応援
ウルは、リバルナ盗賊団の頭を捕まえたまま地上に降り立つ。特に疲れた様子もなく、やれやれといった感じで淡々としている。
「ガキ~!」
「まだやるのかって? 妙な武器は破壊した。俺に幻覚は効かない。お前に勝機はないって」
「オイラを見下ろすな」
「お前が倒れてるだけだ」
「そうやって大人を見下ろすな!」
隠し持っていた銃をウルに向けるが、ウルは瞬時に蹴り飛ばした。
「今度こそ終わりだって。レバニラ!」
「リバルナだ!」
頭を拘束して表通りに戻ると、割れんばかりの拍手が沸き上がる。ウルは『どもども!』と応える。そんなウルを後ろから見つめるエクス。
「あれがウルさん。僕の憧れの人」
「すっごく強かったね! あれで十二歳とは驚き!」
「僕もなれるかな」
「それはエクス次第だね。けど、さっきのエクスは格好よかった!」
「そうだったかな?」
「嬢が本音をポロリじゃな。エクスに惚れたのではないか?」
「そういうんじゃないから!」
必死に否定するリームの反応を楽しんでいるソア。そんな二人に視線を移していた間に、ウルは姿を消していた。
「あれ? ウルさんがいない!」
「あの子なら消えたよ。一瞬で」
※ ※ ※
リイムのホテル前に座るきゅうちゃんの前に、頭を連れてウルが現れた。
「手間を掛けさせてしまったきゅう」
「協力したのは俺の意思って」
「ありがとうだきゅう」
「どうする? 俺がライド大尉のとこまで連れていってもいいけど?」
「お願いするきゅう。もう暫くは〝きゅうちゃん〟でいたいきゅう」
「分かった。ちょいと連れていくから待ってて」
きゅうちゃんの視界から消えたウル。きゅうちゃんは、一息吐いて空を見上げる。
(〝きゅうちゃん〟でなら色々と聞ける。セラテシムンの、国民の不満を知れるきゅう。それに気掛かりもあるきゅう)
「ただいま!」
「うわ!?」
空を見上げていたきゅうちゃんの顔を覗き込むウル。あどけない表情は十二歳の少年だ。
「ファロンに戻るって?」
「うん」
※ ※ ※
ウルを捜してキョロキョロ見渡すエクス。すると、そんなエクスの前にウルときゅうちゃんが現れた。急に二人が現れたので尻餅をつく。
「驚かしちゃったか」
「だ、大丈夫です!」
ウルが手を差し出すと、エクスは嬉しそうにウルの手を掴んだ。
「あれ? 二人はきゅう?」
「適当にお店を巡ってるよ。見ているだけでも楽しいらしい」
「ちょうどいいきゅう。エクスクン。ソアクンには、きゅうちゃんのことは内緒にしてほしいきゅう」
「どうしてソアだけ駄目なんだ?」
「面白がって言いふらしちゃうかもきゅう。きゅうちゃん、もう少し旅をするきゅう」
「〝きゅうちゃん〟の役目は終わったんじゃ?」
「もう少しだけきゅう。大丈夫! 少しくらい暇を貰ってもバチは当たらないからきゅう!」
「分かったよ。リームには僕から言っておくよ」
「ありがとうきゅう」
「なんだか纏まったみたいだって。エクス、もう暫くきゅうちゃんを頼んだって」
「はい!」
「酷いきゅうな酷いきゅうな! ウルクン!」
「エクス達が一緒なら無茶は出来ないって。一人だと無茶するだろう?」
「しないきゅうよ!」
「現に今回もしたって。一部の協力を得たとはいえ、単身で頭と接触するだなんて。自分の立場も考えてって」
「充分に考えたきゅう」
「たまには様子を見に来るから。面倒なことにエクス達を巻き込んじゃ駄目って」
「分かったきゅう」
「ウルさん!」
「どうしたって? エクス」
「助けてくれてありがとう! 僕、ウルさんみたいになれるように頑張るよ!」
「俺が目標って? エクスは面白い奴だって。けど嬉しい。エクス、頑張れ。辛いこともあるだろうけど、仲間が一緒なら乗り越えられるって!」
「はい!」
「じゃっ! またなって!」
ウルはシュッと消えた。エクスはウルからの『頑張れ』を胸に刻んで拳を突き上げた。