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三河一向一揆

驚くことがおきて今、小牧山は興奮しています。


あの竹中半兵衞が稲葉山の城を落としたという話で朝からその事で大騒ぎをしている。兄上が早速使者をだして、城を明け渡すなら美濃半国をやると言うくらいの騒ぎであるが、私は燃え尽き症候群のように日和に膝枕をしてもらい、寝っころがり仮病の最中である。


「もうこのまま大往生できれば幸せかも、幸せだ間違いない。」

日和は嬉しそうにしているが

「小十郎、仮病ばかり使っていると兄上の雷が落ちますよ。」


「落ちてもいい、だから今はこのまま。」


というか言わないうちに障子が開かれチラッと見ると兄上が仁王立ちしてこちらを見ている。


「今気のせいか仮病と聞こえたようだが、小十郎具合はいかがだ。」


「すぐなおりました。今なおりました。兄上の顔をみてすぐに。」


とすぐさま飛び起き兄上を中へ通すと、


「話は聞いてると思うが、竹中のやつめ稲葉山を渡せと言うておるのに断りよる。半国やるといってもな。」

私は欲がない竹中半兵衛の事を自意識が強いと言うことをどう伝えるか悩みながら、

「無駄だと、渡すならもう何処かに譲っていると思います。野心でしたわけではないのでそのうち龍興に返すと思います。」


そう言うと、

「ふん、つまらぬ奴よ才があるのにそれで生きようとしない。それと三河で一向一揆が起こったぞ、腐れ坊主が扇動して家康が苦戦しているようだ。」

あっさり納得してしまった兄上に安心したがとうとう三河で松平の家臣同士が争いをはじめてしまったことの方が問題は大きくわかっていながら動揺してしまい、


「起こりましたか、お伝えした通り支援をすぐ始めます。そして援軍をくり出してもよろしいでしょうか。」

兄上は口許を緩め同意してくれ、

「急ぎ支援の準備を始めよ。足りなければこちらからも出すが、援軍はいまのところ美濃を狙える状態なので難しいぞ小十郎。」

私は頷き、

「この状態を利用し木曽川の向こうに城を建てれば斉藤に対する圧迫にもなり、周辺の調略も進むと思います。」


「わかった、権六に建てさせるようにする。小十郎は三河にしばらくは専念して、援軍に赴け、ただし長期間空けるなよ池田恒興では東美濃はきついぞ。」


「わかりました。なるべく早くに終わらせるようにします。」

そう言うと日和に兄上が、

「と言うことだ小十郎の留守中頼んだぞ日和よ。」

そう言うと部屋から消えてしまった。

私は日和の膝枕に未練はあったが、急ぎ岩倉へ向かい家康への援軍を準備することになった。


そしてその日のうちに、鷲尾を留守居にし、兼松と宇部を引き連れ長槍三百、鉄砲二百を率いて岡崎へ進んだ。


家康と連絡を取り合い岡崎城へはよらず、西三河の一向一揆の本拠地をいっきにつくことにした。


本拠地のひとつである本宗寺を、正面から鉄砲を寺の門の前に並べると繰り返し射撃を行い、一向衆を混乱させ長槍隊を兼松に率いらせて突撃させる。


半数以上を討ち取り残りは寺へとこもってしまったので降伏をすすめたが、断られたので、総攻撃を行い鉄砲を繰り返し発射した隙に放火して御坊を焼失させた。


すぐ近くのもうひとつの本拠地も周囲を包囲すると鉄砲で威嚇しながら同じように火をかけて、出てきたところをさらに鉄砲で倒しつつ、勝鬘寺を壊滅に追い込み伽藍を焼失させた。


一向一揆との戦いは普通の戦いとは違い、鉄砲をどれだけ撃ち込んでも怯まず降伏もせず、子供が殺されようが兄弟が殺されようが人々は関係なく戦い続け、戦いなれているはずの家臣にも無言での重圧はかかる。

