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ある一日

1565年


重臣が入れ替わり立ち替わり美濃攻略に必要な城を築くために頑張っているが、建て終わる前に斎藤勢に阻止されて失敗してしまう。兄上の怒りはもうそろそろ頂点かなと、そして自分は相変わらず内政をしながら調略をかけたりしているが、気になってはいる。

そんなこんななんだけれども、最近の一日の行動を書いていきたいと思う。



まず起床、明るくなると目が覚める。合理的なこと

「日和起きよ、もうお天道様が出ているぞ」

横で寝相の悪さから前をはだけさせており元気がよすぎるときは一戦となるが、大抵は日和の寝起きの悪さに呆れさせられる。

「あと少しだけ寝かせてください、もう少し」


「いつものことながら寝る子は育つだな日和は、鍛練にいってくる。」

一緒に付き合っていたら昼までに仕事が終わらず自分の首を絞めることにもなるので、ほっておいて侍女を呼び着替えをすると見回りに向かう。


今日は城の一廓の練兵場にいくと、小姓の九鬼が私を待っており、


「いつも準備をさせてすまない、さて始めよう」


私は槍をしごき、九鬼に槍を繰り出していく。お互い槍を払い払われ私は槍先で九鬼の槍を絡めとり跳ねあげる。

「まいりました、良いところまでいくのですが一本が取れません。」

私は力でねじ伏せようとする九鬼に、

「虚実を使いこなせ、力を出すところ出さないところや相手の力を使って倒す事を絶えず考えろ、何事にもつながる。」


そうしていると、小野寺と長谷川もきて一刻ほど交代で槍を繰り出していると日和がやって来て、


「みなさん朝御飯ですよ、水浴びをしてから来てくださいな」


と、手拭いをそれぞれに渡すと居間の方へ戻っていく。

それぞれが水浴びをして体を拭いてさっぱりとすると、皆で朝御飯を食べる。

朝御飯は魚があればかなりごちそうでありご飯の他に一品ぐらいが普通だが、私の家では肉類が食卓に上ることが多い、それについては後での話、


朝食後、それぞれが担当をしている仕事に向かい、私は新たに開墾を行う土地を伊奈忠次と見に行く予定で、馬屋にいくと私の分の馬と、もう一頭は日和が乗って待っていた。


「領内の視察に行くときいて、連れていってくださいな」

明るく元気はつらつに私に言うので、

「そう言うのは、乗る前に訪ねるものだぞ、かまいはしないが」

そう言うと笑顔で、

「手間を省いただけです、気にしない出発しましょう。」


そう言って、古渡と伊奈と代官が待つ表門へと走り出した。

私も新しくてにいれた馬上筒と三匁半の鉄砲を何時ものように馬の鞍に下げた袋にいれると日和を追って表門へと急ぐ。

門の前では古渡と伊奈が待っており、何時ものように元気よく馬にまたがる日羽を見て苦笑している伊奈に日和は元気よく挨拶をしており私も近づきながら、

「古渡、伊奈待たせたな、調査結果にあった五条川の南西の部分に行くぞ、」

治水工事を行うための現場の確認であり、開墾する余地がまだまだあるので結構な頻度で色々な所を見に行ったりする。


伊奈が、

「治水対策いかようにするかですな、ところで信照殿のところは面白いですな城主の奥方である日和殿は自由奔放で馬を自在に操り、走りまわりますし。」


そう言いながら先行している日和を見てわらう。私は、


「元々も岡崎で奔放すぎて、人さらいにさらわれたところを助けたからな」


古渡がにこにこしながら、


「小十郎様、日和様は領民の太陽でございます。色々な所を見て何かあれば教えてくださいますし不正があれば断固として引きませぬから。」


「古渡にも世話になるね、しかし城にいろとは言いずらくなったな、本人は馬で気晴らしに走り回りたいだけみたいだが」


そう言って、前を進む日和を見る。そんなこんな話をしていると目的の五条川に到着する。堤を登ると東から流れてきた川が左へ大きく蛇行しながら流れており、あふれた川のあとのように沼が広がっている。


