宇部と共に遠出しながら把握してくれ」

何時も単騎で戦場の花であるが、それに見とれてついていくと良くて怪我という状況なのは本人も自覚はしており、

「確かに、小十郎でもついていこうとして死に目に会うからな、わかった。」


そうして各自実戦を踏まえての連繋を繰り返し行い、暇になれば伊奈の指示に従い開墾や治水に汗を流した。

百地からも武田の一部で動員が始まっており兄上と家康に絶えず知らせる。



秋口に入り遠江に武田は進行してきたが、なんと東美濃にも進行してきた武田、さすがに信のおけない国である。


叔父の中根氏が守る二俣城も攻撃を受けるであろうし、東美濃の岩倉城も前年城主がなくなり叔母のおつやの方が坊丸の後見として入っていたので、兄上は援軍を派遣し自らも後詰めで出るということ、そして私にも三河への援軍を命じた。


直ちに佐久間と平手を引き連れ、浜松城へ向かう。

東海道の三河との境で集結して浜松へ出発をすると佐久間が、


「今回の戦いは籠城でしのげばよろしいのでしょうか」

心配そうに言うので、


「信玄は体調がすぐれないと聞いている。なればのんきに攻略はせず支城を落として家康殿が出ざるおえない状況を作ると思います。」

佐久間はあわてて、

「それなら籠城するように言ってはもらえませぬか、我らだけでは到底加わったとしても武田と戦えるとは思えませぬ。」


そう言うと横の爺の息子である平手が私を挑戦的な目で、

「無策ですな、うつけはうつけということですか、私だけでも武田勢を押し返しましょう、恐ろしければ後ろで見ていても良いですぞ」

息子は父の自殺の原因は兄上でありそれを恨んでおり私や兄上でさえくってかかる。兄上はそれがわかっているのだが爺の手前見て見ぬふりだが、粗雑さが目に余る部分もあり今の発言も兄上に対するものであるのは明らかであった。


私は与力である平手の兵力も必要なので諭すように、

「まともに戦えば勝ちは難しいからこそ籠城が一番なのだがそうもいかない、戦いになれば隊列を崩さず戦わなければ個々では武田は強い、それを忘れないでくれ」

そう言うと気に入らないのか何時ものように押し黙ってしまう。佐久間には、

「退きの佐久間に期待しなければならない、頼むぞ」


東海道を下り十日ほどで浜松に到着したが、初戦は家康勢が破れており二俣城も落城してしまった。


「徳川殿、今回は二俣城に間に合わずすまないことをしました。」

さすがに重要な支城のひとつが落ちたショックを隠しきれずにいたが、

「いえ、信長殿からの配慮で信照殿を派遣していただき助かります、北遠江はとられましたがここで信玄を止めましょう」

強気にしようとする家康に私も同意して、

「これだけの城なら容易には落ちることはないでしょうし」

優しく笑顔になる家康は、

「角屋からも信照殿からの兵糧が届き、ありがたいです。」

そんな話をしていると百地が至急のお目通りをと言われ、すぐにこさせる。


「失礼します、岩村城が落ちました。」

私は思わず家康の顔を見て驚きの声をあげてしまった。(去年落ちなかったから安心していた)


「詳細を話せ」

「おつやの方が武田に降伏し坊丸を差し出しましてございます。」

そう聞いて長政に続いて身内の裏切りで兄上の激怒した顔が浮かぶようであり、さらに頭がいたくなりる。


「これで戦略を考え直さないといけません、本来はここで守っていれば武田は無理やり進むしかなく兵糧も厳しいと思いましたが」

家康はその事にうなずきさらに私は、


「今回叔母のおつやの方が裏切り岩村を明け渡したことにより、ここから飯田経由で美濃へ直接出ることができ、それを選ぶでしょう」


「信照殿、それでは最初から野戦一本か」

「しても問題はないでしょうが戦略的には意味のないこと、局地的に押さえても、岐阜への道はできてしまいました。」


絶望的な顔をして考え込む家康


「あとは運に任せ、かなり体調が悪い信玄がみかまるのを待つしかないです。」

戦人にとって甘い予想は受け入れられず最悪の事態を家康は考えたようで、

「わかった、考えさせてくれ」

家康は奥へと戻っていき、私はその足で家老の酒井と義兄の忠勝を呼び出してもらった。


「今回は織田がすまないことをした。裏切りとはいえ岩村をとられてしまい上洛への道が出来てしまった。籠城は意味がなくなる。」

そう謝罪すると、

「信玄がここを素通りすると言うことでしょうか」

忠次が驚き聞いてくる。

「私でも岐阜へ直接出れる。それを選ぶはずだ信玄は時間がないからな」


「小十郎よ時間がないということは籠城すればだが、野戦をするしかないのか、」

「織田とたもとを別つならこのまま籠るのが手かと考えますが、徳川殿はそういうことはされず、信玄も見越して挑発をするでしょう。私なら目の前でわざわざ方向をかえ見せつけるように飯田へ向かう。」