私はそんな様子を見て疲れてしまい、

「兼松、一向一揆とはなんと不毛だ。子が親がむごたらしく内蔵が飛び出そうが腕が飛ばされようが関係なくくる。酷いものだ。」


「裏から煽っている腐れ坊主をなんとかしないと終わりませんな。」

「兄上が遭遇すれば、痛い目を食らわすためにむごたらしく倒し撫で斬りで根絶やしにしようとするであろうが、これはいくらでも湧いてくるぞ。」

兼松は目を細目ながらこの情景を見て、

「そうですな、これは経験しないとわからないし、経験すれば恐怖となりそれから逃れたいために虐殺することになるでしょう。」

忠次が用意してくれた豪農の家で休みをとる。


仲間同士での戦いにこの家の者たちにも暗い影を落としており、宗教は親兄弟でさえたもとを分かち合ってしまうこの事は三河の武士達に深い傷をつけてしまったようだった。



これより一週間後に家康が馬頭原で決戦を行うため合流し、一向一揆の主力を撃ち破るために軍義を開いた。


「信照殿、援軍感謝しますぞ、この時期の織田家からの援軍、松平家を代表し礼を言います。」


「いえいえ、岡崎城を攻められたときに間に合わず申し訳ありません、しかし一向一揆とは救われませんな、教義の為とはいえ親や子がその為だけに戦い、その横で倒れようが気にもかけず、死をも恐れず悲しみと怒りしか生まれない。どこかでこの負の連鎖を断ち切らないと駄目でしょう。」


家康は目を閉じて、

「全く、昨日まで親しく話をしていた者が次の日には槍を持ち突撃してくる。やりきれません。早くここを勝ち元に戻したいものです。」

私は早期にこの戦いを終わらせようと思い、

「家康殿そこで一つお願いが、馬を二百程でお借り願えませんでしょうか。」


「それは構いはしないですが信照殿、何をされるのですか。」


「騎馬に二人乗りさせて後ろに鉄砲足軽をのせ、機動力を使い後ろに隠れている坊主と大将を殲滅します。」

そう言うと納得してくれ、

「わかりましたすぐ用意致しましょう。」

馬と兵を借り受け、鉄砲隊を後ろにのせ、発射するときは前の者が馬のたてがみに伏せて、その背中に鉄砲をのせて射撃をおこなう事を見せると準備をして、すぐに一向一揆衆がいる西に大きく迂回しながら進むと丁度後ろに出る。

松平と一向衆の先方同士がぶつかり合い戦いは均衡しているようで、


「鶴翼で突撃する。遅れるなよ、進め。」


道案内の大久保忠佐殿を先頭に森を抜け街道筋の手前で待機していると、百地の草が松平勢と一向衆の本隊の戦いの始まりを伝えにくるまで待つことになる。

ここから半刻ほど街道を進んだ先で戦いが始まったと知らせてきたので、弾と火薬を鉄砲に装填すると、直ちに出発した。


林を抜ければ敵本陣の後ろと言うところで火縄を点火しすぐ撃てる状態にしてから、敵本陣へ突撃を開始しする。

私達が突然現れたことにより、一向衆はこちらへ防御をするため陣の向きをかえようとしていたが、私達はそのまま後ろから一気に接近して、二十間ほどの距離に近づき馬を止めると騎馬兵が前に倒れ鉄砲隊が狙いをつける。

私が国友で手に入れた馬上筒の短い銃身の鉄砲をかまえ発射するとそれを合図に鉄砲隊も一斉射で撃ち込む。

一向衆の本隊は混乱し私達とは反対に逃げようとして、私達を攻撃するために前へ出ようとするものと押し合いはじめ、鉄砲隊はその場で早合を装填し終わる。


そのまま前進して一向衆が互いに押し合って混乱している場所に向け再度鉄砲を撃ち込ませると、鉄砲隊に降りてこの場で再装填を伝えると、宇部に騎馬を率いてまわりこんで退路を断つように指示をして送り出す。


宇部の騎馬隊は私達を下ろした後左手に大きく迂回しながら、一向衆の前衛と本陣の間に切り込みそのまま抜け去ると、今度は反転し前衛の後ろ外側を削るように繰返し突撃していき松平勢の攻撃の手助けをする。そのため陣形が崩れ一向衆は耐えきれず逃げ始めた。


