出会い
リリッシュを散策する四人。目的の靴屋に到着すると、店主に選んでもらうことに。エクスは選んでもらった靴の中から、気に入った靴を決めた。
「それにするのかい?」
「うん! 選んでもらった中で一番しっくりきたよ」
「そいつはよかった。選んだ甲斐があったってもんだ」
「なんだか足が軽いよ!」
「そうかそうか! よーし、履いていた方の靴を燃やそう。ボウズの足を支えてくれたんだからよ!」
「お願いします」
※ ※ ※
「靴を燃やすことがあんなに感動するなんて知らなかったね!」
「きゅうちゃんもジーンとしたきゅう」
「貴公、靴擦れとかないか?」
「うん。最初から僕用に造られたみたいにピッタリだよ」
「うーん。エクスが靴を買ったのなら、私も何か買おうか」
「なんだなんだ? 色気が増すものでも買うのか? ククク、無駄な買い物になるんじゃ」
「そんなものを買うわけないじゃない!」
「そうかの? 妾に勝つ方法としては有効じゃぞ?」
「勝つとか負けるとかじゃないから!」
店をキョロキョロ見ていく。掃除機なども売っており、実演販売に人が群がっている。
「道具が達者でも、使う人間が未熟じゃあ駄目じゃ。きちっと手入れをしていなければ道具は腐る。新しい物に飛び付くのは結構じゃが、手入れを欠かせば腐らせるだけじゃ」
「急に語りだした!? お前、意外な一面あるんだな」
「なんじゃ、惚れ直したか?」
「そもそも惚れてないよ」
「へー! 手袋なんかもあるんだね!」
手袋専門店にやって来た。毛糸や革、ゴム製の物が並ぶ。そんな数ある手袋の中から、リームは直感でピンク色の手袋を手に取る。
「これ可愛い!」
「好みのものがあったかな?」
「はい。これがいいです!」
「……おや? ちょっと大きいよ?」
「私のじゃないです。一緒にいる男の子が着けるんです」
「ピンクを?」
「男の子サイズですよね?」
「そう。だから売れ残ってるんだ」
「これを私が見つけたのは運命ね!」
「返品は受け付けないよ」
「しません! ください!」
リームは革製の手袋をニコニコと買った。その手袋をエクスに差し出す。
「僕に?」
「気に入ったのが男の子サイズでね。これはエクスにあげる」
「……ピ、ピンク……」
「エクスなら似合うから!」
「派手だよ。手だけ派手」
右手に手袋を着けるエクス。リームからのプレゼントということもあり、無下にするわけにはいかない。身に付け慣れない色に戸惑いながら、着け心地を確かめる。
「どう?」
「驚いた!? ……僕の手に吸い付いているみたいだよ!」
「ほれほれ~。見掛けで判断しちゃ駄目ってこと」
「肝に銘じるよ。ありがとう、リーム」
「……どういたしまして!?」
エクスにお礼を言われて照れるリーム。自分でも何故照れているのかは分からないでいた。
「だが悪い、片方要らない」
「えっ!?」
「直ぐ外せるように片方しかしないと思う。お前が買ったんだから、片方だけでも持ってるといいよ。……うん、左も僕に合ってる。左が欲しいときは言うよ」
リームに左手の手袋を渡すエクス。受け取ったリームの顔が赤くなる。どうして照れてしまうのかは分からない。
「ソアクンはどうするきゅう?」
「妾は買わんのじゃ。身が嵩張るのは好きではない」
「そうなんきゅうね。まあ、きゅうちゃんも買わないきゅう。いい仮面がなかったきゅう」
((今ので充分じゃないのか!?))
エクスとリームとソアの意見が、三人の知らないところで一致した。