伊奈が進み出ていくつかの場所を指し示しながら、


「ここが大水の時にあふれるため人も住めないところでございます」


「確かにこの沼のあとと言いひどいな、でもこれを何とかすれば田畑が増やせるな」


「しかしながら堤を強化するにも限度があります、川の流れはつようございます」


「それなら川の中に手前から左右に四つずつ、八個の流れを阻害する障害物を大石と丸太で作れば流れる速度を落とせると思うが、それと北から合流している川の合流を石垣を使い緩やかに合流できればと思うが」


そう言いながら、地面に枝で概略図を描いていった、伊奈はそれを見ながら


「わかりました直ちに製作してみます、工事要員は如何しましょうか」


「新兵百五十と移住者で田畑をもちたいもの五十ほどでまずは試してみよう、足りなければ鷲尾に言うように、話しておくから」


「わかりましたそれでは明日から設置のための調査をしましょう」


そう言いながら細かい作業を話し合っていると


「小十郎兄さま、大変でございます、一大事です」


「兄さまは妻になったんだから要らないのに、どうした」


「一宮村の咲さんが人さらいにかどわかされたらしく朝、川を船で下って行って村では大騒ぎなんです」


「一宮なら、この五条川にそこで合流して海へ続いているな、伊奈すまんがついてきてくれ日和も、古渡は城に知らせ宇部に騎馬で五条川を下り我らと合流するように伝えてください」


古渡は岩倉へ引き返し、私達は五条川を下流へ急行する。

馬を走らせ半刻程過ぎた辺りで、清洲の城の手前で船の真ん中に物をのせそれをむしろを被せている船が進んでおり、それを追い越し次の川の合流の手前にある中洲で船が来るのを鉄砲の準備をしながら待っていた。


私は火縄に火ををつけ、後ろで船を操っている船頭に狙いを定める。

伊奈が船の方へ大きな声で、


「織田家の船改めである、ここに船をつけよ」


そう伝うと船は中洲から離れようとしたので、


「もう一度言う、織田家の船改めである、ここに船をつけよ。」


さらに離れようとしたので、私は船頭を狙い鉄砲を射つ。

命中した感触はあったが、結果は見ずにすぐさま早合をいれ棒で突き入れると鉄砲を構える。

今度は荷物の横にいた男が後ろへ廻り、船を操ろうとしたので、躊躇もせずそのまま撃ち殺した。

伊奈が川に入り船の前に回り込みながら船に乗り込むと中洲へと船をつけた。


若い商人が青い顔をしながら、

「いきなり発砲するとは何処の無法者でしょうか、我々は荷を運んでいただけです」

「私は織田家家臣織田信照である、船改めを無視したのはその方であろう、そして積み荷とはあれか」

日和が、縄を切り筵に巻かれた娘を助けていたその数は四人もおり、それを見て商人は、


「私の店の召し使い(奴隷)であります。」

最後に助け出した咲という娘を見つけて日和と抱きついて無事を喜んでおり、


「あの娘は今日、私の村からさらわれた娘であり、それを助けにここまで来たのだ。戦いの中で許可した人売は認めているが、このようなこと織田家では認めた覚えははい。」


商人を縛り店の名前等を尋問ではかせていると、半刻ほどで騎馬三十を率いた宇部が到着した。


「宇部急にすまぬ、十名ほどつれ娘たちを日和と共にそれぞれの村へ連れて帰ってくれ、私は残りとこの罪人をつれ津島の店に乗り込む。小野寺は津島に先行し兄上の代官に子細を話して店の前に連れてくるように。長谷川は兄上にこの事を知らせ事後承諾だが後で報告に上がると伝えてくれ。」