そ私の率いる鉄砲隊が少しずつ一向衆の本陣を削りながら前へ進み、騎馬の邪魔にならないところで一方だけ逃げ道をつくり待機をする。射撃を続けると銃身が熱くなりはじめたので冷やすために交代で散発的に倒していると坊主が降伏をしてきた。


「松平勢にお願い致す、降伏をしたいので攻撃をお止めくだされ。」


そう言い坊主と土豪が数人こちらへやって来た


「今さら何を言う、貴様たちがしてきたことを見よ、これだけの人を扇動し悲しみを与えたのだ。今さら許すわけにはいかない、ただし領民や元松平の家臣は家康殿の管轄、そちらへ大人しく行くなら特には危害は加えない。」


若く身なりの良い坊主が怒り、

「貴様必ずや地獄へ落ちようぞ、名はなんと言う。」

私は冷え始めた鉄砲に火薬と弾を装填しながら、

「織田小十郎信照と申す。今さら地獄にいこうと怖いとは思わない、怖いのは民を騙し無意味に死なせてしまうお前たちの様な卑怯者と同じに見られる事だ。」

坊主は顔を真っ赤にして私を指差し、

「なんと言う仏知らずな罰当たりめ、必ずや地獄へ送ろうぞ。」

私はそれを聞くと坊主に向け構えると、

「この者たちを討ち捨てい。死骸は無縁仏としてそこらの邪魔になら無いところに埋めてしまえ。」

引き金を引いて坊主を弾き飛ばし、わめきながら鉄砲の餌食になる他の坊主と土豪達が次々倒れ周辺が静かになると家康殿と合流した。


私が目の前に来ると家康が頭を下げて


「信照殿すまぬ、坊主を切り捨てるのは私の役目なのに」


「いえいえ、松平殿はここをおさめなければならぬお方、このような悪評は地元でない者がすればよいことですから、それでは我らは急ぎ尾張へ帰還します。」

斉藤との戦いがあるため早々に戻ることにすると、


「信照殿機会があれば岡崎に寄ってくれ」

そう家康に言われ礼をすると出発したが、そこへ草からの知らせを受ける。


馬引の城下で暮らしている虎松(井伊直政)に危険が迫っていると、実は今川からは命を狙われていたのだが今川の一族で井伊の遠戚でもあった新野が保護していたので表立っては手を出させないでいたが、遠州錯乱と呼ばれる今川家に対する謀反で討死してしまったと言うことで止めるものがいないと言う状況であった。