図星な事をいうと忠次はため息をはき、

「そうなると殿なら間違いなく出るな、勝てると思うか信玄に平八郎よ」


「冷静でも厳しいと倍以上で勝つには、私的には挑めることこの上ないが」

「信照殿、勝てば良いとして負けた時のことを考えねばなるまい」


「そうですね、後詰で義父の水野にたのみ入ってもらい、平手は血気盛んな上徳川と攻めましょう、佐久間と連繋をとり徳川勢を逃がす道を作ります。後は家康殿の運ですな」

記憶では生き残るがそんなことも言えないのでこう言うしかない、

忠次は腹を決めたのか、

「かたじけない、石川(数正)と相談する、平八郎あとは頼んだぞ」

平八郎は黙って頷く、


「義兄、伊奈殿をお連れしてます。当日は義兄についていき、撤退時は徳川殿に張り付かせるようにお願いします。」

「わかった、こないだのように無理するなよ。」


「わかっております、家康殿を逃がすことに最大の目標とし、こちらからも前田と宇部に騎兵で割り込ませる準備もしています。」


「まあ、実際どう転ぶかは準備をしてもどうしようもないが、信照よ最善を尽くそうぞ」

そう言うとそれぞれがそれぞれの持ち場で死力をつくしていこうと別れた。


私は史実通りならと思い三方ヶ原周辺を百地に前もって探らせていたので、自分の武将と義兄を引き連れ確認を行う。

私がなぜそこをと思ってる様だが、毎度の事なので鷲尾達は慣れっこになっており、細い道を抜けて三方ヶ原に出ると私は義兄である忠勝に、


「信玄なら美濃が落ちたことにより飯田経由で美濃へいく。その時に通って大軍を展開させるにはここしかない」

そう言うと忠勝以外は頷き、忠勝は

「なぜここなのかいまいち納得いかないが義弟が言うなら、しかし殿を危険な目に遭わせるなら容赦はしない。」

そう鋭い目で見られて緊張する。

「私が信玄ならこの丘陵の上にあがり展開して一気に追い落とす。それで勝てる。」

そうはっきり言うとその広く横に広がり、坂上からの武田の突撃を想像して皆黙りこんでしまった。


私は、

「なので最初からどう逃がすかと言うことだ、今勝手にだが角屋に頼みこの周辺の木材を切り出しこの後ろに集積している。」

そう言いながら百地に渡された地図を広げ描いてあるところと実際の場所を示していく。

「これを使い徳川勢が戦闘を始めた場合には撤退陣地を作り鉄砲で迎え撃つ、撤退するまでの間だ、かなりきついぞ」

そう言いながら陣地の場所を石と木で簡単に場所を作ると場所を覚え込ませる。

「しかし柵を作ったところで何の意味がある。ここまで作る労力を別に振り分けられないか」

忠勝の言うことは道の整備等で逃げる確率をあげる方がいいのではと言うことだが、

「一つは信玄が整備された道を見て何かしら感じて私の考え以上のことをするのを恐れてと、武田の勢いを少しでも削ぎたいと言うことです」

「信照、ここにくるのも信玄が考えているのか疑問だぞ」

「その点は戦いは始まる前に決着がついているものです。今回は数の上では武田ですが地の利では徳川に分があります。それを良しとしないのがあの坊主であり一本道を抜けた先、後ろに回り込む余地がない場所を選択するならここと言うことです。」

「確かに他なら間道を通り抜けて後ろにも回り込むのは難しくないがここは抜けられる道はないな、ところで信照よ坊主と言った時にかなり人相が悪くなったぞ」


私はあわてて顔を引っ張り、

「腹黒の考えを色々していると正信のごとくになります。ただし正信は顔には出さない不気味さですけどそれが頼りになると言うことです」

「そうか」

正信が嫌いな忠勝は露骨にやな顔をしている。武官と文官の仲が悪いのは何時の世も同じと言うことだろう。

出来るだけの準備を行い浜松へ戻った。

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