そう言い家臣の馬に罪人の商人をくくりつけ津島へと走った。


半刻ほどで到着し馬を町の外にとめると、若い商人の店まで徒歩で行き店の裏手に数人を廻す。残りを店の前に待機させた。そうしていると店から若者の父親と思われる店主が出てくる。


「織田家の家臣とお見受けします。いきなりお店に現れ、私の息子を縛ってあたかも罪人のようにされているのはどのようなことでしょうか。」


その時ちょうど小野寺が津島代官佐久間信昭をつれて到着する。


「信照殿、代官の佐久間でございます。いきなりこられまして、小野寺より詳細は聞きましたが、善良な商人でございます吉国屋さんを取り囲み、あまつさえ息子を縛っているとはいかような次第でしょうか。」

私は金をもらい手心を加えて見て見ぬふりをしているなと思い、

「詳細は聞いていると言ったな、証人は私と妻の日和、伊奈の三名だ」


そう言うと吉国屋が私の後ろから、

「佐久間様何とか宜しくお願いします。私の息子も御武士に捕まっております。」

そう言われたが佐久間は縛られた息子を確認して、

「吉国屋さん任せてくだされ、私は信長様からこの地を任された代官にございます。いくら弟の信照様であろうと無法は許しませぬぞ」


私は怒りを抑え兄上の下にも腐ったのがいるのかと無表情になりながら、

「許さぬと言ったな、あそこに縛られている罪人は吉国屋の息子に間違いはないか」

佐久間は代官であるということで配下で周りを包囲させながら、

「息子にございますが、子細をお調べして罪をといますのでお引きください。」


「罪なら確認している、構わん兄上には私が説明する。伊奈よ店内を改めよ逆らうようなら切り捨てるのも許可する。」


家臣が店のなかに裏と表から入り始めると、


「信照殿、お止めくだされこれ以上の無法をするなら捕縛もやもおえませぬ。」

そう言われ私は無言で馬上筒を取りだし早合を装填し火縄に火種から火を移して佐久間を狙う。

「邪魔立てするなら兄上の代官でも射つ」

そう言うと佐久間は顔をひきつらせながら、

「この事は必ず殿に報告し罪を問いますぞ」

そう言うと配下を下がらせ代官所の方へと戻っていった。


半刻ほどすると倉の奥に押し込められていた娘たちが助け出され、家臣を数人のこしてから、吉国屋と息子縛り、娘達を連れて代官所へ向かった。

代官所に向かうと丁度佐久間が馬で出ようとしたのを鉄砲を構えて、

「佐久間、どうやらその方にも事の次第を聞かなければならないようだな。」

そう言いながら伊奈に捕まえさせ配下には部屋での謹慎を伝え佐久間に、


「これが捕まっていた娘たちだ、兄上の前で吉国屋との裏での取引もふくめ申し開きをしてもらおう、引っ立てい」


佐久間を縛り馬にのせている兄上の家臣村井が馬を飛ばしてきた。


「信照様、信長様からの命により参上しました。」

こう言うことを処理させれば兄上の信頼もある村井に、

「お役目ご苦労、兄上に手間をかけさせて申し訳ないが、この者たちの処分と店の管理を任せる。」


「必ずや法にてらし処分いたします。」


「兄上には後日報告に上がると伝えてくれ。」


そう村井に伝えると、夕方になりやっと岩倉への帰途へついた。


「皆の者今日はご苦労、ここで解散するゆっくり休んでくれ」


そう言い馬を任せ、鉄砲を持つと日和のところに帰った。

日和の心配そうな顔を見て、

「今日、日和は良いことをしたな、皆無事でよかった。」


日和を見つけて抱きしめる。


「小十郎さま今日はありがとうございます。咲も無事に両親のもとへ戻ることもできました。」


そのまま二人お風呂へ入り、ご飯を食べ、疲れていたので布団でそのまま寝てしまった。


ちなみに午後は何もなければ鉄砲隊の新兵をつれ猪や鹿、鳥を練習を兼ねて射ちに行き、家臣と私の食卓を飾るのであった。

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