「鷲尾、先に戻っていてくれ私は引馬に火急の要件が出来た」

「殿、遠州は混乱の最中ですぞ、御身をお考えください」

「心配してくれるのは嬉しいがどうしてもいかなければならないし百地が護衛につく」

「俺もいくから安心しろ鷲尾」

「前田殿も一緒なら、殿を頼みますぞ」

慶次郎も一緒についてきてくれることになり心強かった。


私は汗と血で汚れた鎧を脱ぎ綺麗な服へと慶次郎と着替える。船を雇いそのまま海に出ると引馬城下へと急いだ。

中根の名前で関所を越えて寺にはいると焼け落ちており小屋も同じで私を焦らせる。

百地の草を四方に情報収集させると町外れの農家にそれらしき親子がいると聞き向かった。


「中根様」

奥山が私を見てほっとしたかおで虎松を抱いてくる。

「無事でよかった。すぐにこの場を離れ船へと向かいましょう」

私は虎松を慶次郎が奥山を抱いて日暮れの中走る。向こうではどうやら今川の兵が虎松を捕らえに来たようで間一髪だった。


「できません、離れれば戻れなくなります」

船で津へと向かおうとしたが奥山は頑として譲らない、

「どうするか、慶次郎」

「本人が無理と言うなら信照考えるしかあるまい」

あっという私の顔に慶次郎はしまったと言う顔になる

奥山には特にばれてないのかと思いながら沖へ出ると、

「中根様、答えてください中根様は商人と言われるのに武将の名前で、この方も武将とお見受けしますがどう言うことでしょう」

やっぱりばれてると思い、

「すまない、中根と言うのは母方の家なのだが私は織田信照、尾張の織田信長の弟なんだ」

「それでは私たち親子を拉致すると言うことでしょうか」

疲れている奥山の目は鋭く、口は真一文字に閉めて私を見る。


「それはない、それをするなら最初にあったときにすればいいし、こんなところで迷ったりはしない」

「信じてよろしいのでしょうね」

「仏に誓って」

そういうと安心して座る。


さてどうしたらと考えたのだがこちらに残るには今川方の誰かに話をつけなければならないが、知っているのは一人だけ、


しばらく考え両手で頭をくしゃくしゃにして、

「これが成功すれば命はとられないが、もし駄目なら津に強制的に連れていくから」

「わかりました」

奥山は私を信頼してくれたのか内容も聞かず承諾した。



「宗久殿、ようやく会いに来てくれたのですね」

今川の知り合いと言えば亡くなった太原和尚と、今私の前で微笑んでいる寿桂尼その人である。

「申し訳ありません二年近くもご無沙汰しまして」

「中根様には元気になられたようで手紙をいただいております信照殿」

爺に言うのを忘れて爺も親しい間で私の本当の名前を知らせてしまっているのを改めて知る。

「申し訳ありません偽名を使い寿桂尼様に嘘をついてしまいまして」

寿桂尼は嬉しそうに笑いながら、

「お互い立場と言うものが有りますから気になさらずとも」

そういわれ私は方の力が抜ける。


お礼に茶をたてて寿桂尼にふるまう。

「なかなかのお手前です。わが夫を思い出すよう」

少し遠い目をして思いに更ける。

「ところでなにかこの婆やにお願い事があってきたのでしょう」

この方には隠し事は一切出来ないと考え、

「はい、実は井伊の子をかくまっております。寿桂尼様に庇護をお願いしたく参上しました」


「井伊の子と言えば直親の子ですね、わが孫がやったこととはいえむごいことです。わかりました私が生きているかぎりは直親の子供を面倒見ましょう」

「ありがとうございます。生きておられる間でも十分助かります」

「あと数年と思いますがそれでよければ、その後はどうされるのですか」

優しく微笑むがはっきり聞いてくる。

「寿桂尼様が亡くなられれば武田との外交は断絶すると考えられ、そうなればあの男は牙をむくでしょう」

「そうですね、攻められれば孫では太刀打ちできないでしょう、1つお願いが婆やからあります」

私は背筋を伸ばして改めて聞く、

「できの悪い当主でありますが私にとってはかわいい孫です。もし今川が滅び氏真が生き延びらせそうなら手助けをお願いします」


子を孫を思う母親は何時でも一緒だなと嬉しく思い、

「出来るかぎり命を全うさせましょう」

「ありがとうございます」

寿桂尼は丁寧に礼を言うと会見は終わった。


虎松と奥山を引き合わせよろしく頼むと尾張へと船を出した。



四日ほどで岩倉城に戻ってくると私は2日ほど休みをとると言いうと鷲尾に指示をして城の自室に入るとそのままこもって寝てしまった。

翌日、日和が小牧山から馬を飛ばし、岩倉へ来ると、


「ご無事の帰還、お疲れ様でした、しばらくは一緒にいてくださいね」

私の前に座った日和に私は抱きつくと膝の上で寝転び、

「いるよ、兄貴ににらまれるまで、しばらくは外に出たくない」

「三河はどうでしたか」

「あまり言いたくはない、あんなことがまた起きると考えたらもうどうでもよくなる」

