情報
ウルと別れた後、お店から戻ってきたリームとソアと合流した。ソアは、『ヤツを一発殴りたかったのじゃ!』と言っていたが、エクスがなんとか宥めた。
「これからどうする?」
「なんか疲れちゃった。リイムに戻らない?」
「妾は構わぬぞ」
「きゅうちゃんもきゅう」
全員の意見が一致してリイムに戻ることに。戻る列車内では、誰がエクスの隣に座るかで一悶着起きたのだった。
※ ※ ※
ロイズ司令部。リバルナの頭を捕らえているライドは、その身柄をロンド司令部に移すべく支度をしていた。
「随分と余裕があるじゃないか」
「君に怯える必要がないのでね。手足の自由を奪われているリバルナの頭など大したことあるまい」
「けっ!」
「私に幻覚を見せるのはやめておけ。その瞬間、君を含め周囲に稲妻を落とす」
「そいつは怖い怖い」
「……なにか知っているな?」
「なかなかの勘の鋭さだ。流石は軍人か」
「勘が鋭い弟子を持っているのでね。車の中で話してもらおうか」
「ま、いいか。オイラの知ったこっちゃねえし。酒場で小耳に挟んだ話だが構わねえか?」
「構わん」
※ ※ ※
ロンド司令部の元帥室。空席の椅子に座って書類を片付けていく補佐官。作業には慣れているようだ。
「次の会議までには戻ってもらわないと。元帥不在がバレれば大騒ぎだ」
「お! やってるやってるって」
「……君は!」
補佐官の前に現れたのはウルだった。ドーナツを片手に呑気である。
「これお土産、食べてって」
「これはありがとう。……じゃなくて! 元帥は!?」
「もうちょっと旅を続けるって。それよりも大丈夫? 疲れてるって」
「精神的に参ってるんだよ」
「もしかして聞いてないのって?」
「何も聞かされていない」
「それじゃあ疲れちゃうのもしょうがないって。簡単に話すって」
ウルは補佐官に簡単に事情を説明した。みるみる顔色が戻っていく補佐官。ウルから差し入れられたドーナツで糖分を補給する。
「……だいたい分かった。元帥め、一言言ってくれれば」
元帥室の電話が鳴る。電話の相手はライドであった。ロンドに向かう途中の公衆電話から掛けてきていた。
「ライド大尉、どうしたのです?」
相槌を打つ補佐官の顔色が悪くなっていく。話を終えて受話器を置いた補佐官は項垂れた。
「どうしたって?」
「カムール研究所に不審な人物が出入りしているらしい。リバルナの頭からの情報だが、万が一ということもある。カムール司令部に協力を要請したいが、確証もなく動いてくれるとも思えない」
「俺が見てこようかって」
「駄目だ。危険すぎるよ」
「無茶はしないから」
「しかし!」
「ちゃんと警戒はするから。行ってくるって!」
「ああ!?」
ウルはシュッと消えてしまう。補佐官はウルの心配で頭を抱える。
「やり過ぎちゃ駄目だからな!?」