昼寝
漸く、人がいる場所に到着した。芝生が生い茂る広い公園。本来は司令部が建つ予定だったのだが、地元住民の反対によって中止になった。今ではノランの名所になっている公園では、元気一杯に子供達が駆け回っている。
「ちょっと休まない? 歩き疲れたから」
「シチュー食って、花を嗅いで満足したのか? そんな状態で芝生に寝転んだら最後、一歩も動きたくなくなるよ」
「ちょっとだけだから~」
「誰も反対はしてないよ」
二人揃って仰向けに寝転がる。青空と白い雲を見ているだけで和んでくる。それに加えてポカポカ陽気が眠気を誘う。食べて歩いて疲れている二人には耐えられないコンボだ。
「ふわあああ~!」
「言わんこっちゃない。そのまま寝ちゃうんじゃないか?」
「寝ちゃうね……」
「もう半分寝てるよ?」
「もし寝ちゃったら……起こして」
そのまま本当に寝てしまうリーム。芝生の上でピンク色を放つ髪は花のようだ。リームの方を向いたエクスは、なんとなくリームの髪に触れる。
「サラサラしてる。絹みたいってのも分かるな」
髪を触りつつも視界に入るリームの寝顔。柔らかそうな頬を見た瞬間、これまたなんとなく触れる。思った以上の柔らかさに驚いて手を離す。
「柔らかすぎだよ!?」
あまりの柔らかさに震える手。自分の頬も触ってみるが、リームの頬とは違って感じた。
「こんなに柔らかいんじゃ危ないな。転んだだけで大怪我だよ」
身体を起こして座り、駆け回る子供達を再度見る。男の子も女の子も笑いながら駆け、ちょっと転んでしまってもお構い無しだ。
「意外に大丈夫かも」
再び寝転がり目を閉じる。時折吹く風が気持ちいい。あれだけリームに言っていたにも関わらず、エクスも眠りに入ってしまうのだった。