膝の間に顔を埋めた自分に日和は優しく撫でてくれいつの間にか寝てしまった。


三河での体験は私の心をかなり疲弊させ面会謝絶で引きこもる。しかし三日ほどたつと兄上から報告にこいとの書状を受け嫌々ながらに急ぎ小牧山へ向かった。


「三河ではご苦労と言うとでも思ったか、引きこもりおって」

そう言われたが心が疲れてしまった自分が兄上に対してだだっ子のような気持ちになり、

「はーっ、もう少し引きこもりたかったんですけど、日和との新婚生活も全然ですし」


「のろけと稚児のようにわがままか、三河での状況はどうであったか皆の前で話せ」


かんしゃくを起こしたいのだが兄上の雰囲気がそうさせてもらえず、そのまま大広間での評定の場に連れていかれ皆の前で報告をおこなう。


「信照、三河への援軍から戻りました。それについての報告を致します。」


筆頭家老の林佐渡守が


「信照殿無事のご帰還家臣一同喜んでおります。つきましては三河での戦いどの様なことがありますでしょうか、所詮は一揆ですから大事に至ることないと思いますが」


そうお気楽に言われ、私は自分がかんしゃくを起こしそうになるのをおさえながら、

「一揆と言えば一揆だが、佐渡や皆が考えているのとは根本的に違う、権六に正面から突撃を受けた方がましと言えます。」


私が怒りを抑えているとようやく気がつき、重臣の中でも気持ちを察するのが敏感な丹羽が、


「戦上手といわれる信照殿にそこまで恐怖させると言うことですね。詳細をよろしければお願い出来ますでしょうか」

そう言われ私も自分自身が感情を爆発させそうになっているのに気がつき、深呼吸をして落ち着かせようとしてから、


「まず坊主が扇動し事が起こるが、基本個々それぞれの参加者がそれを守るために死兵(死を恐れず戦うもののふ)とかして、親が横の子供が討たれようが、親が討たれようが、その勢いは止まらないで最後の一人まで戦うということです。通常足軽であれば侍大将を潰せば統一的な攻撃ができず敗走しますが、一向一揆はそのまま進みます。最後の一人になっても。何故ならば死ねば仏の元へ行け逃げ出せば地獄に落ちると坊主から教え込まれておりますから逃げ出すわけにいかないということです。」


私の言うことに丹羽は驚き、

「しかし周り関係なく皆死兵信じられませぬ」


「たしかに、体験しないとだろうが、兄上が私がいない間に北伊勢を一益殿の援軍依頼で攻めたそうですが、長島あそこは対応を間違えますと織田が崩壊することにもなりかねません。一向一揆の戦いが織田家の方々恐怖となり、私のように恐怖から殲滅してしまい禍根を残すことにならぬようにお願いします。」


兄上が立ち上がり私の前にくると、


「小十郎の心配もわかるが、その方が見事に殲滅できたと言うことは、馬廻をぶつければ容易いとも思うがな、静観し対処しようぞ」

そう言って兄は上座に戻り座ると権六を見て、


「美濃側に城を立てるのはどうなっておるか」


「こないだ二度目の築城を行いましたが、築城途中で美濃勢が攻撃を仕掛けてきて、戦うことも建ててる暇もありません。」

そう言うと兄上は不機嫌となり、


「無理を達成すればこそ美濃が手にはいるのだ、権六の代わりに佐渡その方が築城せよ以上だ。」


こうして評定がおわり岩倉に戻り内政をしながら日和とごろごろ過ごし、それから半月後に松平殿が一向一揆を鎮圧したとの報が届き安堵と共に日和と喜びを分かち合った。


そしてさらに数日が過ぎて城に松平家元家臣の伊奈忠次が訪ねてくる。

「信照殿、言ったとおりになってしまいました。」

「これは致し方ないことですがどうなりましたかな」

「武勇が有るものは後腐れなく戻れましたが、文官である私や正信殿は妬みが大きく戻ること叶いませぬ、ご好意に甘えますがよろしくお願いします。」

つらそうな顔の伊奈に、

「好きなだけいてください、もし叶うなら松平に復帰するまで、それと正信殿は」

伊奈は考えると、

「私よりも頭がまわるぶんだけ周囲からの当たりは辛いと思います。本人もわかっているので三河を出ていると考えますが何処に居るのかまではわかりません」

「わかりました、古渡と内政を行ってみてください、治水は甲斐の武田が行っているものを調べたのでそれを試してください」

「わかりました、色々試させていただきます」

伊奈を家臣として登用し、古渡と共に内政を担ってもらい治水等を研究しながら領地の開墾を進めていった。


私はもう一人本多正信の事が気になり百地に調べさせると、やはり同僚を等の周りの目を気にして妻子を残しいずこかへ去っていたったと報告を受けた。

私はそのうち会うことも出来ると思いながら日和の膝枕に頭をのせて暖かい気候に寝て過ごした。

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