表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/40

仮面の一喝

 エクスとリーム、仮面の少女の三人は、リイムに向かう列車に乗っていた。エクスとリームが並んで座り、二人に向かう形で少女が座る。列車に乗ってからというもの、仮面を被ったままの少女。どうにか話をしようと話題を振るリームなのだが、少女は適当な相槌しかしない。


(参った! 話が全然弾まない! 女子同士盛り上がれると思ったのに~)


「ちょっと訊いていいか? どうして仮面を着けてるの?」


「気になるきゅう?」


「気にするなって方が無理だよ。さっきは外してくれたのに」


「理由は色々あるきゅう。この世の中、勘が鋭い人もいるきゅう」


「誰かから逃げてる、とか?」


「むしろ逆きゅう。追ってるんだきゅう」


「追ってる?」


「知りたいきゅう?」


「いや、そこまでの興味はないよ」


「ま、君達は知らない方がいいきゅう。巻き込みたくないし大変きゅう」


「大変、か」


(怪しさが増した)


「ねえねえ! 名前を教えてほしいんだけど。私はリーム!」


「きゅうちゃんは、きゅうちゃんだきゅう!」


「「きゅうちゃん!?」」


「うん? 二人共、どうしたきゅう?」


「なっ、何でもないから!?」


「きゅうちゃん……。僕はエクスだよ」


((絶対に偽名だ!))


「宜しくきゅう! エクスクン、リームクン」


 自己紹介で凄く疲れてしまった為、エクスは車内販売でジュースを買う。フォインで並んだ時よりも疲れた気がする。

 ジュースを飲んで一息吐いていると、急に車内が騒がしくなる。最初は酔っぱらいが騒いでいるだけかと気にしなかったが、次第に騒ぎがエスカレートしていく。


「俺様の言うことが聞けないってことか! この国軍大佐の言うことが!」


「申し訳ありませんが、車内での喫煙は禁止されていますので、ご遠慮願います」


「ああ!? こちとら煙草が命なんだ! その煙草を吸うなだと! 誰のお陰で平和だと思っていやがる!」


「規則ですので」


「軍人に背くってのか。背けばどうなるか分かっているよな?」


 車内販売の女性の胸を鷲掴みにする大佐。女性は必死に抵抗するが、大佐の力は強い。国軍大佐と言うだけある。


「やめてください!!」


「煙草で気を紛らすことが出来ないならば、お前の身体で紛らすだけだ! 大佐命令だ!」


「や……めて」


「誰か一人でも妙な動きをしてみろ! 公務妨害で潰す!」


 その大佐の一言で他の乗客は動けなくなる。軍人の強さを知っている分、下手な抵抗は無駄だと判断していた。


「許せない! 軍人だからってあんなこと!」


「落ち着きなよ、リーム。僕達じゃ太刀打ち出来ない」


「けど!?」


「そうだきゅう。子供は大人しくしてるきゅう」


 ゆっくりと立ち上がるきゅうちゃん。妙に落ち着いており、仮面も相まって凄みを感じる。腕を後ろに組んで大佐に近付く。


「何だガキ! ガキだからって容赦しないぞ!」


「酷いきゅうなー酷いきゅうなー! 女性に乱暴は駄目きゅうよ?」


「ああ! ガキだからって容赦しないと言っただろ!」


 大佐は銃をきゅうちゃんに突き付ける。それでも冷静なきゅうちゃん。突き付けられた銃を掴んで抵抗する。


「馬鹿なガキだ! 大人にガキが勝てるわけないだろ!」


「……弱い奴ほどよく吠えるきゅう。直ぐに手が出る、力で解決しようとするきゅう」


 きゅうちゃんに突き付けられた銃が消失した。あまりにも突然の出来事に、大佐のさっきまでの威勢の良さは潜める。


「あ……ああ!?」


「大佐が偉そうに。身の程を知りなさい! ……きゅうよ?」


 きゅうちゃんは、『終わったきゅう!』と言いながら女性を気遣う。そんなきゅうちゃんに乗客から拍手が送られた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